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夢日記 1/3 21:00→0:00

久しぶりにインパクトの強い夢を見たので記録

いつもと変わらないが、変わってしまった風景

 ありふれたごく普通の日、僕は出社する前に、旧友の家に寄った。
 旧友の家は、玄関の扉が何かストッパーのようなもので止まっていれば自由に入っていい。その日は運良く開いていたので、お邪魔した。
 別の友達とオンラインゲームをしていたが、僕の存在に気がつき手を止めてくれた。彼は特別僕の気にかけずゲームなどを進める。僕はいつからか分からないが全くゲームをしない人間になっていた。彼のしているゲームが何一つわからなかった。ただ談笑をして、僕は会社に向かった。

のび太になれなかった僕

 なぜか僕は会社終わりにドラえもんの映画を見ていた。内容としては、異次元に飛ばされたのび太が、その世界で生きるか元の世界で生きるかを選択する、そんな内容の結末だったと思う。
 終盤になって、のび太をカラスが覆い、異世界に取り込まれそうになったが、強い意志で松明を振りかざし、異世界ごと焼き払う。そして、元の世界の自分を受け入れ、いつも通りの日々を送ることとなる、らしい。
 らしい、というのは大量のカラスがのび太を覆った時、僕自身もカラスに覆われた気になって気を失ったからである。そしてあまりの気持ち悪さに、目覚めたーーこれは夢であると気がついた。夢の中で起きた。ただ、カラスを受け入れた自分だけは残った。

会社の下で雨を宿る

 僕はいつも通り、旧友の家にいた。今日休日、見知った人間も遊びに来ている。
 その中で1人、全く知らない子が、ぼろぼろの制服で、手入れをしたらさぞ綺麗だがボロボロの髪の毛で、それを二つ括りにして、置物のようにちょこんと座っていた。「?」と思った僕は話しかけた。
「はじめまして、だよね?僕は○○。旧友君と友達だったんだ。名前なんていうの?」
「中川ーー。」
下の名前は聞き取れなかった。
本当にこんな子いたっけな?と思いつつ中川さんとはそれ以外話してない。
 日は変わり憂鬱な平日、僕はこの日は朝から出社しようと、早めに家を出た。のが、失敗で、雨に降られることになる。会社の下で雨宿りをしようとした。そうするとそこには中川さんがいた。
 中川さんともう1人、ひげのもさもさ生えたおじいさんがいた。おじいさんはホームレスなのかな?ここら辺でホームレスはそんなに珍しいものではない。中川さんとおじいさんは、中川さんだけがコンビニのパンを食べながら談笑していた。

「あれ、中川さん。久しぶり。」
おじいさんは中川さんに「知り合いかい?」というふうに小声で聞いていたが、中川さんは小さな笑みでこちらに会釈しただけだった。
 彼女はまた制服を着ていた。おそらくこれ1着しか持っていないようだ。中川さんは物静かな子だったが、僕とおじいさんが仲良くなるにつれて、口を開いてくれた。
「行くところがなくて、ここに住んでるの。いつもはそこのファミマでバイトしてる。」
この「行くところがなくて」というのはどういう意味か聞けなかったが、彼女はあっけらかんに言っていたが、おそらくかなり重い意味がある。本当に「居場所」と呼べるところがここしかないのだろう。
 お昼頃になってから会社に行き、仕事をして、帰りは雨宿りの場所は見ずに帰った。今日も僕は肩書きの穴を埋めるように、実力でモノを言わせていた。

 少ししてからだろうか、また雨宿りをする羽目になる。この日は仕事ではない。偶然近くを通って、偶然雨が降っていたので、雨宿りをした。
 そこにおじいさんと中川さん以外にヤンキーっぽい女性と、少し地雷系のような女性がいた。
 僕はとりあえずおじいさんと中川さんに挨拶して、敵ではないことを2人に知らせる。
「中川ちゃん、この男、誰?」
「知り合い……かな?」
「ならいいか、おいでよ」
謎に僕は認められ、この集会のようなものに参加することになる。

 中川さんの目の前に座って初めて気がついた。おじいさん以外、首から車のナンバープレートをぶら下げている。新種のネックレスにしては、主張が激しすぎるし、僕は思い切って言った。
「中川さん、その首のナンバープレートってーー」
僕の言葉を遮るように、鋭い目つきで、ヤンキーっぽい女性が話し始めた。
「うちらは管理されてるんだよ。車と一緒。だからこうやってナンバープレートをぶら下げて、人に見えるようにしなきゃいけないんだよ。」
「普通の人からちょっとそれちゃっただけなのにねー」
地雷系っぽい女性が語る。

