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Airplay「Airplay」(1980)

AORの名盤。デヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドンがタッグを組んだユニットの唯一無二の作品。

AOR好きなら誰でも一度は聞いている歴史的名盤ですね。エアプレイ唯一のアルバム。1980年発表。
エアプレイといっても実質はデヴィッド・フォスター&ジェイ・グレイドンのユニットなのですが(さらに正確にはメンバーにトミー・ファンダーバークが加わっている)、AORサウンドを牽引していた当代きっての名うてのミュージシャン、デヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドンが結成したユニットなので、悪い筈がありません。70年代後期のAOR史を盛り上げたのは間違いなくデヴィッド&ジェイであり、その音色は聞いていてすぐわかるものでした。本作品はそういったAORを総括する一枚、といってもいいかもしれません。

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彼等の下に集結したミュージシャンはドラムはジェフ・ポーカロとマイク・ベアード、ベースはデヴィッド・ハンゲイト、ギターはスティーヴ・ルカサーとレイ・パーカー・Jr。コーラスはトム・ケリー、ビル・チャンプリン、マックス・カール。シンセにスティーヴ・ポーカロ、ホーンはシーウィンド・ホーン隊。当時のフォスター派閥の方々ですね。

この当時、彼らの仕事振りはE,W&Fの超名曲バラード「After The Love Is Gone」で有名で、もちろん本作にもセルフカバーとして収録されているのですが、あのバラードを期待して本作を聞くと、いきなりがっかりされる方も居られるでしょう。AORというと洒落た音楽ってイメージかと思いますが、このアルバムは80年代の商業ロック寄りのAORなんです。

なんといってもオープニングナンバーの①「Stranded」はAOR的ハードロック。トミーと業界ではお馴染みのトム・ケリーの超ハイトーンのアカペラコーラスでスタートし、激しいギターがリフを奏でるハードロックですから、オシャレ指数はゼロです(笑)。でもこれもジェイ・グレイドンのカラーの一つですね。カッコいいナンバーです。

「Nothin' You Can Do About It」は私はマンハッタン・トランスファーのカバーで後から知りました。ポップスの名曲。これこそジェフ・ポーカロお得意のシャッフル。後に「ロザーナ」でハーフタイムシャッフルを披露しますが、この曲のドラムはその片鱗が窺えます。間奏のギターソロは如何にもジェイ・グレイドンらしくカラフル。そしてこの曲のリード・ヴォーカルはジェイ自身です。歌も上手い!

⑩のバラードに匹敵する美メロの⑤「Should We Carry On」。この曲も大好きです。フォスター流のバラードですね。サビに絡む、ジェイのギターも大好き。

後半⑥~⑧は80年代初期のジャーニー、TOTOの匂いを感じさせる曲が続きます。なかでも私の一番好きな曲は⑨「She Waits For Me」です。ノリのいいメロディアスな曲で、ジェイらしいギターの音色、彼等らしいコーラス、どれをとってもこれが典型的なAORロックっていう感じです。このドラムはマイク・ベアードかな。

本作品はエアプレイ版⑩「After The Love Is Gone」で終わりますが、クロージングナンバーにぴったりですね。作曲にも参加していたビル・チャンプリンの力強いコーラスが印象的。

この後80年代はMTVの普及と共に、ロックも商業ロック化していきますが、本作品はその端境期に産み落とされた名盤だと思います。ただ当時本作品が売れたという記憶がないんですよね。時代を先取りしてしまったのか、後から評価されていった名作です。

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