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チェルシー:選手別振り返り

とんでもなくギリギリの路線修正(監督交代)により何とか上位に踏みとどまった今シーズン。

最終節を前に、今シーズンの選手の奮闘を個別に軽く振り返っていきます。最終節前、CL前の読み物としてどうぞ。

GK編

2004年からチェフが「追いかけ続けていた」メンディが移籍加入。1stチョイスとして大活躍。ケパはカップ戦のキーパーとして、カバジェロはケパやメンディの精神的支柱として役割を全うした。

No,1 ケパ・アリサバラガ

メンディの台頭により序列が下がったケパ。しかし、非難されていた昨シーズンとは違い、最終ラインの安定性が増したため、ケパの得意なビルドアップ性能を発揮できる機会は増え、悲しい失点の仕方もあまり見られなくなった。

トゥヘル政権になり、前任者の時よりも「ボールの持ち方」が整理された事で、足元の技術が長所の彼が輝く世界が来るかもしれない。レスポンスもメンディよりいいので2ndに控えるキーパーとしてはもったいない。1番のプライドを来シーズン見せる事が出来るのか?

(昨シーズンのケパ解説↑)

No,13 ウィリー・カバジェロ

チームのパパ役のロブグリーンがEL制覇後に選手を引退。パパ役はカバジェロに引き継がれた。その後、まさかのプチ爆発した期間もあったが今シーズンはさすがにメンディの台頭によりパパ役としての活躍がメインに。チャンピオンズリーグ決勝進出が決まった際はメンディと抱き合う姿などが印象的だった。

練習でもケパ、メンディを支えるような姿もたくさん見られた。40歳を迎えるベテランの去就はどうなるのか?

No.16 エドゥアルド・メンディ

今シーズン、チームを最も助けた選手の一人。典型的なビックセーバーとして「これを入れられたら負ける」というシュートをことごとくセーブ。

最終節を残した段階の30試合でクリーンシート16、一試合のセーブ数は1.87

課題をあげるなら、トゥヘルがベースとする「ボールを保持する事」という部分で必要な足元の技術はまだ監督が求める基準には達していない。

ビルドアップ中のパスミスや、判断の遅さがまだ目立つ。しかし、移籍一年目でしっかりスペイン代表GK、アルゼンチン代表GKを押しのけ、正GKの座を奪った。

DF編

前任者(ランパード)の時の「好みでの選出」が減り、確かな能力と役割によって選手が選出されるようになった最終ライン。後ろが4枚から3枚になった事で再び輝く選手も出てきた。

No.2 アントニオ・リュディガー

前任者(ランパード)の時は出場機会がなく、「移籍秒読み」と噂されたセンターバックも新体制では不動のセンターバックに。引いた相手、噛み合わせてくる相手に対して数的優位を作るためにボールを持ちあがる姿。ウイングバックが上がっても安心して任せていられる安定感。チェルシーの攻撃のベースを下支えするセンターバックの一人として欠かせない存在になった。

ただ、相手選手を平気な顔して煽って、ヤバくなったら何もなかったかのように去るのはやめましょう。

No.3 マルコス・アロンソ

こちらも前任者の影響で「移籍秒読み」とされていたサイドバック。前任者の時は「走れない」←(チルウェルもそんなに走れるわけではないが、彼の国籍はイングランド。あとは皆さんの想像にお任せします…)という理由で、アスピリクエタを左にコンバートしてまでも出場機会を減らされた選手。トゥヘルになりウイングバックを採用した事。ウイングバックが最後のシューターとなることが増えた事。ボールを持つことがベースとなった事で序列が回復した。

出場するとチーム内の他のサイドバックはあまり行う事のないインナーラップを積極的に行うなど、「人を使える選手」として攻撃のアクセントになった。

ただ、プレミアの絶対条件にもなりつつある「走力」に関してはトップクラスとは言い難いので、使い方には迷う所。

祖父も父もスペイン代表経験者のサラブレッドが来季もこのチームで輝いていて欲しい。

No.4 アンドレアス・クリステンセン

元々足元の技術は持ちあわせていたが、サッリ監督の下で「ボールの持ち方」を学び、ランパードの元で「走る事」を学んだ25歳はチェルシーに欠かせない存在に。隣にいるチアゴシウバという偉大な先輩から学びながら日々進化していく。