 日本にそんな制度があったのか?自主的か?条例か?なんだ?ただ、深追いはしないでおこうと思った。

「そういや○○くんってお話終わったあといつもどこか行ってるよね。どこ行ってるの?」
中川さんがおそらく初めて僕に言葉をかけた。
「あ、このビルの上で働いてるよ。」
「楽しい?」
「まぁ半々かな、やりたい事やりつつ、やりたいくないこともやってるからね。」
「何それ……笑。私たちはいつも楽しいよ。行くところもお金もないし、変な目で見られることも多いし、危険な目にもあったりしたけど、今はすごく自由に生きてるんだなって」
「○○ちゃんと○○ちゃんは忙しいから、お休みの日にしかなかなかおしゃべりできないけど、楽しいの。」
「バイトがな〜なかったらもっといたいよ」
「○○くんも働いてる時間が長いだけで、もしかしたら私と同じかもしれないね。」
そう微笑んだ彼女からは、どこか達観したものを感じた。

ここで一度、目が覚めた。無理やりと思える中川さんとの出会いと、ドラえもんの映画のメタファーが強すぎる。僕の脳は何を感じているんだろう。

小舟の上で

 また夢の中に潜った僕は、小さな海辺の街に観光に来ていた。どうやら仕事でアイデンティティを見失ってしまった僕は塞ぎ込んでしまって、そのままリタイアしたらしい。半分好きなことをやってたのにこうなるのか。
 僕は旅館の女将の勧めで、小舟の立ち漕ぎを体験することにした。それでぼーっとしてみたらどうですか?という提案を飲んだ。

 こんな小さな船を漕ぐのは初めてである。ただ慣れればそう難しくない。この小さな海辺の街の、大きな岩を見つけた。
 僕は地理が好きである。この大きな岩から、海の流れや、なぜここが港町にならなかったのか、その他色んなことがわかる。地理学とはそういうものだ。観光では格好の武器になる。仕事で役立ったことないけど。
 そういえば僕はそう言い続けてた数学を仕事にできてたなと思い返した。簡単なことじゃない。でもそこまで自分の知識があったことに驚いたのは覚えてる。
「また数学やりたいな……」
僕は帰路についた。

 「何か得るものはありましたか?」
「ありがとうございます。とても楽しかったです。少し心小拠り所を見つけた気がしました。」
「そういえば、お客さんが来てますよ。大変苦労なさった格好をされていたので、少しお風呂と浴衣をお貸ししてますが、知り合いの方ですか?」
「ーーーーそうですね、知り合いです。遠くから来てもらえるの、ありがたいですね。女将もありがとうございます。あとで料金の方は支払いますのでーー」
「いえいえ、大丈夫ですよ。久しぶりのご友人だと思うのでゆっくりしてくださいね」
「ありがとうございます」
僕は深々と頭を下げて自分の部屋を目指した。

 きっと部屋にいるのは中川さんだろう。そうしか思いつかなかった。なんで来たんだ?何が目的なんだ?分からない。
 そこには僕が知っているのとはかけ離れたほど綺麗な中川さんがいた。
「○○さん、全く来なくなって、コンビニで会社の人に聞いたら会社辞めたって聞いて……私の一言が原因だったら申し訳ないなって思って……ごめんなさい……」
 僕は中川さんに「同じかもしれないね」と言われたあとブラックアウトして今ここにいる。その間は現実世界にいた。分からない、理由はわからない。でもなんとなく、中川さんの言葉が「背中を押して」ここにいる気がする。
「いや、中川さんのおかげだよ。僕も居場所を失っていた気がする。雨宿りの場所には行けなかったけど、僕はここで地道に暮らしいている。」
「中川さんは居場所は見つけた?」
「まだ、離れるのが怖くて。」
「それはもうそこが居場所かもしれないね。でも女の子が、外で、信頼できるおじいさんと一緒とはいえ、危ないものは危ない。」
「うーん、親戚に少し声かけてみるよ。中川さんがどういう状況かわからないけど、中川さんが僕にくれたように、一度、居場所について考えるべきだと思う。とても辛いけどね。」
「……ありがとう」

 中川さんはおそらく今の場所から離れたくないという気持ち、現状を変えたくないという気持ちが強いのだろう。だから、「自分が何かしてしまったかもしれない」僕を追いかけてここまで来て、なんの変化も無かったことにしたかったのだろう。
 それはいつか変えなきゃ行けない。そして誰かがきっかけを作らなきゃ行けない。それが僕になればーー。

ここで目が覚める。

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