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いちばん大切にしたくなる理由

『日本でいちばん大切にしたい会社』

日本理化学工業株式会社

この会社は,昭和35年に2人の知的障害者の雇用をして以来,2021年2月現在で88人中63人が知的障害者となっています。この本には「障害者の方々がほめられ,役立ち,必要とされる場をつくりたい」という理念に至った経緯について書かれています。

はじまりは近くの養護学校の先生の訪問でした。先生は、知的障害を持つ二人の少女を採用してほしいと依頼します。当時の社長はその子たちの一生をサポートする自信がなく断ります。しかし先生は諦めずに何度もやってきて,社長は三回目の訪問で就業体験を許可します。

二人は朝から終業時間まで一生懸命働きました。その結果,社員の総意により,二人は社長から正社員として採用されました。

誰でも何かの役に立ちたい

この出来事をきっかけに障害者を少しずつ採用するようになりました。しかし,社長は思っていることがありました。会社で毎日働くよりも施設でゆっくりのんびり暮らした方が幸せなのではないかということです。

そんな社長に禅寺のお坊さんは「人間の究極の幸せは、愛されること、ほめられること、人の役に立つこと,人に必要とされることの4つです。福祉施設で大事に面倒をみてもらうことが幸せではなく、働いて役に立つ会社こそが人間を幸せにするのです。」と教えてくれます。

読む前は,私ものんびり施設で暮らしていた方が幸せなのではないかと思っていました。しかし,大切に守られた環境の中にいるだけでは,自分の存在意義を見失ってしまうということに気づかされました。

私は大学で建築やデザインを学んでいますが,将来何かの役に立ちたいという思いが原動力の一つになっていると改めて感じました。「何かの役に立ちたい」気持ちは誰の中にもあるのだと考えました。

多くの企業が逃げている現状

この本を読む前は,障害者の雇用率が低いことが問題となっている程度の認識でした。読むと47都道府県の雇用法定達成率はわずか42パーセントということ,働きたくても働けない方が7割を超えることが分かります。それを考えると,日本理化学工業の取り組みは素晴らしいことだといえます。筆者が「日本でいちばん大切にしたい会社」としているのはこのためです。

自分たちにできること

―――がんばりたくてもがんばれない方々が真の弱者であって,がんばれるのにもかかわらず,がんばれない人,やれるはずの努力をしない人や企業は,偽物の弱者です。

この言葉は会社の在り方だけでなく,私たちの身の回りのことにも当てはまると思います。日頃から自分たちにやれることを精一杯行い,工夫を重ねていけるようにしたいです。

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