俺たちの風はどこへ吹くのか:怒涛の2020シーズンを終えて。
最終戦後、名古屋グランパスのサッカーのエンタメ性について各々の持論をSNSで展開する様子が見られた。
贔屓のチームが勝つことが喜びの者、フットボールを愛し、ピッチで起こることに美しさを求める者。各々“チームに対する想い”がある。しかし、結果が出ないシーズンならまだしもシーズンの順位は3位という状況であそこまでSNSで議論されるとは正直予想外だった。
勝ちを積んでモヤる日々~
勝利の翌日も今シーズンはモヤモヤした気持ちを持つ名古屋サポーターの声をたくさん見た気がした。なぜなのか?
フィッカデンティ監督が作るチームの点数がポイントになる。学生の頃、勉強してない癖に、年間通してテストが大体70点~80点の同級生を見たことがないだろうか?先生に怒られもせず、友達にバカにされもしない。校内順位も悪くない。皆がこぞって「テスト期間にちゃんと勉強したらいいのに」っていう生徒だ。その生徒こそフィッカデンティ監督が作るチームだ。
圧倒的な強さを見せた川崎フロンターレは80点を取るたび悔しがり、100点を取るために勉強する。その20点分の点数をあげる努力をしてる姿に人は惹かれ、得点が少しずつ上がる度に期待を寄せる。
では70点~80点を目指すチームは「悪」なのか?否。決して悪ではないし、校内(リーグのレベル)の平均点が爆上がりしない限りある程度の順位にいる事が出来るだろう。そして、名古屋の選手達は点数をあげる努力はしている。しかし、フィッカデンティ監督のインタビューからは勝った時は80点取れたから「まあ、こんなもんでしょ」と、言ってるかのような声が度々聴かれた。
今の名古屋にとって80点で悔しがり20点分勉強する事は「リスク」とみなされている。実際、0トップは偶然からできた副産物であり、シミッチや成瀬も「いつもと違う勉強法」というカテゴライズをされた。
来シーズンは注視される存在になり、問題文(対戦相手)も難しくなり、テスト(過密日程)もたくさんある。平均点が上がりおいていかれる可能性も充分にある。
フィッカデンティ監督よ、俺達は20点分必死に勉強してる姿を見たいんだ。
開幕前のリバプール宣言
忘れもしない“あの宣言”
「具体例を挙げれば、リバプール(イングランド)だ。ポゼッションが極端に少なく、縦に速く、前からプレスに行く、奪ったらカウンターを決める。ただ、理想は進化し続けると考えてほしい」
蓋を開ければ、前からハメに行けば最終ラインが付いてこない。センター二人のところで数的有利やズレを作らされて突破される。見かねたランゲラックが90分ずっとライン管理で声を張り上げる。俺たちのリバプールよどこへ…(こう書くと、フィッカデンティ監督は異例のシーズンだったから仕方ない。とかえすと思う。笑)
確かに米本と稲垣はヘンダーソンとワイナルドゥムかと思うような危機察知能力だった。そこだけはリバプールに似ていた。
結局、「準備期間があるので、全く違うサッカーをやるために取り組む。具体的には、相手陣地のもっと高い位置でボールを奪うチームになる」と宣言していたが、
殴られるのをある程度我慢して低い位置でボールを取り、低い位置で時間をかける事で相手に「前からハメに来させる」事で前を空けて勝ち点を積んだ。
風はメトロポリターノに吹いてゆくのか
ある程度引いてハメる。サイドへ誘導してクロスは仕方なく、センターバックとキーパーで完封する。センター二枚はスーパーユーティリティー。前線のアイデアと速さで勝負。手前からボール保持もできる。
今シーズンの特徴をあげたが、どこかリバプールではない“あるクラブ”を想像する自分がいる。
オブラク、ヒメネス、ジョレンテ、サウール、コケ…フェリックスにスアレス。欧州でも群を抜くレベルのロジカルな守備を誇るアトレティコマドリード。あのクラブと重なる瞬間がある。
来季、フィッカデンティ監督が今シーズンたりなかった20点分を足す勇気がでた時、川崎と対になるクラブが出来上がるかもしれない。
風の行方を見る楽しさ
ストーブリーグや来シーズンは「風の行方」を見守るシーズンになる。
今年強かったから、来季も勝ちを取り続けよう!
と思うと恐らく痛い目を見るので、精神的な余裕を持つためにも
名古屋グランパスに吹き出した【風】の吹き方を楽しもう。
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