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音楽の杜がおススメする70年代洋楽

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人生の大半を音楽に注いできた「音楽の杜」がおススメする洋楽アルバム集
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2022年9月の記事一覧

Faces「First Step」(1970)

ロッド・スチュアートが在籍していたフェイセズ、前身がスティーヴ・マリオットが在籍していたスモール・フェイセズであることは周知の事実ですね。 スティーヴは1969年春に脱退。ハンブル・パイ結成に至ります。残された3人(ロニー・レイン、イアン・マクドナルド、ケニー・ジョーンズ)に利用価値はないと、当時のレコード会社も見放していたらしいのですが、そこに救いの手を差し伸べたのがロン・ウッド。彼がすぐに3人にアプローチをし、フェイセズに合流。そしてロンがリード・ヴォーカルにロッドを連れ

Eric Clapton 「Eric Clapton」(1970)

待望のクラプトンの記念すべきファーストソロアルバム。以前Delaney&Bonnieのアルバムレビューを書いた際、その流れで本作も購入し、よく聴いてました。 ブラインド・フェイス解散後にデラニー&ボニーのツアーに参加したクラプトンは、彼等のスワンプサウンドに傾倒し、ついに自らもスワンピーなアルバムを発表します。 プロデュースはデラニー・ブラムレット。レコーディングに参加したメンバーは以下の通り。 Delaney Bramlett - Rhythm Guitar and

Humble Pie「Humble Pie」(1970)

スティーブ・マリオットとピーター・フランプトンが在籍していた時代のハンブル・パイは実に味わい深いものがあります。特に本作はそれが顕著で、そもそもサード・アルバムにして、タイトルがバンド名の「ハンブル・パイ」というのも意味深いですね。恐らくバンド・メンバー全員がそれぞれやりたい音楽を持ち込んだからだと思うのですが、それが吉と出たのか、凶と出たのかは、聴き手によって大きく意見が分かれると思います。 スティーブがブルースやソウル系、ピーターがアコースティック系を志向していたことは

Stephen Stills 「Stephen Stills 2」(1971)

今回ご紹介するのはスティーヴン・スティルスの2枚目のソロアルバムです。モンキーズが大好きな私にとって、彼がモンキーズのオーディションを盟友ピーター・トークと共に受け、ピーターが受かり、スティーヴンは歯並びが悪いということで不合格・・・という事実だけでも、スティーヴンに好感を持ってしまいます(笑)。 その後の活動を見れば、結果的には彼はモンキーズなんかに在籍するより、ずっと素晴らしい人生を歩んでますけどね。 スティーヴンはその後、バッファロー・スプリングフィールドを結成。この

Jeff Beck Group「Rough and Ready」(1971)

ファンク・グルーヴなジェフ・ベック&コージー・パウエル当時、私のMP3プレイヤーにはイーグルスの新譜や旧譜、ボストン、キャロル・キング等が納められてましたが、そんななかで一番のヘビーローテーションが本作…という時期がありました。 あまり聴き込んでなかったので、かなり黒いサウンドに驚くとともに、憧れのコージー・パウエルの意外な一面が新鮮に聴こえました。 本作は第二期ジェフ・ベック・グループの1作目。何といってもドラムにコージー・パウエルが加入したことが大きい。このジャケットか

Procol Harum「Broken Barricades」(1971)

ここ1か月程、仕事でバタバタしていたのですが、ようやく落ち着いてきました。そんな中でも音楽はしっかり聴いております。 ここ最近は、思いついたようにプロコル・ハルムを聴いてました。 プロコル・ハルムというと「青い影」ですよね~。でも実際は1967年に発表されたデビューアルバム「A Whiter Shade Of Pale」の中の「青い影」はちょっと浮いた感じです。彼等の音楽の本質は多様な音楽性にあったりするんですよね。 デビュー曲「青い影」でフューチャーされていたオルガン、そ

Carpenters「Horizon」(1975)

カーペンターズ6枚目のアルバム。 前作「Now&Then」が素晴らしいコンセプトアルバムでしたので、多少の気負いやプレッシャーが彼等にあったのかもしれません。その物憂げなジャケット(特にカレンの表情)から連想されるように、彼等にとっては衰退期の始まりとなったアルバムです。 ただしそれぞれの楽曲は素晴らしく、やはりカーペンターズのアルバムらしく、じっくり聴いていきたい作品となっております。 小作品①「Aurora」とエンディングの⑩「Eventide」が同一のメロディであるこ

Emmylou Harris「Elite Hotel」(1975)

リンダ・ロンシュタットやマイケル・ネスミス、イーグルスといったカントリーロックの系譜を見ていたら、重要なアーチストをご紹介していないことに気付きました。エミル―・ハリス…。グラム・パーソンズのデュエット相手としか認識しておらず、実はアルバムも殆ど聴いておりませんでした。 今回ご紹介するアルバムは、彼女自身のセカンドアルバム(ホントはサードアルバムですが、ファーストはあまりカウントされていないことが多いですね)。特にバック・オーウェンスやビートルズのカバーを聴いて、コレはいい

Dave Mason「Split Coconut」(1975)

トラフィック繋がりで、しばらくメンバーのデイヴ・メイスンの「スプリット・ココナッツ」というアルバムを聴いていた時期がありました。 サイケ、ジャズ、スワンプなんかを得意としたトラフィックのイメージでこのアルバムを聴くと、1曲目から驚かれると思います。何といってもファンクなインストナンバーですから・・・。 このアルバムはデイヴの1975年発表の6枚目のアルバム。 渡米してから毎年1枚ずつアルバムを発表していったデイヴですが、ここではジャケットの通りのリラックスムードのカラッとし

Lee Ritenour「Feel the Night」(1979)

リー・リトナーほどいろいろなジャンルにトライしたプレイヤーもいないのではないでしょうか? もちろんフュージョンという大きなジャンルは外していないのですが、クロスオーバーロック⇒AOR⇒ニューウェーヴ⇒ブラジリアン⇒ジャズ⇒クワイエット・ストームと微妙に姿を変化させてますね。 そして過去にはANRI(杏里)と結婚(関係ないですね!)。親日家としても知られます。 さて本作「フィール・ザ・ナイト」は1979年発表。ソロでは「ファースト・コースト」(1976年)、「キャプテン・フィ