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【感想文置き場】

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映画、小説、マンガなどの感想をつらつら書きます。不定期更新。
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#読書の秋2022

【読書感想文】宮部みゆき『誰か』

こんばんは、ゆのまると申します。 積読を崩そうシリーズ第一弾。 部屋の隅に積まれていた本書を引っ張り出してきたものの……読み終えた今、正直戸惑いを覚えています。 のほほん婿殿・杉村三郎は、果たしてこの辛く厳しい社会で生きていけるのか?と。 これまで読んできた宮部作品には、思慮深く、忍耐強く、目的達成のためには多少強引な手を使っても構わないという人物が多く描かれていました。登場する人物も警察官や探偵が多く、彼らのストイックさに私は惹かれていました。 対して今作の主人公

【読書感想文】宮部みゆき『あやし』

2003年に刊行された本書。この本の存在は、ほとんどリアルタイムで知っていました。 小学校高学年にさしかかっていた当時の私は、そろそろ「青い鳥文庫」を卒業して普通の文庫本も読んでみたいと背伸びをしたがっていた時期でした。書店に置かれた「カドブン」的な冊子に載っていたのが、宮部みゆきさんの『あやし』だったのです。 私なその頃、宮部さんの『ブレイブ・ストーリー』に夢中になっていて、『今夜は眠れない』『ステップファザー・ステップ』などにも挑戦していました。そして小学生の頃といえ

【読書感想文】島田荘司『占星術殺人事件』

こんばんは、ゆのまると申します。 占星術殺人事件。ついに、ついに読みました。 新本格の先駆けとして、多くのミステリーランキングに名を連ねる本書。そして綾辻ファンとしては、あの「館」シリーズの名探偵・島田 潔の名前の由来となったこともあまりに有名です。 いつかいつかと思いつつ部屋の隅に積まれていたのですけれど、今夏、とあるマンガがきっかけでまた話題になり(あまりいい話題ではないのですが……)、とうとう手を出しました。 ということで今回は、島田荘司作『占星術殺人事件』のネ