【感想】時計じかけの摩天楼
どうも、佑佳です。
実はですね。
佑佳はいにしえのサンデーヲタを四半世紀近くやっているのですが、ご飯を食べるのと同じような感覚で『名探偵コナン』を履修してきた人生でして。
たとえば、YouTubeで流れてきた『黒い人でどの映画か当てるクイズ』なんかの正答率が9割を叩き出せるくらい劇場版を観まくっていると気が付きましたので(ほんとに最近、ここ数年で)
劇場版名探偵コナン 各タイトル感想シート
的なのを作ろうかなー、なぁんてね。
ただ、投稿先を選ばないといろーんなひとの目に無条件に晒されて、角が立ってもイヤなのでね……(保守的たぬき
なのでこの度noteを立ち上げた次第でございやす。
前置きばっかりうるせーよとセルフツッコミのタイミングなのでそろそろ第一作目について語らせていただこうかなって思います。
⚠⚠この先 超絶個人主観感想につき⚠⚠
⚠⚠閲覧は自己責任でお願いします⚠⚠
第1作 時計じかけの摩天楼
▼作品詳細URL▼
https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&opi=89978449&url=https://www.tms-e.co.jp/alltitles/conan/087301.html&ved=2ahUKEwjr_9n5ga6HAxXq1TQHHQILCdEQFnoECDgQAQ&usg=AOvVaw395QFlPjphTaZ5shjpKjX-
公開年:1997
主題歌:Happy Birthday/杏子
時間:95分
監督:こだま兼嗣
脚本:古内一成
あらすじ:新一の誕生日の前日、何者かにプラスチック爆弾用の火薬が大量に盗まれ、コナンたちが殺人事件を解決したばかりの黒川邸が放火された。ニュースに驚くコナンだったが、そこに犯人を名乗る男から予告電話が! 狙われたのは子供たちが集まる緑地公園。現場に駆けつけたコナンは爆弾から無事に子供たちを守るが、犯人から次なる爆破予告が届き…。犯人は新一に恨みをもつ者なのか? パニックに陥った大都会、そしてタイムリミットが迫る!
佑佳が感じた主軸テーマ:シンメトリー、赤い糸
佑佳の数値化評価
謎解き度 8/10
伏線回収度 10/10
ラブコメ度 7/10
ハラハラ度 9/10
クイズ難度 8/10
爆破規模 6/10
感動展開 6/10
意外性 4/10
舞台・題材 7/10
おすすめ度 15/10
総計 80/100
佑佳の感想
登場人物たちがまだ限られている中、コナンシナリオに於ける『推理・スリル・ラブコメ』のトライアングルバランスの仕上がりは見事と言える。
当作品でオリジナルゲストキャラクターであった白鳥任三郎刑事(当作品では下の名前の設定は未出)が程よく怪しく、程よく不気味で、原作勢も推理を楽しめたのではと上映当時を推察する。
オープニング前から黒川邸での事件解決場面で幕を開けるという巧みな引き込み導線はもちろんだが、黒川という名がそもそもシンメトリーだと気が付いたとき「もしや細かすぎるギミックか?」とニヤニヤしながら推察してしまうのはワタシだけではないはず。
オープニングを挟み、新一へ好きな色を問う蘭が描かれる。
新一はすかさず蘭の好きな色を答えるが、それは新一が蘭を長らく好意に想い、そしてよく理解していると読み解ける良い場面である。
加えてこの何気ないやりとりがゆくゆく犯人へのヒントとなり、最後まで目が離せない伏線となるのも秀逸である。
建築家の森谷帝二から工藤新一宛にガーデンパーティの招待状が届き、新一の代わりに毛利親子とコナンが出向くことに。
森谷邸がシンメトリーであること、そしてそれに対し森谷氏が強いこだわりを持っていることが情報支出され、視聴者にもコナンにも深く印象づく場面。
庭園の背景画はアナログセル画ならではの趣ある絵に仕上がっており、印象として深い灰緑色を定着させるので、どこか不明瞭で知的好奇心を掻き立てられるに相応しい配色であると考える。
「もっと自分の作品に責任を持たねばならない」という建築家の枠を超えた創作家としての美学を熱弁する森谷帝二。
森谷氏がガーデンパーティで催し物として出したクイズは大人でも難しいが、令和の現代で西暦や干支を遡るのもまたひと苦労になってしまったように思うので、当時よりも尚のこと難易度は高くなったかと考える。
しかしクイズ自体はとても良作であり、文中からヒントが散らされていたので、マジックの種明かしさながらの爽快感が得られよう。現代版に直すなどして楽めること間違いなし。
森谷作品が写真として並んでいるギャラリーには、シンメトリーにこだわった作品が年代順に壁掛けになっている。
そこに黒川邸があったことに気付くコナン。視聴者はそこで初めてオープニング前の事件は無駄な導入ではないと気付かされるわけだが、初見時幼稚であったワタシでさえこの出しどころは巧すぎると感じた。
心理学の観点からみても、恐らく当場面までで一時記憶が上書きされる程度の情報量が出されている。そのため一時記憶を呼び覚ますためのこの微量な伏線回収は、どの年齢層でも唸ってしまうに違いない。
五月三日十二時。
新一とのデートを前に出かけていった蘭を見送ったあと、阿笠邸で切り抜ける方法を模索していたコナンだが、先の黒川邸が放火された報道を目撃。そこに犯人から工藤新一宛に電話がかかってきてメインの事件が幕を開ける。
