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Michael McDonald「If That's What It Takes」(1982)

関東も梅雨入りのようですね。鬱陶しいこの時期に気分だけは爽快に…、やっぱり聴きたい音楽といえばやっぱりAOR。あの当時の典型的な音、名盤といえば、マイケル・マクドナルドのソロデビューアルバム。当時はシングルヒットした「I Keep Forgettin'」しか印象に残らなかったのですが、こうしてアルバムとして聴くと、実にいい曲が詰まっているのです。以降の彼のソロアルバムも何度か聴いてますが、コレを超えるアルバムはないような気がします。

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プロデュースはご存じ、テッド・テンプルマンレニー・ワロンカー。バーバンク・サウンドと呼ばれる一連の音楽のプロデューサーですね。
本作に参加したミュージシャンも豪華。ドラムはジェフ・ポーカロスティーヴ・ガッド。この2人が同じアルバムに参加しているってケースはあまりないような気がしますね。ギターにスティーヴ・ルカサーディーン・パークスロベン・フォード。ベースにルイス・ジョンソンウィリー・ウィークスマイク・ポーカロ。キーボードはグレッグ・フィリンゲイズマイケル・オマーティアンケニー・ロギンスクリストファー・クロスなんかもコーラスで参加してます。マイケル・マクドナルドのソロだったら、これくらいの方々が参加していてもおかしくないですね。ジャケットも粋です。

大ヒットを記録した②「I Keep Forgettin'」は本作からのファースト・シングル・ナンバー。当時はアダルト・オリエンテッドなこの曲の良さを理解出来ませんでした(苦笑)。ルイス・ジョンソンジェフ・ポーカロのリズム隊が繰り出す圧倒的なグルーヴ感に心躍らされます。特にイントロのグルーヴ感は半端ないです。地味ですが、エンディングでのジェフのバスドラのフィルイン(わずか1拍しか登場しませんが)が強烈。ここではせっかくなので、ドゥービー・ブラザーズでの演奏をどうぞ。

セカンドシングルが④「I Gotta Try」。盟友ケニー・ロギンスとの共作です。ケニーとはドゥービー時代の大ヒット曲「What a Fool Believes」でも共作してます。この曲も、キャッチーなマイケルのキーボード・リフと覚えやすいメロディが印象的。コーラスにはケニーが参加しております。
ケニーは同時期にアルバム「High Adventure」を発表していますが、ここでもこの楽曲は収録されてます。ケニーのバージョンは、かなりシンセが強調されてますね。

アルバム・タイトル・トラックの軽快な⑦「If That's What It Takes」。イントロからAメロは単調な8ビートロックか、と思いきや、Bメロからはマイケルらしい展開に。ビートが強烈ですが、これはウィリー・ウィークスのベースに拠るもの。

ジェフのドラミングが心地よい⑧「No Such Luck」は、この当時流行ったAORサウンドって感じ。ジェフが得意とするフィルインも聴けます。

大人の雰囲気漂うバラードの⑨「Losin' End」は、1976年発表のドゥービー・ブラザーズのアルバム「Takin' It to the Streets」で発表されたナンバーのリメイクバージョンです。テンポを変えただけで全く違う曲に聴こえてしまうから不思議です。

エンディング・トラックはバラード…ではなく、カッコいいAORナンバーで…。⑩「Believe in It」はそんなトラックです。マイケル節全開の、静と動が強調された実にリズミカルなナンバー。エンディングにかけては、スティーヴ・ガッドのドラミングを中心に白熱したプレイが聴けます。気のせいか、マイケルの力強いピアノも、リチャード・ティーのプレイに聴こえますね(スタッフのプレイみたいです)。

かっこいいアルバムですよね。1982年というと、AORの全盛期。正直コレ以降のAORって、シンセ音が強調されたものが多く、あまり好きになれません。個人的には本作はAOR後半の名盤と思ってます。

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