見出し画像

Boz Scaggs「Middle Man」(1980)

本作はAORの帝王、ボズが最後に光り輝いた名盤といったら怒られるでしょうか? 
70年代後半、ボズはBoz Scaggs 「Silk Degrees」(1976)、Boz Scaggs 「Down Two Then Left」(1977)といったAORの名盤を相次いで発表していき、80年代の幕開けに本作を発表します。

画像1

①「Jojo」のイントロを聴いただけで、TOTOの香りを感じてしまいます。
本作の中心メンバーはDavid Foster(Key)、David Hungate (B)、Jeff Porcaro (Ds)、Steve Lukather (G)。つまりTOTO派がタイトな演奏をしています。もともとTOTOはボズのバックを務めていたので、「TOTOの香り」という言い方はおかしいかもしれませんね。でもやはりキーとなっているのはジェフのタイトなドラムでしょう。この「Jojo」でもイントロのシャッフル系フィルインはジェフならではです。

ボズといえば「We're All Alone」のようなバラードを一般的には連想しますが、私はやっぱり②「Breakdown Dead Ahead」のような豪快なロックが好みです。TOTOの「Goodbye Elenore」を彷彿させる素晴らしいロックですね。アップした映像をとりあえずフルヴォリュームで聴いてみて下さい。1980年の日本武道館でのライブ。この時のボズはとにかくかっこいい。

③「Simone」は80年代の香りを漂わせたミディアムテンポのAOR。
デヴィッド・ペイチがシンセサイザーで参加してます。ここでも切れ味鋭いジェフのフィルインが目立ちます。でもこの曲、やっぱりどう聴いてもTOTOとダブりますね。

「Middle Man」版「We're All Alone」、④「You Can Have Me Anytime」。
なぜか邦題は「トワイライト・ハイウェイ」??? 気持ちは分かりますが・・・(笑)。
ここでの聴き所は泣きのギターソロ。スティーヴ・ルカサーと思いきや、なんとカルロス・サンタナです!
確かにこの泣き具合はサンタナ節ですね。素晴らしいバラードです。

80年代ロックの要素が加味されたタイトルトラック⑤「Middle Man」。
ルークのギターとデヴィッド・フォスターのキーボードが全面に押し出されたもの。サザンソウルがベースにあった「Silk Degrees」には収録されていない類の曲ですね。当時この曲を聴いて、ここまでハードにならなくても・・・と思ったものです。

当時大好きだった⑦「Angel You」。
ボズ流ライト感覚なロック。ローズマリー・バトラーとの掛け合いもいいし、ちょっとうるさいルークのギターソロもかっこいいですね。シンセの音が80年代っぽい。
エンディングでのジェフのハイハットワークもお気に入りです。

こうしたボズは80年代の幕開けに素晴らしいアルバムを披露してくれましたが、この後音楽活動を休止し、実業家へ転身してしまいます。そして1988年に再び音楽業界へ戻って来ましたが、1976年から1980年のボズ3部作に勝るAORアルバムはなかなか見当たらないでしょうね。でもここ最近のボズも渋いアルバムを発表してますね。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?