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George Harrison「Cloud Nine」(1987)

ジョージ、会心の1枚。
80年代のジョージって、「All Those Years Ago」のヒット以降はパッとせず、専ら趣味の世界に没頭していたような印象です。
そのジョージが、ビートルズ以上にビートルズを知っているELOのリーダーでもあるジェフ・リンと出会い、生まれた作品が本作。

ジョージはこの作品で復活を果たし、一方盟友エリック・クラプトンはその後に愛する息子を事故で亡くし、失意のなかにいるところをジョージが彼を励ます意味で、1991年にジョージ&エリックの日本公演が実現。
ジョージとエリックの関係は深いものがあります。

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本作に参加したミュージシャンがまたスゴイ。

Jeff Lynne – guitars, bass, vocals, keyboards
Eric Clapton – guitar
Elton John – piano
Gary Wright – piano
Ringo Starr – drums
Jim Keltner – drums ・・・etc.

スゴイですね。ゲイリー・ライトは60年代はスプーキー・トゥースというバンドのリーダーで、ソロになってからも1976年に「夢織り人」って曲を大ヒットさせたアーチストです。他はお馴染みのメンバーですね。

さて本作、従来のジョージ・ファンからすれば邪道、というかジェフ・リンのアルバムじゃないか、と思われるかもしれません。それくらいポップ指数が高いですね。ダークホースなジョージはもっと陰に篭った曲が似合うというご意見もあろうかと思われますが、私は素直にこのアルバム、好きですね。

とはいえ1曲目の①「Cloud Nine」はトップナンバー&アルバムタイトルナンバーの割にはジョージらしいブルージーで地味なナンバーですね(笑)。コレ1曲目に持ってくるか~って感じ。

②「That's What It Takes」辺りから段々とジェフ・リンの顔が覗いてきます。この曲はジョージとジェフ、ゲイリーの共作。
出だしはマイナー調のジョージ節なんですが、サビに向かっていくにつれて、段々とジェフぽいアレンジとメロディが表れてきます。サビはジェフ色が強いかな。ギターソロはジョージお得意のスライド

Aサイドでは何と言っても⑤「This Is Love」が最高。ポップスファンであれば、誰もが好きになってしまうメロディです。もちろんこの曲もジェフ・リンとの共作。ジェフ・リンの嗜好丸出しですが、ジョージとの相性はいいと思います。

この「This Is Love」はシングルとしても発表され、そのカップリングとして、当初はあの「Handle With Care」が予定されていたんですね。そう、結果的にはTraveling Wilburysのファーストシングルとして発表された曲です。Traveling Wilburysは、ジョージのこのアルバムのセッションが発端となって生まれたバンドでした。
Traveling Wilburysもいいですよね。当然その発端とも言うべき「Handle With Care」も素晴らしい!

そして本命登場。ビートルズファンは⑥「FAB(When We Was Fab)」に泣いたでしょう。ビートルズのあだ名がFAB FOURだったことから、このタイトルが付いてます。
サウンドも「I Am the Walrus」を意識した作りだし、リンゴのドラムはあのビートルズ後期特有のルーズな叩き方そのものだし。これはビートルズですね。エンディングはジョージお得意のシタールが・・・。
タイトルが複数形なのにwasとなっているのはジョージが意識的に付けたもの。
アップした映像、リンゴやジェフが登場する面白いPVです。

⑦「Devil's Radio」もポップですね~。
アップした映像はクラプトンがギターを弾いて、バックもクラプトンバンドなんで、1991年の日本公演のものでしょうか。貴重ですね。
このコンサートのCDは所有しているのですが、映像は初めて見ました。クラプトンもジョージもカッコいい!

そして最後は大ヒット曲の⑪「Got My Mind Set on You」。この曲のみカバーなんですね。あまりにもこのアルバムにフィットしていたので、ジョージのオリジナルかと思ってました。
ジェフが見事にアレンジして、すばらしい作品に仕上がってます。

この一発逆転のアルバム発表後、覆面バンドのTraveling Wilburysも大成功。再びジョージは表舞台に立つのですが、2001年11月、ジョージは亡くなります。もうあれから20年近く経つのですね。
このアルバムはジェフ・リンの色彩が強いですが、でもジョージのもうひとつの魅力が十分伝わってくるハートウォーミングなアルバムです。

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