犯人は火薬を大量に盗んだことを告白、連続放火や爆破を匂わす発言をし、工藤新一へ挑戦様の犯行予告をする。
コナンが犯人から指定された川沿い緑地公園に赴くと、爆弾を搭載したラジコン飛行機で遊ぶ少年探偵団の面々が。
悶着ありつつ空中爆発をしたものの被害者は出ず事なきを得る。
空きビルの屋上からその様を見ていた犯人は、携帯電話を持ったコナンと話し、次は『米花駅周辺の木の下』と残し電話を切る。
なんのことを指しているのか推理しながら米花駅へ向かったコナンだが、放置されていた爆弾が人手に渡ってしまってから何であったかに気が付き、慌ててそれを追う。
道中何度も轢かれそうになりつつ玉突き事故を起こしかねない飛び出し行為を繰り返しつつ、略奪行為もありつつ……と、まぁ、これはコナンあるあるということで目を瞑ろう。
しかしながら、当場面はとてもスピーディーかつスリリングなので第一のハラハラ場面であることは間違いない。一時的に爆弾のタイマーが止まった謎は、伏線なので覚えておこう。
爆弾を人気のない川辺で爆破させたコナンは、爆風で吹き飛ばされ、樹木に頭を強く打ち気を失う。
まもなく病院に運ばれるも大事ないと診断され、ひとごこちをつく一同。少年探偵団、目暮、白鳥、小五郎、阿笠博士は、コナンを中心に二件の爆破事件について情報を整理することに。
工藤新一に恨みを持った者の犯行かと勘繰った大人たちは、最も恨みを持っていそうな元西多摩市長・岡本氏のひき逃げ事件を振り返った。
この事件がもとで、それまで計画していた西多摩市再開発計画は頓挫。恨まれていても然るべき、と岡本氏も容疑者入りする。ちなみに岡本の名もシンメトリーである。
そんな折、再度犯人から電話がかかってくる。
怪我をしたコナンに代わり小五郎が引き継ぐと『東都環状線の✕✕の✕』に仕掛けられた五つの爆弾を日没までに取り除かなければ、加えて時速六〇キロで走り続けなければ、環状線の電車が二一編成すべてが爆発すると予告される。これが第二のハラハラ場面である。
劇中歌である『キミがいれば』が最高にムネアツなので期待していただきたい。
しかもかなり格好いい『働く大人』が見られるので、ここは余計な説明は省かせていただく。
環状線の爆弾事件が落ち着くと、その爆弾のひとつが橋に設置されていたことがわかる。その橋は森谷氏の作品であったことから一同は森谷邸へと向かうことに。コナンは病院を抜け出すかたちだがご愛敬ということで。
森谷氏から建築物についての話や作品が狙われていたり心当たりがあるかなどの話を大人たちがしている影で、コナンは一人邸内を探索。
西多摩市再開発にかかわる重要情報や爆破と関係のある写真を目撃したことで、コナンは新一ボイスの推理ショーで放火爆弾犯を理路整然とあばく。
完封勝利をおさめた大人たちだったが、犯人が不敵な笑いをしていることで連続爆破が終わっていないことに気が付く。
最後の舞台は米花シティビル。そこは、蘭が新一と共に映画を観ようと訪れている映画館が入っている。
逃げるよう電話をかけたコナンだったが、タッチの差で最初の爆破が始まってしまった。
爆弾処理班など待っていられないと、コナンは瓦礫まみれの米花シティビル内へと入っていく。
映画館のフロントの電話に電話をかけた新一。
それを蘭が取り、「どんな目にあっているのかわかっているのか」と涙ながらに訴える。新一は自分がドアの外にいること告げ安心させたうえで、映画館のロビーに放置されていた爆弾入り紙袋を回収させる。
犯人から奪った解体図を手にした新一は、電話で蘭に指示を出しながら共に爆弾を解体することに。電話しながらでは上手くいかないと言った蘭とドアを挟んで背中合わせ様になり、手持ちのソーイングセットで爆弾の解体を始める。
爆破予定時刻は〇時三分。
「お前のために三分間作ってやった。じっくり味わえ」と言い放った犯人の言葉が、コナンの中で謎をまとって渦を巻く。
新一の指示で蘭が続々とコードを切っていくと、最後の黒いコードを切ればタイマーが止まる予定だった。
しかしタイマーは止まらない。しかもまだ赤のコードと青のコードの系二本が残っている。
どちらを切ればいいのか迷う新一と蘭。
そんな折、日付が変わって〇時を過ぎると蘭は背中の新一へとある一言を呟いた。
その一言でようやく犯人が用意した三分間の意味がわかり、するとコナンは乾いた笑顔を浮かべた。
「切れよ。好きな色を切れ」
新一は弱く笑いながら蘭へ指示。「でも……」と躊躇う蘭だが、「心配すんな」と気丈に振る舞う新一。
「オメーが切り終わるまでずーっとここにいてやるからよ。死ぬときは、一緒だぜ――」
蘭がどっちの色を切ったのか、そしてその理由が見事な伏線回収を叶えている。
エンディングの入り方も美しくて素晴らしい。エンディングタイトルも伏線のひとつといえよう。しかもスガシカオ氏の楽曲なので、東京アーバンナイトを彷彿とさせる当作品の終盤風景とかなりマッチしている。
……とまぁこんな具合でまとめていきたく思います。
文量多い? なにをおっしゃる。そんだけ読み込んだってことですやで――☆(空振
では次回は第二作目の感想シートでお会いしましょう。
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