月が○○で見えない #テレ東ドラマシナリオ[原案:月がきれいですね|大麦こむぎ様]
月がきれいですね |大麦こむぎ様 @komugi_1992
原案はこちらです
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あらすじ
ある日、好きという単語が人の脳内から消えた。好きという単語を思い出すには誰かへと注いでいる愛が最高潮に達さないといけない。
付き合い始めたばかりのカップル「いつき」と「さな」もその影響で互いに好きと言えなくなっていた。さなは日を重ねるごとにいつきの優しさにどんどん惹かれていき、好きという単語を思い出す。しかし、好きという単語を忘れているいつきには通じる単語ではないと気づいたさな。どうにかしていつきに好きという単語を思い出してもらおうとするが...
キャラクター
主人公
さな 18歳 女
高校3年生
付き合い始めたばかりでいつきに少し気恥しさを抱いている
あまり勉強は出来ない
かなりの鈍感
めちゃくちゃに明るい
感情表現するのが下手で、擬音や身振り手振りを多用する
いつき 18歳 男
高校3年生
さなの彼氏
とても面倒見が良く、世話焼きな性格
さなの勉強を手伝っている
かなりの秀才
さなが好きなのだが、愛情表現が苦手なので好きという単語を思い出せない
はる 18歳 女
高校3年生
さなの友達
数少ないさなの身振り手振りや擬音を使った表現が理解出来る人
実はいつきのことが好きだったが、親友のさなが付き合い始めたので諦めようとしている
好きという単語を忘れているフリをしていて...
・・・・・・
シナリオ
(放課後の教室にさなといつき)
さな(いつきを真っ直ぐ見て、一呼吸置く)
「好きです。付き合ってください!」
いつき(はにかみながら)
「僕も好きです。よろこんで。」
さなナレ
「こうして私たちは付き合い始めた。けどすぐに私たちは大事なことを忘れた。『好き』という単語を忘れてしまったのだ。ただ、私はすぐに思い出すことになる。それが苦労するきっかけになるとも知らずに。」
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(数週間後、図書館で勉強する2人)
さな「ねぇ、これめちゃくちゃ難しいんだけど」
(いつきをチラ見しながら)
いつき「これはね。ここを、こうすると。」
(さなの手を取ってノートを書き出す)
さな「ちょっと、恥ずかしいじゃん...」
(そうは言いつつ、手を取って書いてもらう)
いつき「ごめんごめん。ほら、どう?出来そ?」
さな「いつきがそばにいたら出来る。」
いつき「それじゃあダメなんだって。」
(笑い合う2人)
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(そこから数日たった帰り道)
はる 「どう?いつきとは上手くやれてる?」
さな「もうキュンキュンですよ。」
(手をフリフリして嬉しそうに話す)
はる「上手くいってるなら良かった。」
(少し寂しげな笑顔)
さな(照れながら、笑顔で)
「えへへ、ありがと。」
(さなは、はるの表情の差に気づかない)
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(いつきの家)
さな「ねぇねぇ、いつき。ここ何回やってもこうなるんだよ。この問題作った人やばいよ。」
(大きな手振りでお手上げ感を出す)
いつき「前教えたやり方を使うんだよ。それをここに代入して、ここと入れ替える。」
(またさなの手に触れそうになるが、恥ずかしさがやってきて手を引く。)
さな「どうしたの?」
いつき「ううん、なんでもないよ。」
(戸惑いつつ笑顔で返す。)
(いつきはふとさなのノートがあまり書けてないことに気づく)
いつき「ねぇ、もしかしてノートが書けてないから困ってるの?」
さな「そう!数学の先生の授業は内容がカチンコチンしてるから、眠くなるんだよね...えへへ」
(申し訳なさそうに)
いつき(スっと自分のノートを差し出す)
「これ、使っていいよ。カチンコチンなノートかもしれないけど。」
(言い終えてから、少し恥ずかしくなる)
さな「え?!いいの?ありがとう!いつきがキラキラしてるよ」
(恥ずかしがってるいつきには目もくれず、ノートに抱きつく)
