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音楽の杜がおススメする70年代洋楽

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人生の大半を音楽に注いできた「音楽の杜」がおススメする洋楽アルバム集
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2021年11月の記事一覧

Neil Young「After The Gold Rush」(1970)

以前NHK-BS2にて、ニール・ヤングの1978年のライブが放送されてました。それを見ていたらニールの初期名作を聴きたくなり、本作をついつい聴いております。 ニールがほんのちょっと在籍していたCSN&Yは大好きで、よく「デジャ・ヴ」を聴いてます。ただしここではグラハム・ナッシュやスティーヴン・スティルスの楽曲が大好きで、私のニールの印象は、ちょっととっつきにくい偏屈おやじというイメージでした。ただ彼のヴォーカル、ギター等は一発で彼と分かるほど個性的ですね。 そんなニールが

Deodato 「Prelude」 (1972)

デオダートのCTIレーベルからのファーストアルバム。邦題「ツァラトゥストラはかく語りき」。もちろんタイトルトラックはストラウス作のクラシックの名曲。 ブラジル生まれのデオダードは国内では1964年にレコードデビュー。ブラジルといえばボサノバですが、60年代後半頃からアストラッド・ジルベルトやルイス・ボンファといった大物アーチストのアレンジを手掛けていきます。そして敏腕プロデューサーとして著名だったクリード・テイラーに認められ、1968年に渡米。 その後テイラーはCTIレーベ

America「America」(1972)

音楽的に素晴らしいものを発表しているのに、世間一般に不当な評価を受けているアーチストは数多く存在しておりますが、このアメリカもそういったグループのひとつでしょう(代表格はカーペンターズでしょうか?)。 我が愛読書「ローリングストーンズ・レコードガイドブック」でも、アメリカの作品はすべて★一つという信じられないくらい寂しい扱いを受けております。 恐らくその仰々しいグループ名とCSNのまがいモノと思われる音楽性が、そういった扱いを受ける一因と思われます。もともとイギリスで結成され

Paul Simon「There Goes Rhymin' Simon」(1973)

このアルバム、サイモン&ガーファンクル解散後、ポール・サイモンのセカンド・ソロアルバムとして、1973年に発表された名作です。 米国のゴスペルグループ、ステイプル・シンガーズのヒット曲「I'll Take You There」(以下YouTubeご参照)の演奏にポール・サイモンは興味を持ち、スタックス・レコードの社長へ連絡。ポールはその演奏がマッスル・ショールズのミュージシャンであることを知ります。 マッスル・ショールズの演奏と聞くと、ディープソウル系の音を連想しますが、

George Harrison「Living in the Material World」(1973)

ジョージ・ハリスンが亡くなられて早20年も経つのかと、ちょっとビックリしました。命日は29日ですね。また奇しくも今年1月にはジョージの「All Things Must Pass」をプロデュースしたフィル・スペクターがコロナで亡くなってますし、久しぶりにジョージに思いを馳せております。 後追い世代の私は、ジョージのソロより先に、ビートルズのジョージから先に認識。ビートルズにおけるジョージのインド音楽(いくつかありますよね)は全く苦手でしたが、それ以外のビートルズのジョージの楽

KISS「Destroyer」(1976)

1976年に発売されたキッスの代表的なアルバム「Destroyer」の発売45周年を記念して、スペシャルエディション盤が発売…。45という区切りがまた微妙で笑ってしまいます。でも確かに「Destroyer」は名盤。 一昨年の12月、コロナ禍になる直前、キッスは来日してくれました。もう2度とコンサートはしないというふれ込みでしたので、私は名古屋で参戦。それはもう楽しかった…。そのコンサートでも、本作からは数曲演奏してくれました。 キッスが一番キッスらしさを発揮した名曲、①「

Paul Davis「Singer Of Songs - Teller Of Tales」(1977)

たまに聴きたくなるAOR。そんな時は田中康夫著「たまらなく、アーベイン」という本を紐解き、好きな音楽をチョイスします。この本、各曲についての簡単なエッセイが載っており、その選曲はかなりマニアック。田中康夫さんといえば「なんとなく、クリスタル」。映画化もされ、その映画のサントラにはポール・デイヴィスの「I Go Crazy」が収録されてました。もちろん「I Go Crazy」もこの本に記事がしっかり掲載されております。 ちなみにその「なんクリ」のサントラの収録曲にはランディ・

Carpenters「Christmas Portrait」(1978)

寒くなってきました。まだ少し早いですが、この時期はクリスマスソングが聴きたくなるものです。で、今回チョイスしたのは、私の大好きなカーペンターズ。カーペンターズは1978年に「Christmas Portrait」、カレンの死後、1984年に「An Old-Fashioned Christmas」と2枚のクリスマスアルバムを発表していますが、本作はその2枚を「Christmas Portrait」をベースに編集したもの。 カーペンターズというと評論家の間では評価が低いようです

TOTO「TOTO」(1978)

スタジオミュージシャンのオリジナリティ溢れるデビューアルバム 個人的にはTOTOはデビューアルバムから「Ⅳ」までが大好きで、特にデビューアルバムは未だによく聴いてます。 ボズ・スキャッグスの1976年発表の名作「Silk Degrees」でのプレイが大きな話題を呼んだスタジオ・ミュージシャン。それがTOTOの原型です。 「Silk Degrees」に参加したデビッド・ペイチ(Key)、ジェフ・ポーカロ(Ds)、デビッド・ハンゲイト(B)に加えて、スティーヴ・ルカサー(G)、

Karla Bonoff「Restless Nights」(1979)

秋めいてきました。しっとりとしたアルバムを聴きたく、カーラ・ボノフをチョイスしました。 リンダ・ロンシュタットが名盤『風にさらわれた恋』でカーラの作品を3曲も取り上げ、それがきっかけでカーラは1977年にデビューアルバムを発表。ウェストコーストの歌姫というと、リンダ・ロンシュタットの方がふさわしいかもしれませんが、私は地味ながらも渋く、永く残るような曲を作るカーラを推します。 カーラは今まで4枚のアルバムを発表していますが、どれも素晴らしいし、ジャケットも魅力的。特に本作