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Blind Faith 「Blind Faith」 (1969)

クリームトラフィックが好きな私にとっては、このアルバムこそ、自分のツボにぴったりハマる作品だったのですが、やっぱりジャケットが…(苦笑)。このジャケットのせいで、聞かず嫌いになった人もいると思います(その逆も然り)。

ここで改めて申すまでもないのですが、メンバーはスティーヴ・ウィンウッドエリック・クラプトンジンジャー・ベイカーリック・グレッチの4人。当然ながら僅か半年程度の活動期間だったのですが、こうして1枚だけでも音源としてアルバムが残っていることは貴重ですね。
この辺の歴史的な作品の流れには詳しくなかったので、トラフィックとこの作品との位置関係があやふやだったのですが、トラフィック(3枚)⇒ 本作 ⇒トラフィック(6枚)という流れなんですね。つまりスティーヴにしても、ある意味この作品は重要な転換点を意味するのかもしれません。

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すみません、やっぱりジャケットは後から修正されたデラックス・エディションVerをアップしておきます(苦笑)。

さて、このアルバムは全6曲、たった6曲しか収録されてませんが、どれも聴き所が満載なんです。
まずはアルバムトップのハードな①「Had To Cry Today」。これこそブラインド・フェイスのサウンドかもしれません。イントロは完全にクリームの世界。力強いエリック・クラプトンのギターリフに、ジンジャー・ベイカー特有のドタバタしたドラム。でもスティーヴのヴォーカルが入ってくると、やっぱりトラフィックの香りが…。スティーヴ作です。
アップしたのは1969年6月のロンドン、ハイドパークでの演奏。観客のノリがイマイチですね。ここでのスティーヴはキーボードを弾いてますが、スタジオ音源ではエリックと対等にギターを弾いてます。とにかく才能のある人です。

②「Can't Find My Way Home」はブリティッシュ・フォークなスティーヴの作品。この曲は上の映像のハイドパークではエレキバージョンで演奏されていたのですが、やはりこの演奏には満足せず、結局スタジオ音源ではアコースティックなバージョンが収録されることになりました。
目立ちたがり屋のジンジャーもさすがにここでのドラム(パーカッション)はおとなしめ。でも途中で入るシンバルはうるさいですね(笑)。

アルバム作品中、唯一のカバーが③「Well All Right」。バディ・ホリーのカバーです。この作品を収録した時点では、まだリックは参加しておらず、よってここでのベースはスティーヴです。曲はポップだし、恐らく本作の中では、すんなり馴染める曲なのではないでしょうか。個人的には結構好きな1曲です。エンディングでのピアノのグルーヴ感も素晴らしい。でもよく聴くとベースがカッコいいですね。やっぱりスティーヴは天才です。

本作中、恐らく最も有名な曲がエリック作の④「Presence Of The Lord」でしょう。後のスワンプへ傾斜していくエリックの前途を感じさせる1曲です。アーシーなバラード調から、一転して激しいギターフレージングから繰り出されるパートも大好きです。個人的にはこの流れは、後の名曲レイラを感じさせる展開ですね。
ここでは最近の、といっても2007年のエリックのライブにスティーヴが途中参加した映像をアップしておきます。オリジナルはスティーヴが熱唱してますが、ここではエリックとスティーヴが歌い分けてます。恐らくエリックはこのブラインド・フェイス時代にスティーヴから相当な影響を受けたと思われます。特にヴォーカルスタイルなんかは、そう感じてしまいますね。
それにしてもこの名曲、こうして聴いてみても全く色褪せてません。むしろますますカッコいいヴァージョンに仕上がってますね(ギターでデレクの姿も見られますね)。

ここまでがA面。そしてB面はたった2曲。勘の鋭い人はもうお分かりかと思います。ジンジャー・ベイカーの悪い癖がまたここでも出てしまってます(笑)。まあそれは6曲目なんですが、その前にB面トップの⑤「Sea Of Joy」は、間奏のリックのヴァイオリンがひとつのハイライトで、そこだけはなんとなくのどかな雰囲気が漂うのですが、それ以外はなかなか緊張感のあるスリリングな演奏が楽しめます。スティーヴの熱唱を煽るようなエリックの力強いギターリフとジンジャー得意のタムでのドラミング、どれもが素晴らしいです。

アルバム最後を飾るのはジンジャー作の⑥「Do What You Like」。邦題「君の好きなように」。そう、誰もが「ジンジャー、お好きなように」と突っ込みを入れたくなるような1曲です(笑)。これ1曲で15分強。もったいない…(失礼)。
「Take Five」を連想させるような5拍子のリズム。もちろん間奏にはたっぷりジンジャーのソロが入ってます。個人的には彼の容姿とドラミングはあまり好みではありません。特にクリーム時代のはちょっと…。でもここでの演奏はスティーヴのヴォーカル&キーボードに救われてます。結構聴けるんですよね。15分耐えられない人も多いかと思いますが、ここでのプレイは私は聴けました(笑)。キーボード~ギターソロなんかはドアーズを連想させます。あのテの雰囲気が好きな方には堪らない1曲かもしれませんね。

こんな素晴らしい作品を残したブラインド・フェイスですが、結局ジンジャーとエリックが仲違いして、敢え無く空中分解してしまいます。この後スティーヴはなぜかジンジャーのバンドに加わるのですが、その後ソロアルバムの制作に入り、そこにクリス・ウッドとジム・キャパルディが加わったことで、トラフィックとして名盤「John Barleycorn Must Die」を発表します。エリックの活躍も皆さん、ご存知の通りですね。

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