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#21 三原屋

こんにちは。

be-en代表のゆうかです。

今回は、長野市大字長野桜枝町にある「三原屋」を訪問し、代表取締役の河原清隆さんにお話をうかがいました。

三原屋の創業は1848年(嘉永元年)。嘉永元年は善光寺地震の翌年で、本業は米屋でしたが、味噌醤油を災害支援に提供したことが、醸造業の始まりとのこと。大正15年(1926)に、米穀商を廃業し、味噌醤油醸造を本業とされました。
今回は三原屋の醤油製造に関してお伝えします。

醤油の製造方法

醤油の原料は大豆、小麦、塩です。蒸した大豆と炒って砕いた小麦種麹を加えて繁殖させ、麹を作ります。麹菌が繁殖しやすいよう温度と湿度を調整します。

次に、麹と塩水を混ぜ、諸味(もろみ)を作り、樽で発酵させます。麹の酵素によって大豆のタンパク質がアミノ酸に、小麦のデンプンがブドウ糖に変化します。また、蔵の乳酸菌や酵母菌が諸味に入り込み、醤油の風味となる成分を作ります。最初は緑色の諸味ですが、約1年熟成させることで、濃い茶色へと変化していきます。

そして熟成が完了した諸味を布に入れて搾り、出てきた生揚げ醤油に熱を加えて微生物を失活させ、色を調え、醤油独特の香りづけを行います。


醤油製造の重要工程「一麹・二櫂・三火入れ」

醤油製造は「一麹・二櫂・三火入れ」と言われ、醤油作りにおいて重要な工程を示しています。

一つ目の「一麹」は、麹づくりの工程です。この麹の出来栄えがうま味や香りを左右するため、最大重要工程となります。

二つ目の「二櫂」は、諸味を発酵させる際に櫂棒でかき混ぜる工程です。産膜酵母を抑制し、諸味中の微生物に空気を届けます。蔵の環境、諸味の状況によって適切な頻度で行われます。

三つ目の「火入れ」は、搾った生揚げ醤油を加熱する工程です。ビン詰め前に、熱で乳酸菌や酵母菌といった微生物の活動を止め、保存性を高めます。他にも、余分なたんぱく質をオリとして固める目的や、アミノ 酸と還元糖の結合(メイラード反応)によって火香とよばれる香りを生む目的、醤油の色を整える目的があります。

この「火入れ」は、温度や加熱時間の微妙な違いで味を大きく左右するため、かつては火入れ専門の職人がたくさんいたそうです。今では貴重な存在となり、この技術を後世に残したいと河原さんはおっしゃっていました。


三原屋の「桶火入れ」

三原屋の濃口醤油は「桶火入れ」と呼ばれる珍しい伝統製法で作られています。職人が、開放系の釜で醤油を加熱し、1日つきっきりで灰汁という”あく”を取り除くそうです。この作業で醤油が磨かれ、嫌な臭いのないキレイな醤油ができあがるそうです。

最近では、生醤油という製品を見かけますが、加熱をせず、フィルターを通して微生物が除去されているそうです。しかし、小さい酵素はフィルターを通過し醤油に残るため、旨味成分であるアミノ酸の分解が進み、アミンやアンモニアが生じて、風味が損なわれてしまうそうです。


「人を想う」こだわりの醤油製品

・コアラのしょうゆ
薄味で低刺激な醤油です。子供の味覚は敏感で刺激のある塩味を強く感じてしまいます。そこで、塩の量を減らし、醤油本来のうま味と甘味を感じられ、子供たちに食材の味を感じてもらえる醤油を開発されました。
実際に食べてみましたが、そのまま舐めても塩辛くなく、甘味と豊かな香りを感じ驚きました。薄味派、かつ、発酵食品で塩分を摂りすぎてしまう私にとても優しい醤油でした。

コアラのしょうゆ

・おいしい減塩しょうゆ
香りを強化し、素材の味を引き立たせた醤油です。海鮮丼や刺身、豆腐などにかけても塩辛くなく、素材の旨味を感じることができます。海外の方へもおすすめとのことです。

おいしい減塩しょうゆ

1950年代には約6,000社あった醤油会社も今や約1,000社になり、醤油市場は縮小しています。また、醤油市場は大手5社が5割を占め、中小企業の廃業が進んでいます。そんな中、家を継ぎたくないと考えて河原さんですが、貴重な伝統技法や健康に良い食卓を後世に残したいと、三原屋を継いだそうです。50年前から変わらぬ製造方法で醤油を作り、地元の食卓の健康を支えるために、丁寧で堅実な経営を行っています。

▼今回ご紹介した三原屋さんのHPはこちら

ぜひ皆様も足を運んでみてください♪

それではまた次の記事でお会いしましょう!

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