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深町純 「深町純&ザ・ニューヨーク・オールスターズ・ライヴ」 (1978)

今回はフュージョンの隠れた超名盤をご紹介致します。フュージョンというと全く興味もなく、まして深町純なんか知らないという方が多いと思いますが、記事をスルーする前に本作の参加メンバーについてだけ見てください!

以下参加メンバーです…。
深町純 (key), Randy Brecker (tp), David Sanborn (as), Michael Brecker (ts), Richard Tee (p), Steve Khan (el-g, ac-g), Anthony Jackson (el-b), Steve Gadd (ds), Mike Minieri (vib, per)。

す、すごくないですか!!ブレッカー兄弟にサンボーンがブロウしまくり、リチャード・ティーとガッドのスタッフチームとアンソニー・ジャクソンがファンキーにグルーヴしまくる。マイク・マイニエリのリズミカルなヴァイヴも素敵です。もちろんスティーヴ・カーンのギターは申すまでもなく。
なぜこんなメンバーが揃えられたのか…。しかも日本公演のライヴ盤という事実に再度ビックリ。この公演の数か月前、深町純は単身ニューヨークへ乗り込み「On The Move」という傑作を制作します。その時のメンバーが今回のメンバーとほぼ一緒なんですね。「On The Move」収録後、ランディが深町に「皆、日本へ行きたがっているけど…、何か仕事ない??」って感じで連絡をいれ、それにアルファレコードが「じゃあ、日本公演をライヴ盤で発表することを条件に…」って感じで応じたことから、この幻の公演&名盤が実現、誕生した…という次第。皆がスーパースターになる前夜ということもあって実現した夢物語。それが見事にパッケージ化されてます。

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まずは先に収録曲をご紹介しておきます。

1. Rocks ~ ランディ・ブレッカー作。ブレッカー・ブラザーズのデビューアルバムに収録。
2. Sara Smile ~ 言わずと知れたホール&オーツの名作。デヴィッド・サンボーンにフォーカスされた仕上がり。
3. Virginia Sunday ~ リチャード・ティー作。アルバム「Strokin'」に収録。
4. Inside Out ~ ランディ・ブレッカー作。ブレッカー・ブラザーズのアルバム「Heavy Metal Be-Bop」に収録。
5. I'm Sorry ~ マイク・マイニエリ作。アルバム「Love Play」に収録。
6. Dance of Paranoia Op.2 ~ 深町純作。アルバム「On The Move」収録。
7. Gypsy Jello ~ リチャード・ティー作。エリック・ゲイルの「Multiplication」に収録。
8. Jack Knife ~ ランディ・ブレッカー作。ブレッカー・ブラザーズのアルバム「Straphangin'」に収録。
9. Love Play ~ マイク・マイニエリ作。アルバム「Love Play」に収録。

このラインアップを見ただけで、聴いてみたくなりませんか? 数曲だけご紹介致します。

アルバムトップはランディ・ブレッカーの作品の①「Rocks」。ブレッカー・ブラザーズのデビューアルバムに収録されていたスピーディーなナンバー。マイケル・ブレッカーデヴィッド・サンボーンの強烈なソロの応酬、ランディ・ブレッカースティーヴ・カーンのソロの掛け合い。とにかく1秒たりとも緊張感の抜けきらない名演です!

個人的にはリチャード・ティーのどっしりと力強い鍵盤プレイが大好きです。特にスティーヴ・ガッドと醸しだすファンキーさは格別ですね。それらがよく表れているのが③「Virginia Sunday」。音はモロにスタッフ(バンドの名前です)そのものですね。原曲はフェンダーローズが全面に出て、もっとメロウですが、こちらのバージョンはかなりファンキーです。

深町純の作品は外せないでしょう。⑥「Dance of Paranoia Op.2」。非常にスリリングなナンバーです。スティーヴ・ガッドが16ビートを刻みながら後ろで暴れまくってますね。トランペットを奏でるランディ・ブレッカーのソロもかなりアグレッシブだし、深町純のシンセソロも味があります。

リチャード・ティーの楽曲をもう1曲ご紹介しておきます。⑦「Gypsy Jello」。こちらの原曲は盟友(同じスタッフのメンバー)エリック・ゲイルのアルバムに収録されてます。原曲のイントロは香港カンフー映画を思わせるようなものでしたが、こちらはリチャードらしい力強いリフから心地よいフュージョンメロディが始まります。メロディーはマイクのヴィヴラフォーンで…。心地いいですね~。

⑨「Love Play」はマイク・マイニエリの名作「Love Play」(1977年)からのタイトルトラックナンバー。ここでのライヴバージョンは15分以上にも及ぶ熱演。スティーヴ・カーンのギターソロに続くラテン・タッチな演奏は徐々に熱を帯びていき、10分前後からはスティーヴ・ガッドのドラムソロへ傾れ込み、それが花火の連打のようなソロから一気に演奏はエンディングへ。フィナーレに相応しいパワフルなエンディング、特にガッドのドラミングは圧巻です。

如何でしたでしょうか。知る人ぞ知る隠れ名盤!春先のドライブにはマストアイテムな作品かと思います。と、ここまで言っておきながら、実は他の深町作品は未聴ですので、本作前後の作品からチェックしようかなと思ってます。

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