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ラジオはいつも、そこにいる

こんにちは、ゆのまると申します。

梅雨明けのニュースを読んでいたら、外からちょうどセミの鳴き声が。もうすっかり夏ですね。


昨日、お昼に夫と近所のつけ麵屋さんに行った時のこと。

1席ごとに置かれたアクリル板のせいで堂々とお話するのも憚られ、なんとなくスマホを見ながら、つけ麵が出てくるのを待っていました。

すると聞こえてきたのは、店内のFM放送。TOKYO FMの番組で、「私が払った勉強代」というテーマのお便りが紹介されていました。微笑ましい失敗談を、貶すことなく優しく共感するパーソナリティーさんに、「ラジオは変わらないなぁ」と温かい気持ちになりました。


幼少期、両親の車に乗ると、いつもカーステレオからラジオが流れていました。それぞれの好みで、母はAM、父はFM。話の内容がわからないことも多かったですが、ラジオは私にとって「当たり前にそこにある存在」でした。

そうして慣れ親しんでいたおかげで、ウォークマンを買ってもらう前の勉強のお供は、景品でもらった携帯ラジオ。FMはうまく入らなくて、大体いつも文化放送にチューニングされていました。つまみをいじっていると時々、英語の放送が混じることもあり、洋楽のヒットチャート番組を流しながら、少し大人になった気分を味わったりしたものです。


大学生になり、片道50分の距離を車で通うようになると、ラジオを聞く時間がぐっと増えました。

朝の通学時はTOKYO FM、夕方の帰り道はNACK 5、夜バイトに行く時は気分によっていろいろ。同じ番組でも、パーソナリティーが日替わりだと印象も全く違って、日によってマッタリしたり楽しく笑ったり。ラジオは、すっかり生活の一部でした。

それぞれの時間帯で番組の雰囲気も異なるのですが、やっぱり好きなのは朝。「おはようございます、今日も元気に行ってらっしゃい!」と言ってもらえるとすごく元気が出るんですよね。

特に、住吉美紀さんの「Blue Ocean」がお気に入りで、ずっと聞いていました。地方に住んでいたので、東京のなんちゃらパティスリーとかヒルズ何とかは全く関係ない世界でしたが、それでも毎日取り上げられるおすすめスポットには胸が躍ったし、金曜日のお悩み相談コーナーでは一緒になってウンウン悩んだり。それなりに長い運転中も、楽しく過ごすことができました。


お便りを送ったり、キャンペーンに応募したりもしないただのいちリスナーでしたが、そんな私も一度だけ、ラジオ番組に背中を押してもらったことがあります。

それは就活生だった頃。当時、遠距離恋愛中の恋人がおり、彼の住む土地か憧れの東京か、どちらで就職するかで迷っていました。完全に若気の至りってやつです。幸い一社ずつから内定をもらえそうで、しかしどちらにするべきか悩んでいた私。親には相談できず、友人に話すと「恋人のところに行っちゃえYO」と言われ、どうしたものかと頭を悩ませていました。

そんな折、TOKYO FMの番組で「東京で頑張る人を応援する」という企画が始まりました。テーマ曲はサザンオールスターズの「東京VICTORY」。これまたタイミングのいいことに、知人のすすめでサザンをよく聴いていた時期でした。

(※YouTubeのリンクです)

「勉強で、仕事で、家庭で、夢を追って東京で頑張る人を応援します」という企画を聞いた私は、思い立ってすぐにメールを送りました。

「好きな人のいる場所か、自分の憧れの街か。どちらに進むべきか迷っています」現実も何も見えていない、就活生の迷い。いつも聞いている番組の、いつものパーソナリティーさんが自分のメールを読み上げた時の衝撃は、今でもよく覚えています。

慌ててボリュームを上げて、じっと耳を澄ませます。「まずは内定おめでとうございます」とお祝いしてくださり、パーソナリティーさんは真摯な口調でこう続けました。

「『彼のため』という理由で進路を選んでしまうと、つらいことや悲しいことがあった時に、きっと彼のせいにしてしまうと思います。だから、信頼してくれる彼に応えるため、自分が成長するため、そして何より『自分で』選んだ道のため。自分が選んだ東京で、たくさんのことを経験しましょう!」

よく、「人は誰かに相談する時、すでに自分の中で結論が出ている」と言います。薄々、自分でも決心がついていることに気付いていたのだけど、きっと誰かに後押ししてほしかったんだと思います。

理路整然とした言葉で、優しく背中を押してくれたパーソナリティーさん。彼とはその数年後にあっさり別れたことを考えると、あの時のアドバイスには感謝してもしきれません。いや本当によかった。


上京後も、身支度しながらラジオを聞く生活は続いていましたが、ライフスタイルが変わるにつれ、今はすっかり離れてしまいました。

それでも、今回たまたまラジオ番組を耳にして、あの頃と変わらない親密さと温かさを持ったまま、変わらずそこにいてくれたことがわかりました。

ラジオアプリもたくさんあって、番組を探しやすかったり、過去の番組も聞けるという点は非常に魅力的です。でもやっぱり、「電源を入れたらすぐに聞ける」「リアルタイムでつながれる」というのがラジオの特徴だと思うので、非常時のことも考えて、今度ヨドバシに行ったらラジオコーナーを覗いてみます。


スイッチを入れて、一番クリアに聞こえる位置に調整、そして聞こえてくるいつものパーソナリティーの声。

近くて温かい、ラジオの距離感が好き。今回はそんなお話でした。


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