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【弱点】

全然平気です!!
まだまだやれます!!

痛みには慣れている。

幼少の頃から、竹刀で何度も叩かれた。

「お前はそんなもんか!?」

「いいえ!!」

「さっさと立て!!」

「はい!」

目に涙を浮かべて、痛みに耐えた。

ボクは、痛みに強い。

大人になって、ある会社に就職した。

人手不足ということで、毎日朝から晩まで働いた。
月の休みなんて無いに等しかった。

上司からの叱責や怒号。

ボクは慣れている。
その痛みには。

何年働いただろう。

今日が何日かもわからない。
今日が何曜日かもわからない。

いつも通り、職場に向かった。

「おはようございます。」

「おはようね」

女性スタッフの方が既に出勤されていた。

「○○さんは、いつもここにいるみたい」

「そうですね。」

「ちゃんと休みは取れているの」

「もちろん」

「本当に」

「はい」

「なんか、そうは見えないけどなぁ。」

「そう見えますか」

「私に出来ることがあったら、言ってね。」

「分かりました」

「はい。チョコ。甘いもの食べたら、少しは元気出るんじゃない」

「ありがとうございます。」

渡されたチョコレートを口に放り込む。

優しい味がした。

なぜだか。涙が出そうになった。

寝不足だからだろうか。

いや。

たぶん。

そうじゃないのかな。

ボクは。

慣れていないのかもしれない。

誰かの。

優しさに。


そんな優しさに触れたボク。

温もりに包まれたチョコレートが

ボクの傷を癒してくれるかのように

少しずつ溶けていった。

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