見出し画像

荒井由実「COBALT HOUR」(1975)

かなり昔の雑誌ですが、レコードコレクターズ2010年8月号の特集は「日本のロック/フォーク・アルバム・ベスト100」。レココレにしては珍しく邦楽をフューチャーした記事ですが、内容はレココレらしいマニアックなもので、相変わらず心動かされる記事で、今もたまに読み返しております。

表紙ははっぴいえんど。社会人1年目の配属店の食堂のおばちゃんが大滝詠一氏のおばにあたる方で、「彼は風変わりな子供だ」といつも言っていました。はっぴいえんどを見聞きするたびに、そんな昔のことをいつも思い出してしまいます。
そして順位はもちろん1位ははっぴいえんど「風街ろまん」、2位はジャックス「ジャックスの世界」(これは聴いたことがありません。そんなにいいのかな??)、3位はシュガーベイブ「Songs」・・・、以下100位までツラツラとアップされてます。
これらを見ながら、この70年代の日本の音楽史を支えてきた重要な人物をひとり挙げろ、と言われれば細野晴臣氏かな、と個人的には考えます

そして私の大好きなユーミン。特に荒井由実時代の4枚の輝ける名盤は、ユーミン&ティン・パン・アレー(キャラメル・ママ)の研ぎ澄まされた音とメロディが堪能でき、めちゃめちゃ大好きなのですが、この特集に「COBALT HOUR」「14番目の月」がランクインされてません。ファースト「ひこうき雲」が11位、セカンド「ミスリム」が38位、それにしても順位は低いですね。やっぱり評論家連中は、ちょっとミーハー的なものを低く見る傾向があるのでしょうか・・・。

ランクインすらしていない「COBALT HOUR」ですが、相当な名盤なので、レココレが紹介しないのであればここでご紹介しておきます。

画像1

この作品が発表されたのが1975年。間違いなく当時のJ-POPの最高峰、最高の面子が揃った作品。以下主要な参加メンバーは・・・、        細野晴臣(Bs)、鈴木茂(G)、林立夫(Ds)、松任谷正隆(Key)、斉藤ノブ(Per)、ハイ・ファイ・セット、吉田美奈子、大貫妙子、山下達郎、伊集加代子(Cho)・・・。

先に貴重な映像をご紹介。⑤「ルージュの伝言」。これもまた超有名な1曲ですね。いろいろな方々がこの曲をカバーしてますが、何といっても面白いのがこの映像。
ギター・林立夫、ベース・鈴木茂、ドラム・細野晴臣!!! これは面白い。映像には写ってませんが、恐らく松任谷正隆氏だけは、この曲のキーとなるピアノは他人に任せられないと思ったのでしょう(笑)。演奏は確かに二流の演奏ですが・・・。
実は私もサークルの合宿でこのテのお遊びをしたことがあります。ドラムがギターのやつで、ベースがヴォーカル、ドラムの私はギター&ヴォーカル、で、演奏したのがオフコースの「眠れぬ夜」(笑)。楽しかった~。
そうそう、この映像ですが和製ロッド・スチュアート(爆)が乱入します。ユーミンのいやそうな顔・・・、演技とはいえ笑えます。これも貴重な映像ですね~。

ちょうど上と同じ番組の映像のアルバムタイトルトラック①「COBALT HOUR」。音の悪い映像なのに、細野氏のベースが唸りを上げているのが分かります。タワー・オブ・パワーのロッコ・プレスティアのベースのようなスピーディかつファンクな、地を這うようなプレイでいいですね!
また鈴木茂のジェットプレーン的なスライドギターも最高です。この演奏を聴くだけでも、このアルバムの存在価値は十分ありますね。
そうそう、ユーミンの歌詞・・・、白いベレG(いすずのスポーツ車のこと)、あなたは昔、SHONAN-BOY、わたしは昔、YOKOSUKA-GIRL なんて歌詞もユーミンらしい。

それにしても2曲目に「卒業写真」とは、なんて贅沢なんでしょう。確かユーミン自身、この曲を再度セルフカバーしていますが、やっぱりこのティンパンの演奏が堪りませんね。特に鈴木氏のギターソロ、名演です。林氏のタイトでツボを押さえたドラムも聴き所、満載だし。とにかく素晴らしい。    ここではユーミンの弾き語りをどうぞ。

④「何もきかないで」。翌年に岡崎友紀がカバー。「おくさまは18歳」のあの岡崎友紀ですね。この岡崎友紀のカバー、意外にもしっとり感がうまく出ており、やるな~って感じです。

アレンジが秀逸なのが⑦「チャイニーズ・スープ」。タイトル通りチャイニーズフレイヴァーたっぷりの楽曲。ひょっとしたら細野氏の音楽趣味の影響なのかもしれません。

私の大好きな⑧「少しだけ片思い」。これぞポップスの見本のような楽曲。なにが好きかって、そりゃコーラスアレンジが山下達郎氏で、その達郎氏のファルセットヴォイスが堪能できる瞬間が堪らないのです。
その達郎氏のコーラスは後半のア~ア~ア~・・・
達郎氏にしか出せないフィーリングです。
アップしたのは、なんと!!荒井由実の八王子のご自宅からの演奏シーン。なんて自宅なんだ~!!

名曲⑨「雨のステイション」。学生時代は②「卒業写真」派でしたが、年を取るにつれて、この渋い1曲のいぶし銀的な心の染み具合に惹かれてます。映像は悪いですが、楽曲は堪能出来ます。いい曲ですね。

ラストトラックの⑩「アフリカへ行きたい」は①「COBALT HOUR」へと繋がる仕掛けになってます。これもまたティンパンのスリリングな演奏を楽しむべき1曲。斉藤ノブのパーカッション、鈴木茂のギター、どれもかっこいい。

名曲揃いのアルバムですね~、やっぱり(荒井由実の4作品はどれもそうなのですが・・・)。あとアップした映像は当時のユーミンですが、キレッキレですね。才能が迸ってます。スゴイ天才!              このアルバム、ティンパンの演奏が堪能でき、個人的には荒井由実4作品のなかでは一番好きかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?