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Sly & The Family Stone 「STAND!」 (1969)

先月が誕生日だったスライ・ストーン、もう78歳だったんですね。60年代から70年代に活動していた彼のバンド、スライ&ザ・ファミリーストーンの代表作といったら、1971年発表の「暴動」を推す方も多いと思いますが、やっぱり私はこのアルバムです。
あの小沢健二の名作「LIFE」でパクったロゴが有名な1968年発表のサード「LIFE」が商業的には失敗に終わり(確かに今聴いて見ると、本作や次作と比較してしまうとアルバムのクオリティはちょっと低いと感じますね)、スライは音楽理論を学び、相当奮起したらしい。このアルバムが発表されたのが1969年5月、そして先行シングルとなった⑥「Everyday People」の発表が1968年11月。このシングルが大ヒットを記録し、そのヒットの最中に本作は制作されたものなので、スライも気を良くしたのかもしれません。
実際このアルバム、まったく捨て曲なし、聴き所満載の熱いアルバムなんです。

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ジャケットからして熱気が伝わってきますね。タイトルが挑発的なアルバムタイトルトラックの①「STAND!」。
スライらしく歌詞は攻撃的で熱気がすごい迫力ですが、曲調は意外にもポップ。そんなギャップがいいのかもしれません。

「STAND!」の明るさから一転、詞もメロディもへヴィーな②「Don't Call Me Nigger, Whitey」。
いやいや、タイトルがスゴイ。1969年という時代背景を考えると、スライのパワーを感じますね。単調な楽曲ですが、この曲、ファンクの先駆けだったのかもしれません。

本作のハイライトトラックはやっぱり③「I Want to Take You Higher」でしょうか。ヴォーカルが次々と代わり、高揚感を見事に現してますね。ラリー・グラハムの超へヴィーなベースがとてもグルーヴィーです。この縦のりがスライストーンミュージックの特徴で、これはもう Higher!と叫んじゃうでしょ(笑)。本作発表前のウッドストックでは、この曲、興奮の坩堝だったことでしょう。アップしたのは1973年のライブ映像です。

ヴォーカルが愛らしい④「Somebody's Watching You」はポップチューン。これとシングルヒットした⑥「Everyday People」はやっぱりいいですね。
スライ&ザ・ファミリーストーンは超ファンクと超ポップな両面を持っていたから面白いバンドでした。人の生き方はいろいろと高らかに歌う「Everyday People」は、この時代だからこそ自由賛歌として捉えられたのかもしれません。しかし僅か2分21秒。キャッチー過ぎる(笑)。

超ド・ファンクの⑤「Sing a Simple Song」もスライらしい1曲。
ドラム、ベースがブンブン唸ってます。

個人的には本作がスライのベストと思ってます。スライの思想と音楽が、一番リスナーにフィットしたような作品。


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