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「ネットミームとはなにか」を考察する②~躍進するVtuberとオタク文化~


2020年のネットミームを考察する上で切っても切り離せないのが
「Vtuber(バーチャルユーチューバー)」
の存在である。
まずはそのVtuberについて紹介していきたい。

(当記事内ではYoutubeのURLリンクを直接引用元として掲載しています。あらかじめご了承ください。)

Vtuberとは

主にYoutubeでの活動を中心としているVR(virtual reality)技術を用いたキャラクター、及びそのキャラクターを使用した動画配信者のことを指す。
代表例としていくつかご紹介しよう。

キズナアイちゃん。まだVtuberという呼称すらなかった頃から現在まで名高い人気を誇るバーチャルアイドルである。
3Dモデルで動いて喋るアニメキャラクターというのは今でこそ見慣れたものだが、発展途上であったVR技術を用いて新たなエンターテイメントとして形成した始祖といえるのはキズナアイちゃんであろう。
アイちゃんのYoutubeでの活動が後のVtuberブームを起因したのは間違いない。アイちゃんがいなければVtuberという文化そのものが存在しなかった未来すらあり得る。それほど偉大な代表格だ。


また、長く活動を続けている人気Vtuberはキズナアイちゃんだけではない。

ミライアカリちゃんと電脳少女シロちゃん。どちらもVtuber黎明期を支えた筆頭Vtuberである。かわいい。
ミライアカリちゃんはスタイルの良い美貌を持ちながらお笑い系の頭と体を張った動画企画で人気を博した。早い段階で自ら「バーチャル芸人」を名乗る生粋のエンターテイナーである。
シロちゃんはデビューから毎日動画更新を続けており、2020年の自粛期間に至るまで1000本以上の動画を投稿し続けた。生配信も定期的に行っており、熱心なファンである「シロ組さん」を多く虜にしている。
何故この二人を挙げるのかといえば、2017年のデビューから3年以上経っても現在まで活動を続けている数少ないVtuberである、というのも大きい。
というのも、Vtuber業の活動を休止したり引退してしまう配信者も少なくないのだ。
まだまだ年数としては歴史の浅いVtuber業界も、数多くのVtuberが現れては消えていく、生き残り競争の激しい界隈である。
企業や個人運営に関わらず問題やいざこざがあれば活動を続けていくことができない。シビアな世界なのだ。
活動初期は知名度もチャンネル登録者数も少ない数字であったこの二人も、Vtuberの知名度が上がるにつれて人気が増していき、収益化や仕事の案件等も増えていった。メディア露出が増えていったのも知名度アップの要因の一つであろう。彼女達の苦労があればこそ、現在のVtuber人気はなかったといっても過言ではあるまい。
シロちゃんの記念生配信で涙ながらに活動初期からの苦労を語る姿に視聴者達は涙を流した。私も泣いた。


さて、Vtuberのネットミームを語る上で避けては通れない方をご紹介しよう。


にじさんじ所属の企業Vtuberとして活動してきている月ノ美兎である。

>>高校2年生。性格はツンデレだが根は真面目な学級委員。本人は頑張っているが少し空回り気味で、よく発言した後で言いすぎたかもと落ち込んだりする。
(にじさんじ公式サイトから引用)

彼女は雑談配信でよくアニメや漫画等のオタク文化(culture)について語る。
それも若年のライトオタクのそれとは異なり、知識量が違う。
アイドルマスターやアマガミについて熱く語る様は歴戦の老兵を思わせるほど。
とても16歳の女子高校生とは思えないほどネット文化並びにオタク文化に精通しているのだ。
まるで2000年代のオタク文化をリアルタイムで見てきたかのようである。
もちろんネットミームにも詳しい。10年以上前の2ちゃんねるのネットスラングがスラスラ出てくる。なりきりチャットで自演して三役を演じていたという逸話まである。未成年のはずなのにエロゲの思い出がいっぱいある。そういった懐古雑談配信がインターネット老人会といわれることもある。重ねて言うが月ノ美兎委員長は16歳の女子高校生である。

このように例を挙げれば事欠かないほどネタに溢れた月ノ美兎委員長であるが、今回私が語りたいのはそこではない。
月ノ美兎委員長が有名になるにつれ、彼女のように配信でオタク語りをする配信者が増えてきたのだ。これは私としては大変喜ばしいことである。
これまでアニメや漫画、ゲーム等を愛好するオタクは迫害の対象として忌み嫌われてきた。私も迫害を受けてきた人々を多く見てきている。
それが委員長のように(ネット上ではあるが)公の場で好きなものについて語ること、そして配信を見て共感する視聴者がコメントやいいねを通じて「好き」を共有すること。同じようなことがTwitter等のSNSでも盛んに行われるようになった。
これはオタク文化にとって革新である。
アニメやゲーム等のオタク文化について憚られることなくオープンに語ることができるようになったのだ。
令和の時代になり、価値観や概念の違いとして私が強く思うようになったのはその「オタク文化の許容」である。
「好き」なものを「好き」と言っていい。
自分一人で抱え込まず、ネット上で「好き」を共有することができる。
それまでのネット掲示板でのアンダーグラウンドな時代から一歩進んだ、まさに「オタク文化が進化した時代」を我々は生きているのだ。
その切欠の大きな一つが「Vtuber」の存在にある、と私は考えている。
動画配信で「好き」を発信して、SNSで拡散し、いいねやチャンネル登録で「肯定」する。
これこそ新しい令和の時代のオタク文化のカタチではないだろうか。

この「好き」を「いいね」で「肯定」することに関して私の過去記事ではあるがまとめているので一度参照してみてほしい。

以上が、大まかではあるがVtuberとオタク文化の進化について私なりの見解である。いかがだったであろうか。
ただの流行りモノのネットミームといえど、文化の進化を助長するほどの影響力を持つこともあるのだ。

かくして黎明期を乗り越え順風満帆なVtuber文化であったが、ここにきて革命的な変化が訪れることになる。

次回、「コロナ過で爆発するネットミームと海外ニキ編」に続く。

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