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Rolling Stones「Beggars Banquet」(1968)

1968年当時はサイケデリックブームに沸いた年でもあり、ストーンズも一時はサイケがかった曲を演奏していましたが、原点回帰ということで、本作はスペンサー・デイヴィス・グループやトラフィックのプロデューサーであったジミー・ミラーを迎えて制作されました。
かなりアーシーでスワンピーな作品ですが、誉れ高き名作との呼び声高く、また本作より70年代初期までがストーンズの黄金期と考える方々も結構いらっしゃいますね。

本作は「Satisfaction」「Get Off Of My Cloud」「Paint It, Black」等ストレートなロックンロールを期待すると裏切られるかもしれません。
尚、本作はレココレ2007年5月号「60年代ロック・アルバム・ベスト100」の第9位にランクインしているます。評論家受けもしそうなアルバムです。

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本作を最初に聴いたとき、①「Sympathy for the Devil」のイントロには驚かされましたね。いきなりコンガ等のパーカッションによるリズミカルなイントロですから。これがストーンズか?と思ってしまいました。
ベースラインはモータウン系のダンサブルなもので、裏声を使ったコーラス等ソウルフルな香りもします。何れにしても本作により、ストーンズが更に違う次元にスケールアップしたことは、この1曲を聴いてもよく分かります。

ファンの間ではブルージーな渋い②「No Expectations」も人気がありますね。
ここでのブライアンのスティール・ギター。これはいいです!
バンド結成時のリーダーであったブライアン・ジョーンズは、徐々にバンドのリーダー権をミック=キースに奪われていき、居場所の無くなったブライアンは精神的にも追い詰められていきます。本作は実質ブライアン最後の作品ですね。
曲の書けなかったブライアンは、新しい楽器でストーンズの音楽に彩りを加え、存在を維持してきました。ここでのスライドは、「俺もここにいる!」といった鬼気迫るものがあります。

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本作のハイライト作品はやはり⑥「Street Fighting Man」でしょう。
これは往年のストーンズファンも狂喜したのではないでしょうか?? 私も大好きな1曲です。元ドラマーの私としてはチャーリーのドラムが珍しくタイトでリズミカルなのに驚きました。この曲のBメロ、スネアを裏打ちしてますね。バックにいろいろ音が鳴っているので、複雑なリズムと錯覚させてしまう効果があります。
そしてブライアンのシタール。シタールといえばビートルズのジョージですが、ここでのシタールは非常に効果的に使われてます。ロックとシタールの融合では、この曲が随一だと思います。
またアコギのカッティングがかっこいい!!ギターにトラフィックのデイヴ・メイソン、ピアノにニッキー・ホプキンスが参加してます。
最初にこの曲を聴いたとき、ミックの最後の「Get Down!」にしびれたものです。

⑧「Stray Cat Blues」も結構好きですね~。
ストーンズらしいブルージーなロックンロール。
この曲、3分前後からちょっとサイケがかってきます。コンガが怪しげに鳴ってきて、どうなるのかな~と思ったら、エンディングはやっぱりストーンズらしい展開。この当時だと、流れがサイケへ行くのですが・・・。原点回帰の決意を感じさせます。

珍しくキースもリード・ヴォーカルを取る⑩「Salt of the Earth」。
中間からゴスペルタッチのコーラスが加わるスワンプナンバー。エンディングではテンポアップしていきます。ニッキー・ホプキンスのピアノがいいですね。

本作は特に①と⑥が出色ですが、他のトラックもスワンプな感じが素敵です。ロック好きなストーンズファンには馴染めないかもしれませんが、当時の彼等の意気込みが伝わってくる名盤。ここからストーンズはスワンプ色をうまく自分たちの音楽に取り込んでいくことになります。


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