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Harpers Bizarre「Secret Life of Harpers Bizarre」(1968)

ドリーミーなポップスが素晴らしいソフトロックの名盤

私の大好きなハーパーズ・ビザール。殆どの方はこのバンドをご存知ないと思われますが、ドゥービー・ブラザーズヴァン・へイレンのプロデューサーとして著名なテッド・テンプルマンが在籍していたバンド、と言えばピンと来られる方もいらっしゃるかもしれません。

といってもそのサウンドはアメリカン・ハードロック的なものでは全くなく、オールドポップスであり、非常にドリーミーなサウンドとなってます。

プロデューサーであるレニー・ワロンカーを中心に、60年代後半、素晴らしいポップスを聴かせてくれた集団、その音楽を総称して「バーバンク・サウンド(ワーナーの本拠地がバーバンク)」と呼ばれてますが、その代表格がハーパース・ビザールです。

彼らは通算4枚のアルバムを発表しておりますが、そのなかでもソフトロックの名盤と呼ばれているのがサードアルバムである本作です。

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本作はダニー・ケイ主演の映画「虹を掴む男」からインスパイアされたもので、映画自体は夢想癖のあるサラリーマンをコメディタッチに描いた名作ですね(といいつつ私は見たことがありませんが)。
その夢想癖を音楽で展開したものが本作なんです。ストリングスをバックに甘いヴォーカル、美しいコーラスが彼らの持ち味。映画「フィニアンの虹」のストリングスが美しいテーマ曲「Look To The Rainbow」がオープニングや途中に織り交ぜられて、南北戦争、開拓時代の西部、日本など、様々なところへ聴き手を誘っていきます。

特に私のお気に入りは⑦「Me, Japanese Boy」。バカラック=デイヴィッドの作品です。あのニック・デカロがアレンジを担当。ニックらしいオーケストラ・アレンジで、美しいメロディを盛り上げます。

また⑫「Funny How Love Can Be」はあのトニーバロウズが在籍していたアイヴィ・リーグのカバーで、軽快なポップスに仕上がってます。ハーパースのコーラスもいいのですが、ペリー・ポトキンJrの絶妙なアレンジが何といっても素晴らしい。途中で曲が止まったりと、一定の緊張感を持たせたアレンジですね。

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一番手前、真ん中がテッドですね。70年代のロックを支えた男、テッド。それにしてもハーパース・サウンドとヴァン・ヘイレン・サウンドは全く結びつかないんですが…(笑)。
ハーパースはテッドとディック・スコパトーンの甘いヴォーカル&ハーモニーアレンジが大きな特徴ですね。

本作を愛してやまない多くの方はその甘いヴォーカル&ハーモニーの極み、⑮「The Drifter」を聴くことを生きがいにしているかもしれません(ちょっと大げさですね)。
本作、いやソフトロック史上最高の曲がこの「The Drifter」かもしれません。
この曲は有名なロジャー・ニコルス&ポール・ウィリアムスのゴールデンコンビの超名曲で、ロジャー自身もスモール・サークル・オブ・フレンズでセルフカバーしてます。しかしやはりこのハーパーズ・ヴァージョンが最高ですね。アレンジはニック・デカロ。このアレンジがいいんですね~。
ドリフター、つまり放浪者なんですが、♪  There is a drifter in me  ♪ と高らかに自由であることの素晴らしさを歌います。この歌詞とメロディ、アレンジが絶妙に合わさり、まさに「音楽の魔法」を感じさせる1曲となってます。

本作のラストに「The Drifter」が来ることで、この旅も終わってしまうのかという切なさが伝わってきますね。
ソフトロックの超名盤ですので、聴かれてない方は是非聴いてみてください。

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