試合中はパッとしないが「Christensen VS(チーム名)」とSNSで検索すると、えげつないスタッツが出ていたりする。

チャンピオンズリーグ決勝を前に怪我をしてしまったのが痛い所。

No.6 チアゴ・シウバ

なぜPSGは彼を手放したのか…前任者の時に守備崩壊ともいえるチェルシーの守備の未整理具合を救ったのは紛れもなく彼。攻撃においては中盤の選手が消されていても彼からキーパスが軽々と飛んでいく。ボロボロの最終ラインから相手プレスをものともしない最終ラインへと彼の加入と彼の経験を周りに伝える事で進化した。

SofaScoreでもチーム内レートは堂々の3位。

課題はやはり年齢面で、故障が隣り合わせという事。

No.15 クル・ズマ

前任者が大好きだったセンターバック。足元の技術と走力を兼ね備えた若手で現在ACミランでスタメンを張っているフィカヨ・トモリをレンタルに出してまでも残したパワータイプのセンターバック。

特徴としてはセットプレーと対人性能は最強。守備の判断はよろしくなく、足元はイマイチ。古典的なセンターバック気質。その為に監督交代後は出場機会が減少。

テンションがハマればトップクラスの能力も発揮してくれるため、ロマンにあふれるセンターバックではある。(ヘディングの打点はプレミアでも一番高いんじゃないかってぐらいにえげつない。)

No.21 ベン・チルウェル

「上下動が出来るサイドバック」として不動の左ウイングバックとして定着。トゥヘルになり一枚前で使われることになり、ボール保持能力が高くないため相手に狙われるシーンもあったが、守備で足が使えるので守備時のリカバリーも監督の求める及第点には達していた。

右から攻める事の多かった今シーズンはチルウェルにとっては少し助かったシーズンだったかもしれない。ただし、内側に切り込まれた時などはボールウォッチャーになることが多かったので、危ない場面は意外と多かった。

(チルウェルの後ろはリュディガー。あとは皆さん分かりますよね?ありがとうリュディガー)

No.24 リース・ジェイムズ

6歳からチェルシーの青い魂を背負った21歳。ストライカー→中盤→右サイドバックという変遷なので守備の判断に関してはプレミアでトップクラスの物とは言い難いが、攻撃参加したときの判断や蹴るボールは超一流という尖りまくったサイドバック。(ベッカムと比較されるぐらいのキックのセンス)

ランパードの時はアスピリクエタを抑えてスタメンだったが最終ラインのボロボロ具合の一員になっていた。トゥヘルになりウイングバックになった事で自分の強みを生かせるようになった。

但し、ユーティリティプレイヤーの先輩でもあるアスピリクエタが不動の地位を獲得しているので、サイドを封殺したい時はアスピリクエタが1stチョイスとなる。来季は守備能力の向上を。

No.28 セサル・アスピリクエタ

チェルシーの顔となったキャプテン。センターバックでもサイドバックでもウイングでもなんでも来いのスーパーユーティリティプレイヤー。それもどこのポジションでも、スペイン人ならではのボールを扱う技術をベースにしてトップクラスの能力を発揮。この人に関しては言うことがないぐらい安定している。

No.33 エメルソン・パルミエリ

前任者の時はアロンソを抑えての2ndチョイスだったエメルソンだが、監督交代後は出場が減少。イタリア人サイドバックらしく引いた時の安定感はアロンソ、チルウェルよりも上。しかし、攻撃参加した時の引き出しが守備意識が高すぎて少なく、本人にとっては苦しい時期を過ごしている。

チャンピオンズリーグのアトレティコ戦。とどめの一発を打ち込んだ姿が印象的。

MF編

トゥヘルになり352、3421の形が多かったシーズン。センター2枚に対して適性がある人員は4人(一人は19歳)怪我人が一人出ると絶望という状況でよくここまで回したな。というのが素直な感想。連戦の疲れもありトップレベルの選手達がミスしてしまうこともしばしばあった。

