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Brian Elliot「Brian Elliot」(1978)

多分ほとんどの方が知らないと思うブライアン・エリオットの唯一のソロアルバム。
世間的にはブライアン・エリオットって全く知られていません。せいぜいマドンナの「Papa Don't Preach」の作者…くらいなもの。正直、謎のシンガーソングライターです。

その彼が1978年に発表したアルバムがめちゃめちゃいいんですよね。AORの名盤ガイドブックの常連さんでもあります。CDでは何度か再発売されているようですが、なかなか入手困難。でもAmazon Musicなら気軽に聴けます。ホントいい時代になりました。
ベン・シドランやジョン・ヴァレンティ(二人とも知名度低し)辺りが好みの方は、本作がお気に召すと思われます。

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プロデューサーはエリック・ヤコブセン。ラヴィン・スプーンフルとの仕事でも知られる人。そして参加ミュージシャンがスゴい。

Guitar:Fred Tackett、Jay Graydon、Larry Carlton、Lee Ritenour、Steve Beckmeier
Bass:David Hungate、Wilton Felder、Bob Glaub 
Drums:Jeff Porcaro、Mike Baird、Gary Ferguson、James Gadson

すべてのキーボードはブライアン本人。もちろん全曲、彼の作詞作曲。一体、どういう経緯で本作が作られたのか、非常に気になりますね。

アルバムトップは非常に軽快な①「Let's Just Live Together」。ブライアンのヴォーカルって、決して上手いって感じじゃないのですが、声質が黒い!この曲なんか、特にソウルフィーリングを感じます。各曲のミュージシャンのクレジットがないのが残念ですが、この曲のフィルインや、ハイハットワークから判断して、ジェフ・ポーカロのような気がします。

②「Summer Nights In Hollywood」は曲調がベン・シドランそっくり。歌い方までベン・シドラン風。ちょっとジャズ・テイストを感じさせる逸品です。

①②の流れから一転してクールな③「Queen Of Clowns (One For Lily T.)」。一級品のAORですね。①~③のバラエティに富んだ作風からも、ブライアン・エリオットの才能を感じさせます。

軽快な⑤「Tickets To Rio」。①「Let's Just Live Together」の作風に近い、こちらも春めいた季節にピッタリな楽曲。タイトルにリオってあるから、サンバ調の楽曲かと思ったら、そうではありません。アレンジはフィリーソウル風ですね。

本作中、一番キャッチーな⑥「The First Time」。♪ シャララ~ ♪ サビが頭から離れない。このトラックなんかは、シングルヒットしそうな楽曲なんですけどね。当時のブライアン、世間の本作の反応にガッカリしただろうなあ。

本作は捨て曲がなく、正直全曲ご紹介したいくらい。ですからここまで曲をアップし過ぎました。
これで最後にします(笑)。最後は⑨「Last Vegas Wedding」を。ちょっとサザンソウル風な、それもコッテリ感はなく、あくまでもポップス風に聴きやすいアレンジ。エンディングの♪ La La La~ ♪ これもいいなあ~。

こんな素敵なアルバムなのに、商業的には全くヒットせず。そしてブライアン・エリオットという名も、シーンからすっかり消えてしまいます。次に彼の名前を見るのは、1986年のマドンナの大ヒット曲「Papa Don't Preach」で。このヒットは、ワーナーのA&Rマンだったマイケル・オースティンが、この曲を引っ張ってきたことに拠るものらしい。でもブライアン、他に楽曲提供したって話は聞いたことがありません。ホントに不思議な方ですね。

気になってネットサーチしていたら、なんとブライアン・エリオットのHPを発見しました。

ここにはいくつかの楽曲とチープ感たっぷりのビデオがアップされてます。声は確かにブライアン…。洒落た楽曲がアップされてますね。彼、幼少時代はファッツ・ドミノやレイ・チャールズを聴いていたらしい。R&Bやジャズに影響された楽曲を演奏していた…と。なるほど~って感じですね(でもこのHPも実に貧弱な印象…、ちょっと変わった方なのかもしれませんね)。

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