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The Mamas & The Papas「The Mamas & The Papas」(1966)

昔からポップスが好きな私は、暇を見つけては60年代ポップスをよく聴いてます。昨日もいろいろチェックしていたら、なんとなく気になったのがミシェル・フィリップス。ママス&パパスのママの方ですね。魔性の女恋多き女…。とにかく魅惑的な方です…。そんな悪女も、今ではママス&パパスの唯一の生き証人。なんだか一番天罰を喰らいそうな方が、一番長生き、自由人として生きながら得ていることに、人生の面白みを感じます

ママス&パパスって不倫の応酬、ドロドロのグループなんですが(苦笑)、このセカンドはその極み、なんですよね。
ファーストアルバム「If You Can Believe Your Eyes And Ears」(実にタイトルが洒落てます)発表の9か月後、1966年9月に早くもセカンドアルバムを発表します。

ところがこのアルバムの制作中、ミシェルが1966年6月にグループを解雇されてしまいます。それはミシェルの不倫に旦那のジョン・フィリップスが耐えられなかったから
ジョンとミシェルはグループ結成前から夫婦関係にあり、そこにデニー・ドハーティとデニーが好きだったキャス・エリオットが合流。ママパパが誕生するわけですが、実はグループ結成前からミシェルとデニーは不倫関係にあり、それがグループ内に知られ、ミシェルとデニーは別れます。ところが懲りないミシェルは、今度はバーズのジーン・クラーク(彼もハンサム男なんですが)と恋仲に…(絶句)。
ママパパのあるステージに、ジーンが来ていたらしい。ミシェルはジーンに手を振って応えたらしいが、そういった場を見せつけられて、さすがのジョンも耐えられず、告訴した…という経緯らしい。

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そんなゴタゴタの中で制作されたのがこのアルバムなんです。ちなみにミシェルって、ジャケの手前の女性。ご存じのように一番左の太った女性がキャス。右の端正な顔立ちの方がデニー、髭面がジョン。メンバーの個性も微妙な立ち位置です。そこがママパパの個性だったわけですが。

で、このアルバム、制作途中にミシェルが追い出されたわけなので、急遽、プロデューサーのルー・アドラーの彼女だったジル・ギブソンが参加。本作の数曲のママの声はミシェルじゃなくてジル…というわけなんですが、正直聴き分けられません(笑)。
ママパパは主にジョンが作品を作っていたグループなので、やっぱりこのアルバムのクオリティは高いんですよね。

このアルバムのトップの①「No Salt on Her Tail」から驚きました。イントロから豪快なドラムのフィルイン。そしてディランの「Like A Rolling Stone」を彷彿させるオルガン。いや~、この当時流行ったフォークロックアレンジですね。
ご存じのようにママパパはダンヒルレーベルの一押しグループだったわけで、そのダンヒルのスタジオミュージシャンが名手ハル・ブレイン(Ds)、ジョー・オズボーン(Bs)。私、この二人のリズム隊がムショウに大好きなんですよ!!この曲、イントロからハル・ブレインが豪快にキメてますね~。そしてこのオルガン、実はレイ・マンザレクなんですよ~。誰か知らない⁇ ドアーズのオルガン奏者です。この当時はまだドアーズはメジャーデビュー直前の頃。貴重な音源です。

ちなみに私はママパパで一番大好きな曲が本作に収録されてまして、それが⑦「I Saw Her Again」です。ジョンとデニーの共作。この曲、ミシェルのデニー、ジーンのとの不倫関係からインスパイアされて作った曲らしい。ジョンとデニー、どういう神経しているんだ(笑)。この曲が本作からのファーストシングルですね。
ママパパの端麗なコーラスが堪能できるし、何よりメロディがポップで素敵です。ジョー・オズボーンのベースもメロディアスだし、相変わらずハル・ブレインのドラムが楽曲の力強さを煽ってますね。素晴らしいポップスです。この曲、当時としては珍しく、PVも作られました。ブティックにメンバーが乗り込み、大暴れするっていうものですが、それをアップしておきます。ミシェルの美しさが際立ちます。

セカンドシングルはキャスをフューチャーした④「Words Of Love」。歌の上手さでは明らかに群を抜いていたキャスのパワフルなヴォーカルが堪能出来ます。またキャスのキャラクターに合わせたような楽曲を作ったジョンのセンスも感じさせます。

このアルバム、ジョンが作るポップスとパパママのコーラスセンス、ダンヒル・ミュージシャン、それからエンジニアとしてのボーンズ・ハウの力量が発揮された名盤。本作からは最後にマーサ&ザ・ヴァンデラスのカバーの⑥「Dancing in the Street」を。ママパパの個性とダンヒル・バンドの個性がぶつかりあった秀逸なカバーです。間奏のオルガンソロはラリー・ネクテル。軽快に踊っているキャス…、微笑ましいです。

ちなみに解雇されたはずのミシェル…、またこのグループに戻ってきます。この辺の心情はよく分かりませんね。しかも4枚目のアルバムタイトルはThe Papas & The Mamas…、とややこしい(苦笑)。

グループは1971年に5枚目のアルバム「People Like Us」(これがまたソウルフルな名盤)を発表後に解散。キャス・エリオットは1974年に心筋梗塞で亡くなります。ミシェルは女優業なんかしてましたが、1976年に発表した「No Love Today」なんかは結構秀逸なMORソングかと。ミシェルって歌が抜群に上手いわけじゃないんですが、こんな歌を歌わせたらいい味出してます。この曲、いい曲だなあと思ったら、ロジャー・ニコルスが作った曲でした。それにしてもやっぱりミシェル、美しいなあ。

ミシェルは、ベリンダ・カーライルの大ヒット曲「Heaven Is A Place On Earth」にコーラスで参加していたりと、その後もボチボチ活動しております。ついでに最近のミシェルが気になり、チェックしていたら、2014年のウィルソン・フィリップスとのコラボ映像がありました。結構ビックリ。なにがビックリって、その容姿の若さ。映像では最初に娘のチャイナ・フィリップスがMCを務めてますが(両脇の2人はブライアン・ウィルソンの娘でしょうか)、ジョンの話なんかもしてますね~。いや~、なんかミシェルって自由人だなあ~。


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