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Michael Franks「Sleeping Gypsy」(1977)

ソフト・ボッサの決定盤、マイケル・フランクスの代表作!

学生時代、よく今井美樹を聴いてました。彼女のデビュー当時のアルバムはAOR色が強くてなかなか侮れませんよ。そのなかの一枚に洋楽をカバーした「Fiesta」(1988年発表)という名盤があります。

ここには「Close to you」、「Reunited」、「Feel like makin' love」、「Lovin' you」、「Superstar」といった素敵な名曲たちがカバーされてますが、そのなかでもひときわ上品な曲が収録されてました。それがマイケル・フランクスの「The Lady Wants To Know」です。
当時、このフュージョンの香りがする曲が私は大好きで、そこからマイケル・フランクスというアーチストを知りました。

本作はその名曲「The Lady Wants To Know」を収録したマイケル・フランクスのサードアルバムで、AORの名盤とも云われてます。オシャレな音楽を聴きたいなら、まずコレ…ですかね。

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プロデュースはトミー・リピューマ、エンジニアはアル・シュミット、そしてアレンジはクラウス・オガーマン。クラウス・オガーマンは、あのアントニオ・カルロス・ジョビンの不朽の名作「波」のアレンジを担当した人物で、繊細で美しいオーケストラアレンジを得意としています。  
これだけでも贅沢の極みなのに、ご存知のように本作の参加アーチストが凄い!
ジョー・サンプル、ウェルトン・フェルダー、ラリー・カールトン、デヴィッド・サンボーン、マイケル・ブレッカー等。当時のフュージョン界のオールスターズがレコーディングに参加していたということですね。

マイケル・フランクスの楽曲は一種の芸術作品ですから、プロのミュージシャンも快く参加したのでしょうね。

本作1曲目が件の①「The Lady Wants To Know」。イントロから完全にマイケル・フランクスの世界。暖かい午後の昼下がり、ボーッとして聴いていたい。ラリー・カールトンのスィートなギター。クラウス・オガーマン特有の優しいオーケストラ・アレンジ。ジョー・サンプルの優しいピアノ。そしてささやくようなマイケルの歌声。この曲がマイケル・フランクスの世界、全てを現してます。
これ1曲だけでも聴く価値は十分ありますね。

⑤「Don't Be Blue」はマイケルにしてはアップテンポな曲。こうした曲は単調になりやすいのですが、デヴィッド・サンボーンの人間味あるサックス等アレンジの妙で一気に聞かせます。ジョー・サンプルのフェンダーソロも最高!

本作では「The Lady Wants To Know」と同様有名な楽曲が⑥「Antonio's Song」。
そうです。ボサノヴァの巨匠、アントニオ・カルロス・ジョビンに捧げた楽曲です。マイケル・フランクスの世界はボサノヴァとクロスオーバーするもの。敬意を表した1曲ということでしょう。それにしても美しい世界が広がってます。すべての演奏が優しい!

UCLA出身のマイケルは音楽理論もしっかり学んでいる人物で、ある意味高尚な人物なんですよね。彼の他のアルバムも、楽曲、アレンジ、ジャケットなど全てにおいて、そういった上品な気質に溢れてます。

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