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銭湯のヌシについて


ヘッダー画像の絵の下手さはさて置き…

最近、めずらしく銭湯に行くのが億劫になってしまっている。

その理由は、ヌシ(主)の存在がとても大きい。

※ヌシ(主)というのは、銭湯の常連で、利用の仕方をあれこれ注意してくる存在のこと。ヌシは、ご年配であることが多く、女湯に多く生存する。

銭湯に行くようになってから1年ほど経ったが
いわゆるヌシに注意された経験が4回ほどある。

これまでヌシに注意されても平気だったけど
今回はなんだか、ポキっと心が折れてしまった。
ここ最近は、ヌシがいそうな下町銭湯には
気分が乗らなくて行けていない。
趣のある銭湯、本当は行きたいのに。


今回、ヌシは私が脱衣所で
ドライヤーをしていた時に
番台のほうからやってきた。

脱衣所に入ってくるなり、
ヌシはチラッと私の方を見た。

その瞬間から、私の中の
【ヌシセンサー】が過剰に反応。
いやな予感がすごくしていた。
あの目つきは危険だぞ、と。

何か指摘されそうなことはないかと
身のまわりを見渡す。やばい。
それまで私と一緒に来ていた友人以外に誰もいなかったので
テーブルの上に濡れたタオルや自分のスキンケア品とか置いてしまっていた。
すぐに回収する。
その間もヌシは横目にこちらを見ていた。

ドライヤーを終え、身支度をしていると
彼女のその一言は、思わぬ角度から飛んできた。

ヌシ『それ拾いなさいね』

と床を指さしながら私に向かって言ってきた。

床を見るとドライヤーで落ちた私の髪の毛が落ちていた。

瞬時に『すみません。拾います。』と
床にしゃがんで、
素手で自分の髪の毛を拾い集めた。
(この銭湯はクイックル的なものがなかった)

覚悟はしていたが、
実際に言われてみると、くるものがあった。
とてもみじめだった。
意地悪な姑(しゅうとめ)に
いじめられる小娘になったような気分だった。

拾っている最中に
ヌシが『ご苦労さま』と
上から(物理的にも)冷たい目つきで何とも憎たらしく言い捨て、浴室へ消えていった。
何なんだこの人。と思わざるえなかった。

それまで湯上がりで最高だった気分が一瞬で最悪になった。

いつものヌシの話だ。気にしてもしょうがない。と思いつつも
帰り道、友人と喋りながらも、
ずっと思い出してしまった。
今後もこの記憶は鮮明に残り続けるだろう。

ヌシは何かひとこと言ってやりたかったのだろう。

テーブルに私物を置いて占領していたという
非が私もにもあったかもしれないが、
言い方というものがある。

もはやこれは「ヌシ」の問題ではなく、
「 人 対 人 」の問題である。

過去4回ヌシに出会ってきたが、ヌシにもいろいろなタイプの人がいる。
明るくサバサバした言い方のヌシもいれば、大声で強く注意してきたヌシもいた。
他の若い女性が注意されているのも見たこともあるが、どちらかというと
サバサバ系強めのヌシが多かった。

ヌシに共通して言えるのは、
「生活の一部であるこの聖域を、
 新参者に汚されたくない。」
ではないだろうか。

そもそも銭湯はみんなのもの、という前提はあるが
何十年も根付いた文化を変えることの方が難しいだろう。

だから、その銭湯の見えざるルールに従うのは私も悪いことだとは思っていない。

でも、みんなものであるからこそ、
みんなが気持ちよく銭湯を利用できるように
「注意するときの言い方」にはヌシたちにも
気をつけていただきたい
、と思った次第である。

今回は、たまたま、ジメッとタイプのヌシに、当たってしまっただけ。
そう思うようにしている。

ディープな下町銭湯に行けるようになるにはもう少し時間がかかりそうだ。

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