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「さこ大介さんという人」

東京のフォークブルース系シンガーソングライター、さこ大介さんの大阪ツアーがありまして昨夜は梅田東通り外れのアフターアワーズという雑居ビル2階のでたらめなBAR(←ほめてます、笑)に行ってきました。

僕はこの人の詞に影響を受けました。特にジャズやブルースの古いスタンダードの日本語訳詞に影響を受けました。憂歌団がカバーした「嘘は罪」や、木村さんが夢の乱入者(関西TVのセッション番組です)で歌った「素敵なあなた」の訳詞をされた方なんです。

「素敵なあなた」は僕も歌ったことがあるのですが、木村さんのTVでの歌唱から聞き取ってカバーしてたのですよ。で、これもさこ大介さんの訳詞だと実は昨夜に知って感動の嵐が心に吹き荒れました。しかも譜面や歌詞を見せて下さいまして、今まで少し聞き取りにくく自分で勝手に作って(スミマセン、笑)歌っていた箇所を確認させて頂きました。

そのノリでいくと長谷川きよしさんのピアソラのオブリビオンの訳詞も気になります。それも聞き取れないところ勝手に作って歌ってるんですよ(笑)思えば子供の頃から歌いたい流行歌があって、でも歌詞をばっちり覚えていなくって、知らないところは勝手に作って歌っていたなぁと。

訳詞に関しては、直訳系の漣 健児(さざなみ けんじ)さんも好きです。監獄ロックの、粋な看守の計らいで〜♪なんて最高ですよね。なかにし礼さんが書いて菅原洋一さんが歌った「知りたくないの」も好きです。あなたの過去など、の過去の字足らずな感じがたまりません。

そしてそれと同じかそれ以上にさこ大介さんの世界も好きです。that's old feelingを「あの感じ」だなんて天才だと思います。why don'tyou do right ? を「それでいいでしょ?」にしたのもさこ大介さんなんでしょうか?僕は原詞に引っ張られて作詞するほうなんですが、さこ作品はとにかく原詞から飛び立って舞い上がるのが素晴らしいと思っています。

さこ大介さんのオリジナル曲は特に知りませんでしたが、やはり期待通りの世界観で、数多いるフォークシンガーとは一線を画す楽曲に魅了されました。お洒落でストーリー性があって一曲が映画一本みたような小説を一冊読んだような曲圧(マスタリング済みの音圧みたいに言いたいのです)があります。

もちろん70才半ばということですし音楽のスタイルとしてシャウトするような歌唱ではないのですが、撫でるように弾くギターと優しく囁くような声、それがまた師匠クラスのフラのある噺家さんの高座のようで格好良いんです。お喋りも飄々として楽しくて、志ん生さんみたいだなぁと思っていたら「落語」という曲で志ん生さんの事を歌われていました。

実はさこ大介さんを生で見たのは初めてではありません。その昔、天王寺のTin's hallでソウルブルースバンドでハコバンしてた頃に会ったことがあるんです。僕は19,20才くらいでさこ大介さんは既におっちゃんでした。春一番関係やベーカーさん木村さん(まだ秀勝だったかと)ジャズベースの西山満さんもお元気でいて、ひょっとするとエヴィリン・ブレイキーも来てた日かもしれません。とにかく怪っ態(けったい)な大人が大勢いた夜に「嘘は罪」をゲスト出演して歌ってはりました。あ〜、これこの人の歌詞なのか!と。

でもその夜にお話し出来なかったんです。何年もそのことが心の片隅にずっとありました。その後、自身でも歌詞を書いてスタンダードの日本語訳詞も書いていく度にさこ大介さんの存在がチラついていました。「嘘は罪」なんて好き過ぎて自分の訳詞で歌ってますよ。ややこしい難しい感情ですけど。

つまり、昨夜は青春時代の忘れ物を取りに行った、そんな夜だったのです。
次は11月に来阪されるそうで楽しみです!

PS.今回のツアーは僕の幼なじみの安藤君(ザ・たこさん)のお店、東心斎橋のアガッタという串カツ屋でもライブされたそうです。サポートされていたギターの福井さん(かなりグッドジョブな演奏でした!)がマッチングしたそうです。その時はザ・さこさんを結成したのでしょうか?ええ、一体何の話しなんでしょう(笑)

[2024年3月24日 更新]

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