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何度も読んでしまう本

大好きな映画を何度も観る私だけれど、本を読み返すことはあまりしない。

映画については、ストーリーよりも役者さんの演技や作品の空気といった、「雰囲気全体に浸りたい」というのが大きいからだと思う。台詞も展開も覚えているのに、何度も観て、何度だって「あぁやっぱり好きだ」と思いたい。

一方、読書家ではない私は、小説となると雰囲気よりも「展開」を重視してしまう。穂村さんのように、その作者さんの文体が好きで、というケースもあるけれど、ミステリが好きなのもあってやはり「この先どうなるのか」とハラハラしたい。なので、エッセイや児童書を除いて、昔読んだ本を読み返す、ということはあまりしない(このへんの楽しみ方は人それぞれだと思うので、どうかご容赦願いたいところ)。


そんな私が、つい何度も手に取ってしまう作品、それが『そして誰もいなくなった』だ。

それまでも何かと耳にする機会があったタイトルだが、実際に読んだのは大学生になってから。

夏のフェアだったか、アガサ・クリスティー生誕から記念の年だったか、とにかく本屋さんに平積みにされていたのを買った覚えがある。引越しに伴って本棚を整理した時に一度手放したのだけど、しばらくしたらまた読みたくなって、買い直した。最近、ダンマクカグラの影響で東方Projectの原曲やアレンジを流していることが多く、「U.N.オーエンは彼女なのか?」をリピートしているうちに、また読み返したくなって、数年ぶりに本棚から引っ張り出してきた。


孤島に招かれた、面識もなく職業や年齢もバラバラな十人の男女。彼らを招待し、その過去の罪を暴き立てる謎の招待主こそが「U.N.オーエン」だ。

不気味な童謡の歌詞通りに、一人また一人と殺されていく。次第に追い詰められていく彼らの心理描写や、一体誰がどうやって犯行を重ねているのかという謎。何度読んでも結末を忘れる自分の記憶容量もどうかと思うが、そのおかげで毎回新鮮な気持ちで楽しめている。

やっと半分読み終わったところで、兵隊の人形もまだ8つ残っている。次の被害者は、そして最後に残るのは。すっかり秋めいてきた今日この頃、孤島に思いを馳せつつ読み進めたいと思う。


少し前まで穂信さん熱が高まっていたけれど、最近は現実でも物騒な事件が多いので、久しぶりに宮部みゆきさんの社会派ミステリでも読みたいところ。

『火車』『模倣犯』『ソロモンの偽証』『パーフェクト・ブルー』『悲嘆の門』あたりは読みましたが、他に押さえておくべき一冊があれば教えていただきたいです。何卒よしなに。


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