No.5 ジョルジーニョ

CL決勝が決まった瞬間色んな事がフラッシュバックしてピッチで泣き崩れた選手。

このチームで一番ファンからの痛烈な意見が多かったのが彼。サッリ監督が退任する際は「付いていくんだろう」と揶揄され、ランパードの時は「走れないから穴だ」と言われた。

トゥヘルになり“全員がボールを持てること”を前提としたので相手チームはジョルジーニョだけを潰せばいいわけではなくなり、彼が輝く事が多くなった。前線も裏への駆け引きをしてくれる為、シャドーを使うのか。裏へのボールなのか?というパスの選択肢で相手を翻弄するジョルジーニョらしさが遺憾なく発揮された。

サイドで数的優位を取るからこそ中央でタクトを振る彼が輝いたという事もあるのだろう。トゥヘル様様である。

ボールを持ちすぎる癖はまだあるので、今シーズンのような疲れが取れないシーズンではプレスの強度に負けてボールロスト、パスミスはちらほら見られた。(人が足らないから仕方ないのだが。)

No.7 エンゴロ・カンテ

ランパードの前の監督、サッリ監督が失点を恐れず、サポーターからの批判も恐れずに「ボールを持ちたいならカンテは前目でいる事に意味がある」と信じて使い続けた“サッリの経験値”がトゥヘルに変わってカンテを覚醒させた。

ボールの進行を止める選手から狩る選手への進化。その後のスペースを自分で使う動き。前目にいる事での足元の技術の向上の必要性とその技術の獲得が彼を今の姿へと進化させた。

カンテの後ろが安定してるからこそ、彼があれだけのパフォーマンスが出来るという事もある。

No.17 マテオ・コヴァチッチ

レアルマドリードよ彼は絶対に返さないぞ。

銀河系軍団から移籍してチェルシーに欠かせない選手になった彼は今シーズンも獅子奮迅の活躍。運べる、剥がせる、パスを出せる。という前への推進力の塊の彼は中央でセンターの相方と共に相手を翻弄し続けた。

課題は自分で持ち上がることが多い為、その時にボールロストした際は誰かがカードを貰う事に。選手層が少ない今シーズンのセンターにとってはその一枚が痛手になることもあった。

No.19 メイソン・マウント

“ランパードの遺産”(と個人的には呼んでいる)彼は、ランパード監督就任当初は「守備なんかしませーん!」トップ下スタイルだったが、トゥヘル監督に変わる前にセンターも任されるようになる。そのおかげか守備能力があれよあれよという間に向上。今シーズンいつの間にか「こんな守備するっけ?マウント」という状態に。

元々攻撃のセンスはチェルシーのレジェンド達のお墨付きを受けていたが、「自分の活かし方、他人の活かし方」をトゥヘルの元で再確認。

毎試合後トゥヘルがマウントの頭を撫でているぐらいの良い信頼関係を気付いている。

No.22 ハキム・シエシュ

今シーズン苦しんだ選手の一人。トゥヘルの元では守備も前からプレス。抜かれたらプレスバックが約束の為、どうしても「自分が攻撃能力を発揮しやすい場所を最優先で探したい。」タイプのシエシュは中々1stチョイスに入らなかった。但し、相手が引いてくるような相手に対しては左足が輝くのとシエシュの特徴がハマる為、出場機会がないわけではなかった。

守備能力にどこまで意識を割けるようになるかが来季に向けてのポイントだろう。

No.23 ビリー・ギルモア

19歳の天才MF、顔を出す位置、球出し、守備。どれを取っても判断が秀逸。昨年のFA杯ではリバプール相手にマンオブザマッチを獲得。FA杯公式のyoutubeがギルモアだけを取り上げた動画を出すぐらいの注目度だった。

今シーズンは注目されていた事もあるのと少々線が細いので、フィジカル差で苦労することが多かった。しかし、カンテ、コバチッチ、ジョルジーニョしかいないセンターの枠に彼がいてくれたのは非常に助かった。

EUROでA代表選出も果たした。同グループにクロアチア(コバチッチ所属)、イングランド(マウント等所属)がいる。EUROでの活躍にも注目。

No.29 カイ・ハフェルツ

シーズン出足はプレミアの基準に苦しみ、馴染みだした時に新型コロナウイルスに感染。本当に苦しい期間を過ごした。

復帰後は189㎝の長身と足元の技術を生かし、周りを活かすことに奮闘。しかし擦り合わせの時間がなかった為、あまり結果が出なかった。

そんな中で5月のフルハム戦で2得点した時(2点目のアシストはヴェルナー)はいろいろなものが込み上げてくる試合だった。

周りを活かす性格上、偽9番としてヴェルナーやマウントを活かす立ち回りをうまくこなした。ジルーの契約が満了になるので来季はいよいよCFとして輝くのか?

