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Simon & Garfunkel 「Sounds of Silence」 (1966)

高校3年のとき、クラスで演劇をする機会があり(それが文化祭だったのか、何だったのか、全く記憶にないのですが)、映画「卒業」まがいのものをアレンジしたような記憶があります。私は音楽担当で、この時にサイモン&ガーファンクルを聴き込みました。もちろんチョイスした音楽はS&G中心。本作収録の「Kathy's Song」とか「April Come She Will」とか、採用したような…(ホント、記憶が曖昧ですみません)。

今でこそサイモン&ガーファンクルって、往年のビッグスターというイメージが定着してますが、デビュー当時は全く売れなかったんですよね。
1964年10月に発表されたデビューアルバム「Wesdnesday Morning, 3AM」は全く商業的にはヒットせず(3,000枚しか売れなかったらしい)、失意のうちにS&Gは活動停止し、アートは学業へ、ポールは単身イギリスに渡英します。そしてポールはイギリスで修行を重ね、ソロアルバムを発表するに至ります。

そんな中、ボストンのラジオ局で、S&Gのデビューアルバムに収録されていた「The Sound of Silence」が人気を集め始め、そんな動きにS&Gのデビューアルバムのプロデューサーのトム・ウィルソン(ボブ・ディランのプロデューサーでもあった)が敏感に反応。S&Gの許可なく、「The Sound of Silence」をバーズ風のフォークロックにアレンジしなおし、シングルとして1965年9月に発表(もともとの「The Sound of Silence」は完全なフォークソングだったのです)。これがなんと翌年に全米No.1を記録してしまうんですね。
ポールはアメリカに呼び戻され、S&Gは急遽セカンドアルバムを制作、発表することになります。

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そうなんです、急ぎ制作されてしまったのが本作。実際、ポールのソロアルバムから拝借した楽曲も多く収録されてますし。ポールは自らの楽曲が、商業的なアレンジに仕立て上げられたことに激怒したと云われてますが、結局このビッグヒットが、自分がやりたいことが出来るようになっていくことに繋がっていくわけで、人生って何があるか分からないって感じちゃいます。

①「The Sound of Silence」はあまりにも有名なので、あえてここでは言及しません。むしろ②「Leaves That Are Green」のようなハープシコードをうまく生かしたようなアレンジなんかいいですね。

ちょっとサイケな感覚も感じさせる③「Blessed」なんかは、モロにバーズなんで、後のS&Gサウンドを踏まえると、ちょっと違和感を感じます。でも完成度高い楽曲です。

ポールのソロアルバムにも収録されていた④「Kathy's Song」。もちろん当時のポールの彼女のことで、そのキャシーとは件のソロアルバムのジャケットに2人で写ってます。本作でもこの曲はアコギ中心のフォークタッチに仕上げてます。

⑥「Anji」はイングランドのギタリスト、デイヴィ・グレアムのカバー。ポールが渡英した際に、デイヴィとは間違いなく交流があった筈で、ポールの奏法にも多大な影響を与えたと思われます。貴重な映像をアップしておきます。なんとポールの実兄、エドとの共演の映像です!

⑦「Richard Cory」は自殺がテーマとなっている楽曲。金持ちのリチャード・コリー、でも自殺してしまう…。人の気持ちなど、誰も分からない。ポール・サイモンの風刺の効いた詞もいいです。

アコギを買ったら誰もが挑戦したくなるイントロを持つ⑨「April Come She Will」。もちろん私も練習しました。意外と弾けるもので、実際弾けると嬉しいものです。この曲、アートの優しく語りかえるようなヴォーカルも素晴らしい。アップした映像は1982年のセントラルパークでのもの。

イントロのアコギ、ハンマリング・オンとプリング・オフの3連3発。意外とアコギが難しい⑪「I Am a Rock」。この曲のフォークロックなアレンジ(特にオルガン)なんかは、ディランに酷似してます。

まだまだ初々しいS&G、ここから一気に成熟したフォークロックを奏でていきます。


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