#25 萬年屋 vol.2
こんにちは。
be-en 代表のゆうかです。
蔵元巡り第25弾は萬年屋さんを再訪しました。
前回の萬年屋さんの記事はこちらをご覧ください。
今回は、萬年屋さんで4月3日から味噌玉仕込みが始まると伺い、仕込みの様子を見学させていただきました。
微生物の息吹
味噌はお店の奥にある蔵の2階で作られています。
前回の訪問時とは異なり、2階には仕込み始めた味噌玉が広間の一画にずらっと並んでいました。
味噌玉は棚に並べて風通しのいい場所で乾燥させますが、味噌玉同士が接している箇所や、味噌玉が板に触れる底面など、水分の多い箇所にカビが生えます。
カビの繁殖が進むと、見た目もふさふさしてきます。
カビには微生物が棲息していて、微生物が吐き出す二酸化炭素によって白い泡が出てきます。泡が固まると飴状になることから萬年屋では「あめ」と呼ばれていました。
取材時は、発酵の日数が足りておらず、気温も平年より涼しかったため、例年より泡が少ないとのこと。
しかし、幸運にも、仕込み始めてから3週間ほど経過した味噌玉を見ると、泡がまばらに出ている様子を見ることができました。
微生物のはたらきが活発な時期は、早朝や深夜に蔵を訪れると、泡が出る「ぷくぷく」という音が聞こえるそうです。
微生物の息吹を感じます。
発酵が進んだ味噌玉は、割れると強いアルコール臭がするそうです。
強いカビ臭が出てしまうのを防ぐため、一度味噌玉の表面を洗います。
そして、砕いた味噌玉と、糀、塩、水を撹拌します。
撹拌の様子は萬年屋さんのインスタから是非ご覧ください▼
復活した味噌玉製法
実は、萬年屋さんは創業当初から味噌玉製法を続けてきたわけではありません。
他との差別化のために、昭和40年代から味噌玉製法を再スタートされたとのこと。麹がなくても味噌ができる昔の知恵を活用しているそうです。貧しい農家は米を応用する余裕もないため、米糀が作れなかった、という背景から生まれた知恵だと伺いました。
米糀を使用しない味噌は発酵速度が遅く、30度1か月の一夏では難しいそうです。麹を使わないため、タンパク分解には時間がかかり、発酵に3~4年かかるとのこと。
長野県に味噌玉製法を採用している味噌屋は5件あるそうですが、中には一面にカビが生えた味噌玉をそのまま味噌にするところもあるそうです。
カビが生えた味噌玉を試食させていただきましたが、カビの繁殖が進んでいない味噌玉は大豆本来の味が強く、カビの繁殖が進んだ味噌玉は、チーズのような味わいがしました。
萬年屋さんも発酵途中の味噌玉を食べられたことがなかったようで、「意外においしい」と話されていました。
~小話~
蔵の中を案内していただいていた際に、旦那さんの誠一郎さんが京都がお好きだと伺いました。京都に旅行に行く際は、雑誌を購入して3か月前からグルメリサーチをするほどの大ファン。旅行の計画がなくても、継続的に観光冊子を確認されているそうです。
学生時代を京都で過ごした私よりも京都に詳しく、驚きでした。
京都について話されている際、それまで職人顔だった誠一郎さんの相好が崩れる様子を見て、裏の顔を見ることができた気持ちになり、嬉しかったです。
お店では、様々な製法で作った味わいの異なる味噌が販売されています。試食もさせていただけるので、自分のお気に入りの味噌を見つけてみるのはいかがでしょうか。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!
文責:むーみん
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