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Steve Kipner「Knock The Walls Down」(1979)

オリンピックの女子ゴルフ、熱い戦いですね…。そんな時のBGMは爽やかなAORを…。最近、大好きなAORアルバムをご紹介していないなあと…。AOR好きにとっては欠かすことの出来ない名盤が本作、スティーヴ・キップナーの「ノック・ザ・ウォールズ・ダウン」。

このアルバムがなぜAORの名盤と呼ばれるのか、それはジェイ・グレイドンの初プロデュース作品、かつジェイのプレイが堪能出来る1枚だから…。もちろんスティーヴの楽曲も素晴らしいことは言うまでもないことですが。

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参加ミュージシャンはアコースティック・ギターにラリー・カールトン、ドラムスにジェフ・ポーカロ、ベースにデヴィッド・ハンゲイト、キーボードにマイケル・オマーティアン、バックヴォーカルにビル・チャンプリントム・ケリーボビー・キンボール・・・、いや~凄い面子です。ジェイの人脈ですね。

②「Knock The Walls Down」のイントロギターからジェイらしい、独特のギター・サウンド。ジェフのドラムはスネア・ドラムの音がタイトだから、こうしたミディアムテンポの曲にはぴったりです。ちなみに本作⑥「I've Got To Stop This Hurting You」のみドラムは違う人物。明らかにスネアの音が違います。コーラスは旧友ピーター・べケットJCクロウリー。そうです、プレイヤーの2人ですね。

スティーヴの楽曲の良さが光るのは⑦⑧⑨辺りでしょうか?
⑦「Love Is Its Own Reward」はシングルカットされた曲。ポップな曲ですね。超レアなスティーヴの動画。あるところにはあるんですね~。しかもこの動画、スティーブの左でギターを弾いている方、コレ、ジェイ・グレイドンですね…(多分)。

⑧「Cryin's Out For Love」。これが一番AOR指数が高いかもしれません。スローなシャッフルリズムが心地いいですね。この手のリズムはジェフの十八番。出だし1秒、よく聴いてみると、スネアの擦る音が聞こえます。ジェフはシャッフルのグルーヴ感覚をスネアでうまく表現します。心地いい~!

⑨「Guilty」。スローに始まり、バラードか?と思っちゃいますが、シャッフルビートな軽快なAORナンバーになります。ジェイのワイヤークワイヤー・ギターも全開ですね。そしてスローに・・・。

曲は最終曲、本作の目玉、ジェイの数あるギターソロのなかでもベストトラックの呼び声の高い⑩「The Ending」。もちろん①「The Beginning」と曲は同じでも詞は違うし、この後半部分、1分30秒を過ぎたあたりから始まる超絶ジェイのギターソロが圧巻!!!
このバックでずっと鳴っているコーラスはスティーブの声の多重録音。しかしこのソロ、ホントかっこいい。ギターでもドラムでも若いときは、上手いというのは早弾きや手数の多いもの、という認識でしたが、最近はオリジナリティがあるものが上手いという認識に変わってきました。でジェイはホントオリジナリティが際立ってます。

あのスティーリーダンの「ペグ」のギターソロも、数多くのギターの名手が挑戦しては散っていったのに、ジェイは難なく弾き、採用されたんですね。やはりオリジナリティが大事です。この1分以上続く「The Ending」のギターソロは、そうそう作れないですね。

スティーヴ・キプナーは唯一のアルバムである本作発表後、あのオリビア・ニュートン・ジョンのビッグヒット「フィジカル」の作者として名を馳せます(このフィジカル、当初ロッド・スチュアートをイメージして作曲したそうです)。

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