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おまわりさん助けて!

 虐待サバイバーのゆうかです。
 
 我が家は、父の暴力、暴言が始まると、父の大きな暴言や怒鳴り声、と子どもたちと母の泣き声や悲鳴が、近所中に響き渡ったのだろうと思います。

 何度も何度も近所の方が通報してくれました。

 その度に、近くの交番から、警察官がウチに来てくれるのです。家に入ってきたのは、いつもひとりだったような気がします。

 そして、警察官は大興奮している父をなだめにかかるのです。
 けれど、私の目から見ても、明らかに警察官が劣勢でした。

 父は、すごい勢いで
 「オレはおまわりは大っきらいなんだ!」
 「オレはおまわりを一番信用してないんだ!」
 「ここは俺の家だ、邪魔するな」
 「俺の家族だ!お前には関係ない!」
などと怒鳴り散らしていました。

 その勢いに、警察官もタジタジ、というより呆れ笑いをしていたように見えました。
 
 少し押し問答をした後に、警察官は退散していくのです。

 まだ児童虐待について今ほど取り上げられてなかった時代、明らかに虐待されてると、わかっているのに、助けてもらえなかったのです。

 警察官が帰ると私達は、絶望でいっぱいになりました。父の興奮は逆に増しているのですから。

 時代が今なら父が逮捕されているのではないかと思います。

 近所からの度重なる通報、
 警察官に向かって怒鳴りちらす父、
 泣きながら顔にアザを作っている妻、
 整然と立たされ青い顔で泣きじゃくる子どもたち、
 そして荒れ果てた部屋

 そんな明らかに異様な光景を見て、警察官が放っておくなんて、今の時代ではおそらく有りえないと信じています。

 当時は1980年代、どのような取締りをしていたのかわかりませんが、私は、おまわりさんが助けてくれないなら、私たちを助けてくれる大人はこの世にいないのだと、そう覚悟を決めてしまったのです。

 だから、その後も、もちろん学校の先生にも誰にも助けは求めませんでした。

 自分でなんとかしなければならないと心に誓いました。

 もちろん小さな子供の私にになんとか出来るはずもなく、私の心は壊れていくのでした。

 

 

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