いつき「いえいえ。さなが喜んでくれてなによりだよ。」
(微笑ましい気持ちになり頬が緩む)
さな『いつきはいつも先に私の事に気づいてくれる。そうゆう所が○○で付き合ったんだ...ってあれ?○○...。だめだなんだろうこのモヤモヤ。思い出せない。』
いつき「どうかした?」
さな「あのね、なんかモヤモヤなの。」
いつき「どうゆうこと?」
さな「いつきはとっても優しいじゃん。そんないつきが、なんかこうモヤモヤなんだよ。」
(なんとか伝えようと徐々に大きな手振りに)
いつき「僕はモヤモヤじゃないよ?」
(笑いながら返す)
さな「そうなんだけどさぁ...」
いつき「よし、今日はさなの家まで送るよ。」
(バックから自転車の鍵を取り出す)
さな「いいの?2駅くらいはあるよ?」
いつき「大丈夫大丈夫。2人で話してたらあっという間だよ、2駅なんて。」
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(さなの家の前)
さな「いつき、ほんとありがとね!」
(ペコペコとおじぎする)
いつき「2駅なんてあっという間だったでしょ?」
さな「うん!」
いつき「じゃあまた明日ね。」
(大きめに手を振る)
さな「また明日。」
(いつきの背中を見つめる)
さな『幸せだな、こんな時間を過ごせて。いつきを好きで良かった。...あ!好きだ!好きだよ!ああゆう、いつきのことが好きなんだ!』
(声を出さずに大喜びする)
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(学校の休み時間)
さな「『好き』って言っても誰にも通じないんだ。お父さんもお母さんにも。あと飼ってるネコにも。」
はる「まずネコには日本語分からないと思うよ。」
さな「確かに!で、はるは好きって分かるでしよ?」
はる「知らないよそんな単語。造語?」
はる『2人の邪魔をしちゃいけないんだ。好きという単語を知らないことにしなきゃ。2人が気づかなきゃダメなんだ!』
(はるは笑みで取り繕う)
さな「え〜、はるもかぁ...」
はる「好きってどんな感じなの?」
さな「なんかね、ドキドキしてその人が離れなくなってもう凄いことになるんだよ!」
はる「ごめん。いつもなら分かってあげられるんだけど、流石に今日のは難問だったわ。」
さな「これでも伝わらないか〜。」
はる「それを直接いつきに言うのはダメなの?」
さな「あー!はる頭いい!ぴかっときたよ!」
はる『これが2人のためだ...きっと。』
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(その日の帰り道)
さな「ねぇねぇ、いつき。好きって分かるでしょ?」
いつき「...?好きって何?」
さな「嘘でしょ!いつきもか〜。」
(頭をガクッと落とす)
いつき「それはどうゆう意味なの?」
さな「えっとね!それを前にするとドキドキしたり、ワクワクしたりして大変になるんだよ!」
(いつもの大きな手振り)
いつき「うーん、難しいなぁ。」
さな「いつきはさなのこと好きなはずだぞ!浮気か!きさまぁ!」
いつき「浮気はしてないって!でも、やっぱり好きってのが分かんないや...」
(焦った表情を見せつつ、考えてみる)
さな「うん、分かったよ...」
(辺りはすっかり暗くなり、三日月が綺麗に見える)
さな「あ!月!」
いつき「綺麗だね。とても。」
さな「だね!」
いつき『好きってのは分からないけど、月がきれいなのは多分隣にさながいるからだ。これは間違いない。』
いつき「よし、行こっか!」
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(次の日の休み時間)
はる「で、結局意味は分かってもらえなかったと。」
さな「うん。それにしても月がきれいだったよ〜。」
はる「それ女子から言う?」
さな「どうゆう意味?」
はる「あっ、気にしないで!」
さな「はるも思い出せないんでしょ?もうどうすれば良いか分かんないよ〜。」
はる「もっと違うアプローチをしたら?」
さな「例えば?」
はる「うーん、デートらしいデートをするとか?」
さな「それだ!はる天才だね!」
はる「いや、好きってやつの意味を知ってるさなが思いつかないのもどうかと思うけどね...」
