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ダメな映画ってなんだろう? | GO AHEAD -僕の描く夢- 第310回

 私はB級映画が好きだ。狂おしいほど好き。なんならチープな映像の方が楽しめる。出来たら、映画はツッコミを入れながら観たい。「どうしてこうなった?」というシーンが多ければ多いほど、話の肴が多くて最高になる。名作映画も、世間的にはそう呼ばれない映画も、お家のテレビでは「面白い映画」として観ることができる。笑っても、怒っても、誰にも咎められない。

 そういえば、「シン・ゴジラ」の上映時に映画館で拍手が起こったことが話題になっていたけれど、ほんとうに映画館は静かだ。コメディー映画でもクスッとした笑いがほとんどで、全体でわーッとなるような笑いは未だ経験したことがない。一度でいいから、みんなで笑いを共有してみたいなあ……と思っている。

 ただ、映画の楽しみ方は、更に変わっていくんだろうね。そのうち、映画館の環境を自宅で簡単に再現できるようになる。スクリーンは真っ白な壁で、スピーカーは家のモノにアタッチメント。……なんてことにはまだならなくても、実際に映画の非日常感は無くなりつつある。ひょっとすると、映画館に足を運んだことはないけれど、「映画好きだ」という人もいるかもしれない。

 音楽や絵画の界隈においても、最新技術やAIを題材にして色々考えているけれど、どんなに今考えたところで時代が決めるのだから。代替されるものはされるだろうし、変わらないものは変わらない。

 いちばん大事なのは、時代を楽しむことなんじゃないかしら。私が昔の映画を観る動機って、いろんな時代を楽しめることだから。たぶん、作る時もそれは変わらなくて、時代を楽しめたり、真剣に考えたりする能力がこれからはもっと求められていくはずだ。

 だから、どんな映画でも、ずーっと暗闇やDVD本体を写してるみたいな作品じゃない限り、私は「ダメな映画」というものはないと思ってる。予算規模は違っても、映画にかけられる情熱はどんな映画でも平等だし、それを超越した作品は沢山あるよね。「面白い映画」と「面白くない映画」の区分けはあっても、「良い映画」と「ダメな映画」はないんじゃないかな……

 2020.6.13
 坂岡 ユウ

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