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Jeff Beck Group「Beck-Ola」(1969)

洋楽を聴き始めた頃、三大ギタリストとしてエリック・クラプトンジミー・ペイジジェフ・ベックが挙げられておりました(今もそう呼ばれているのでしょうか?)。私はハードロックではジミー・ペイジ、スワンプではエリック・クラプトンが好みでしたので、ジェフ・ベックはそれほど意識してはいなかったんですよね。

ところでエリック・クラプトンとジェフ・ベックが日本で共演していたことはご存じでしょうか?2009年初頭、たまたまエリックとジェフが同じタイミングで日本公演がブッキングされたので、じゃあ共演しちゃえ!とばかりに2009年2月、日本でのみの夢の共演が実現しております。その時に愛読書「レコードコレクターズ2009年3月号」でエリックとジェフのそれぞれのベスト50曲っていう特集が組まれました。

この特集記事で改めてジェフ・ベックのカッコ良さに気付き、今回ご紹介するアルバムを当時じっくり聴いた次第。

この当時のハードロックというとレッド・ツェッペリンが真っ先に挙げられますが、もしベックにバンドをまとめていく求心力があれば、きっとZEPよりスゴイことになっていたのでは? と感じさせるのが本作です。1968年発表の「Truth」ではオリジナル曲は少なく、まだハードロックにはなりきれていない中途半端さが気になりますが、この「Beck-Ola」ではノイジーでワイルドなバンドサウンドが聴けます。これがかなりカッコイイ。

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①「All Shook Up」はエルビス・プレスリーのカバー。
ピアノのニッキー・ホプキンスがこのアルバムのグルーヴ感を煽っていると思うのですが、この1曲目で既にその様子が窺えます。ロッド・スチュアートのヴォーカルもかっこいい。それにしても楽曲のエンディングで聴かれるベックのスライド・ギター、スゴイですね。最後の方でもの凄い違和感を覚えるギター音、何か鳴き声のような音が聴こえてきます。こんな音を1969年当時に出していたベック、スゴイです・・・。
ちなみにエルビスの原曲は聴いたことがなかったので、これを機会に聴いてみました。いや~、全く別の曲ですね(笑)。

どことなくZEPに似ている②「Spanish Boots」。
私はベック・サウンドの方が聴きやすいですね。なんだか好き放題弾きまくっているベックと唸りをあげるロン・ウッドのベース、凄まじいバトルです。そこにロッドのヴォーカルとニッキーのピアノ、あと私は彼の経歴はよく知らないのですがドラムのトニー・ニューマンのプレイも手数が多く、このバンドにぴったりですね。これ以上のハードロックバンドがあるでしょうか?

恐らく本作では語られることの少ない③「Girl from Mill Valley」。
ニッキー単独の作品であり、このアルバムのなかでは明らかに浮きまくっている作品です(笑)。ベックのプレイは珍しく控えめであり、ここでの主役はあくまでもニッキー。ベックはよく収録をOKしたな~。コレ、実は私の大好きな曲。味わい深いインストです。

①に続き、またまたエルビスのカバーの④「Jailhouse Rock」。最高にノイジーです。これは①に比べて原曲に近い感じですが、これがハードロックサウンドだ、と言わんばかりの音です。間奏のニッキーのピアノの連打も圧巻。エンディングにかけて皆が暴走しまくるという感じですよね。

レココレにも書いてましたが、第二期JBGを彷彿させるファンキーさを持った⑤「Plynth (water down the drain)」、これもいいですね~。
ここでもニッキーのピアノがアクセントになってます。ベックのギターのリフが冴まくる1曲ですね。

⑦「Rice Pudding」は7分以上のインスト。
レココレランキングにおいては、このアルバムのなかでは最高位(18位)にランクインした楽曲。この曲なんかはZEPとそっくりです。特にギターのリフなんかは。
当時まだまだブルース臭の強かったZEPに比べれば、全体的にこちらがずっと聴きやすいですね。
レココレの鳥井氏曰く「ベックのギター・テクニックが一曲の中に見事に集約されている」とありますが、まさにその通り。エンディングに向けてスリリングに展開していきます。7分強という時間があっという間に過ぎてしまいます。

今までファンキーなベックやフュージョンのベックには、ちょっとのめりこめなかったのですが、この第一期のJBGは私のツボに嵌りました(笑)。当時のZEPやクリームの音楽より、もっと先駆的だったのではないでしょうか? 

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