さな「いやぁ...」
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(放課後デートすることになったさなといつき。大きなショッピングモールへ。)
いつき「たまには息抜きしないとだもんな。」
さな「てか、私たちカップルなんですけど...」
いつき「もちろんさなと一緒だから息抜きになってるんだよ。」
さな「なんかバカにされてる気がする」
いつき「そんなことないって。そうだ、タピオカとか飲む?」
さな「飲む!」
(切り替えの速さに笑ういつき)
さな「...?」
いつき「いや、切り替え速いなぁって。」
(笑いながら)
さな「ねぇねぇ、どれにする?私はね〜。」
(もう話を聞いていないさなに振り回されるいつき)
いつき『嫌な気持ちはしないな。一緒にいて楽しい。さなを○○で良かった。ってあれ?...○○。○○ってなんだろう。まぁいいか。』
いつき「よし、じゃあ僕もそれにする。」
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さな「...今日はありがとうね。」
さな『結局好きって伝えられなかったな...。こんなので良いのかな...。言わないと。』
いつき「楽しかったね。また行こ。」
さな「いつきのこと好きでよかった、本当に。」
いつき「...ごめんやっぱり好きって分かんないや。」
さな「いいよ、全然。分かったときで。」
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(放課後の教室)
はる「いつきから相談って珍しいね。」
いつき「あのさ、変な話していい?」
はる「別にいいけど。どうしたの?」
いつき「なんか僕、忘れてる単語がある気がするんだ。」
はる「と言うと?」
いつき「この前、さなから『好き』って言われたんだ。もしかすると僕が忘れてる単語って好きってやつなのかなって...。はるはさなと仲良いでしょ?さなはなんて言ってたか教えてくれない? 」
はる「なんでわざわざ私に聞くの?さなに聞けば良いのに。」
いつき「なんか恥ずかしいんだ。分からないけど。その好きってやつが。」
はる「...。じゃあ教えてあげるね。」
『ごめん、さな。私本当は好きって分かる。
今が辛いよ。本当に好きなんだ、いつきのこと。』
はる「私はいつきのことが好き。」
いつき「...え?」
はる「好きっていうのはね。その人のことが特別に思えて...。ごめん忘れて。」
いつき「いや、全部言ってよ。まだ僕には分からない。」
はる「分からないのはこっちだよ!!!」
(あまりの気迫に黙り込むいつき)
はる「なんで好きって分からないの...。さなはさななりに困ってるんだよ。好きが伝わらない辛さを。私はいつきが好き!でも2人も好きなんだ...。どうすればいいか教えてあげるよ!さっさとさなに会ってこい!そしたらこう言うんだ『好きです』って!」
いつき「やっぱり僕には好きってやつが分からない。でもそうするのがさなのためなら僕は今すぐに好きって言いに行く。」
(はるがいつきに駆け寄る)
はる「...行け!」
(思いっきり背中を叩く)
いつき「うん、分かった。」
(走って出ていくいつきを見つめるはる)
はる「やっぱり...好きだな。頑張れよ。」
(もう日が暮れている)
はる「こっからじゃ、月。見えないや。」
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(さなの後ろを追いかけるいつき)
いつき「...さな!」
さな「どうしたの?」
いつき「いや、夜暗い中を彼女1人で歩かせられないだろ...。恥ずかしいこと言ったな今。」
さな「うん。こっちも恥ずかしい。」
いつき「月がきれいですね。」
さな「いや、月は見えないけど。」
(とまどうさなに、いきなりキスするいつき)
いつき「走ってる時に思い出した。僕はさなが好きです。やっと言えた。遅くなってごめんね。」
さな「月がきれいなのは多分...」
いつき「分かるよ言いたいこと。」
二人で見てるから月がきれいなんだ
(雲の合間から満月が見える)
終
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