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Charlene「I've Never Been To Me」(1982)

1982年に大ヒットしたシャーリーンの「愛はかげろうのように」は本当によく聴きましたし、未だに思い出したように聞いております。当時は日本未発売の曲で、一体どういう歌手なのか、不思議でしたね。

この曲が収録されているアルバムを購入したのは10年以上前のこと。その時に初めて知ったことが2点あります。

1点はシャーリーンの本当のデビューは1977年なんですね。あのモータウンレーベルからのデビューで、ベリー・ゴーディなどは「我が社初の、大型ポップ・シンガーになる」と予言し、精鋭を集めてこのアルバムを制作したものの、当時は全く売れませんでした・・・。
絶対売れると思っていたシャーリーン、失意のうちにシーンから引退し、ロンドンに引っ込んでしまいました。
ところが1982年にフロリダのラジオ局が、たまたまこのアルバムの1曲目、タイトルトラックの「愛はかげろうのように」を流したところ、大反響。大ヒットに至った次第。
シャーリーンはロンドンでモータウンから電話を貰い、事の次第を知ったとのこと。名曲は永遠に不滅ですね。

2点目はこのレコーディングに参加しているメンツが凄いこと。ドラムはエド・グリーン。ベースはウェルトン・フェルダー、リーランド・スカラー、ギターはリー・リトナー、ジェイ・グレイドン(!)。アレンジはドン・コスタ。モータウン系でこうしたプレイヤーが参加しているのも珍しいのではないでしょうか?

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とにかくシャーリーンといえば①「I've Never Been To Me(愛はかげろうのように)」ですね。このメロディは本当に感動的です。後に椎名恵が「Love is All」と改題して唄ってましたが、やはり断然原曲がいい。
途中で英語の台詞が入りますが、当時は(今も?)何を言っているのかよく分かりませんでした。

Hey, you know what paradise is?
It's a lie, a fantasy we create about people and places as we'd like them to be
But you know what truth is?
It's that little baby you're holding, it's that man you fought with this morning
The same one you're going to make love with tonight
That's truth, that's love......
(訳さずにそのまま台詞を載せました)

シャーリーンはプライベートでも、病気・退学・結婚・麻薬漬、離婚など相応苦しい体験をした人らしい。そういった経歴、ヒットした経緯などを踏まえてこの曲を聞くと、一層感動的ですね。

後に私が大好きだったBS音楽番組「SONG TO SOUL」でもこの曲を取り上げてました。その時出演していたのがシャーリーン、この曲の作者のKenneth  Hirsch、そしてジェイ・グレイドン(!)。
間奏のセリフはファーストテイクではカットされていたもの。再発売された際に改めて載せたものですが、このセリフが語っている「本当の幸せは日常のちょっとしたことにある」というメッセージは永遠のものだし、シャーリーンも番組でそう語ってました。

さて本作自体は「どこにリトナー?、ジェイ?」などと思ってしまうほど、ストリングス中心のゴージャスな曲中心。ただ、なかなか各々曲は粒揃い。つい聞き入ってしまう曲もあります。

この後シャーリーンには大ヒットは再び生まれることはありませんでしたが、「愛はかげろうのように」1曲で彼女の名前は洋楽史に刻まれることとなりました。
本当に名曲ですので是非聞いてみては如何でしょう?


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