課題はドリブルで相手を抜けてしまう為、仕掛けるのか?やり直すのか?を迷う事があった。そういう一瞬の判断の遅れはプレミアでは許されない。そこでボールロストすることも多かった。周りを早くサーチすることを覚えれば十分輝けるだろう。

FW編

FWは苦しいシーズンを過ごした選手が多かった。苦しい中でも自分がやれる事を再確認して自分の役割を全うしてくれた。

No.9 タミー・エイブラハム

ライバルが増えたことで苦しいシーズンに。「使われる側」典型の選手だが速度が爆速なわけでもなく、最終ラインに張り付き待つためにボールと人を動かして相手の穴を作るチームの枠組みの中では前線のチョイスにはなり辛かった。

ジルーがいなくなる来季、残ってくれるなら勝負の年になるだろう。

No.10 クリスティアン・プリシッチ

持ったらドリブルでとにかく持ちながら仕掛けたい選手の典型として、今シーズンもチャレンジを重ねた。守備能力がトゥヘルの思った基準にならなかったのでウイングというよりも352のツートップの一角として起用が増えた。

しかし、どうしても仕掛けたいのでカウンター時にフリーの選手を無視したり、ヴェルナーとの使われる選手同士の組み合わせでは中々意図が合わずに険悪なムードが漂うときも。

但し、ドリブルが成功したときの爆発力や、ボールを扱う技術はあるので、球離れが良くなるのと、自分が使われたかったたら、自分が人を使う事を極めていきたい。

アザール2世よ。彼を越えて行け。

No.11 ティモ・ヴェルナー

彼もまた苦しんだ選手の一人。細かいタッチのドリブル技術がトップクラスとは言えない事、ボールを的確にコントロールする技術も苦手に見えるので足元にビタ付けされるマウントやジョルジーニョのボールをトラップミスで得点を取りこぼしてしまう事もしばしば。

但し、点の代わりにできる事はヴェルナーは山ほどあり、速さを活かして相手の形を崩す。ワイドに流れて中の開けるなどの利他的な動きのオンパレードでチームに欠かせない存在だった。

リーグ戦だけだと6ゴール8アシスト(CL成績は4ゴール2アシスト)

確かにリーグでのビッグチャンスミスも18と多く見えるが、チャンスクリエイトも9。

No.18 オリヴィエ・ジルー

コロナの影響で契約延長オプションを使って1年だけ残ってくれた我らがジルー先生。チームの調子が悪い時に大体助けてくれるのは先生。

ベテランの域に入った先生が準備を怠らないからこそ、若い選手主体の攻撃陣は腐らなかった。

No.20 カラムハドソン・オドイ

20歳の若手の彼はウイングバック、シャドー、トップ。左右関係なくできるという点でベンチ入りする事は多かった。守備においてもウイングバックで使っても守備強度が良かったのでこのまま使われ続けるかとおもったが、2月20日のサウサンプトン戦でカウンタープレス、守備強度について監督が満足してないという事で前半30分で交代。そこから出場機会が増えていくことにはならなかった。

攻撃に関してはアイデアもたくさんあり、マウントなどと華麗な崩しをしていただけに、守備意識等を見つめ直して帰ってきてほしい。

補足

(チャーリー・ムソンダやユースからカラバオカップの時だけ登録された選手については出場時間が少ない為、割愛)


最後に

前任者より的確に能力を査定する監督によりほぼ全員に出場機会が出来て、チームとしては非常に良いムードになっている。

リーグ戦最終節は、チェルシーが勝てば自力でチャンピオンズリーグ出場権を獲得。もし負けるとリバプール、レスターの結果次第ではヨーロッパリーグの出場まで落とされる白熱の最終節。

是非これを参考にチェルシー戦を見て応援していただければ。

(CLも応援してね!)



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