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【蒸し蕎麦×京都】梅干しに魅了される。


古き良き趣の残る「京の都」を訪れたのは、
まだまだ厳しい寒さが続く2月初旬だった。


京都を訪れるのは、これで何回目だろうか。

妹が関西の大学に進学してからというもの、
少なくとも毎年1、2度は訪れていたため
京都に来たら必ず誰しもが行くであろう有名な観光スポットは大体行き尽くしてしまっていた。

そんな今回の来訪目的は、
就職に伴う妹の引っ越しの手伝いである。

妹も私の住む東京への上京が決まったため、おそらく京都へ気軽に来訪できるのは今回が最後だろう。


「蕎麦を食べに行こうよ」

京都滞在の1食目、
せっかくだから京都らしい京料理を味わいたい。

そんな私の淡い希望を汲み取るはずもなく
マイペースな妹は、遠慮なくそれを提示してきた。

何でもちょっと珍しいお蕎麦屋さんが丸太町にあるらしい。

暖簾


バスと電車に揺られて数十分。
烏丸線の丸太町駅に降り立ち、京都御所近くを少し歩いて小道に入ると、いかにも京都らしい日本家屋が並び、白い暖簾が見えてくる。


なんでも休日は店の前に長蛇の列ができるほどの人気店らしい。

訪れた日は幸いにも平日の、ランチタイムのピークを少し過ぎた頃だったためすんなりと入ることができた。


靴を脱いで座敷に上がる。
中に広がる和室は、祖父母の家にいるような懐かしさを感じさせる。
違う点は、店内で流れる音楽がジャズであることだろう。

メニュー

メニューは至ってシンプル。
「温かい(あつもりそば)」か「冷たい(皿そば)」、どちらかを選ぶだけ。

有名なのは「あつもりそば」らしい。
よく見たら名前にも「敦盛(あつもり)」が入っている。
単位が一斤なのも不思議だ。


あつもりそばを一斤、2つ注文し
出された「温かいお茶」ではなく、珍しい蕎麦湯を飲みながら和モダンな空間を暫し楽しんだ。

あつもりそば


暫くすると、女将さんが蒸籠に入ったそばと薬味の入ったお椀を持ってきてくれた。

「あつもりそば」はいわゆる、
茹でずに蒸籠で蒸したお蕎麦のことらしい。

通常の蕎麦よりも黒々としているのが特徴だ。

お椀の中には、たっぷりの九条ネギ。
その下に生卵が隠されていた。

とっくりに入った火傷しそうなほど熱々のつゆをお椀にぶっかけて、卵と山葵を混ぜてから蕎麦をいただく。

蕎麦自体にコシはなく、つるっとした蕎麦の喉越しが好きな人には物足りなさを感じるかもしれない。

シャキっとしたネギの食感とトロッとした卵、熱々のつゆと蕎麦を絡ませる。
蕎麦そのものを味わうというより、ひとつひとつの食材が合わさった食感を楽しむ。

お椀に入った薬味とつゆ

ペロッと食べてしまいそうな気がしていたが、
残り一口になる頃にはお腹も限界を迎えていた。


最後に、お口直しにと添えられていた梅干しを口に放り込む。

保育園に通っていた頃、ネギを食べた後に残る独特の青臭さが嫌いで、給食に出ていたネギを床に捨てて怒られたことがある。

大量のネギを摂取しておいて今更だが、子供の頃ほどではなくとも今でもネギ特有の臭みは苦手だ。

しかし、はちみつの甘みと梅干しならではの酸っぱさが口に残る臭みを消してくれたらしい。

梅干の思いがけない効能に驚きながらさっぱりとした気分でお店を後にした。


少し不思議な雰囲気のある蕎麦屋さん。
梅干好きな人には絶対にオススメしたいお店。

うだるような夏の暑い日に、皿そば(冷たい蕎麦)を食べに行くのもいい。

京都を訪れ、さっぱりとしたい日にはぜひ足を運んでみてほしい。



📍竹邑庵太郎敦盛
京都府京都市上京区椹木町通烏丸西入養安町242-12
予算 ¥1,000-¥1,999




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