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緋色のキーマン

代表ウィークが空けてのいよいよ始まるJリーグ。代表で2ゴールなんか決めてしまったので、相手も警戒してくるだろう15番(稲垣)についてのお話と、リーグ再開に向けて。

得手不得手

彼の強みは自分の立ち位置を気にしなくていい時に顕著に表れる。名古屋の試合で言えば横幅を取られ、稲垣がフォローに行かなければいけない時の一人で考えるスペースの埋め方や対人の守備。後ろは相方に任せて前線主導でボールを奪いにプレス連動する際の強度。こぼれ球が来るのを予測してのミドルシュートなど。

一方で、ボールを受ける時に相手を剥がしたり、ゆっくりとしたビルドアップに関わるような部分に関してはリーグ戦を見ていても苦手そうに見える。(今シーズン、名古屋が受けに来る選手にボールを付けられなかったり、CBからのフィードが多くなる要因の一つ。)

リーグ戦だけでなく、代表戦でも見られたが、他の選手の思考速度が速かったり、チームがスライドさせられたりすると味方選手のポジションを喰って(被る)しまったり(阿部ちゃんの“どけ”事件)、相手選手に隠れてしまうことが多い。

センター事情

サッカーの進化で中央の選手(CM)の選手は「理想の位置に走れて、守備が強くて(守備感覚)、理想のパスを出せる」が基準になってきている。その三拍子は結果的に判断の速さとピッチでの立ち位置の良さが重要になる。田中碧なんかは判断の速さ、立ち位置の良さに関しては国内屈指の能力の持ち主だろう。

稲垣は確かに判断が速く、ピッチを効率よく使ってるとは有識者からすると言い難いかもしれない。しかし、それを圧倒的な走行距離でカバーすることは間違ってはいないし、効率よくいる事だけが正義というのは違うだろう。

不得手があっても…

苦手な部分があったら選手としては光るものがないと判断されるのか?といわれたらそれはNOだろう。

例えば、チェルシーは今2センターとして使われてる選手が主に、ジョルジーニョ、コバチッチ、カンテの3人。

ジョルジーニョはパスの名手で守備でも組織的に守ると輝くが、プレミアリーグの攻撃陣の速さに対抗できる対人性能があるか?一人でボールを持ち運べるか?と言われれば、それに関しては「上手くない」という評価を受ける。

カンテに関しては守備における対人性能は高いが、釣り出されずにスペースを管理できるか?相手を鎮めるパスが出せるか?と言われればそれに関しては「得意じゃない」という評価を受ける。

コバチッチに関してはプレミアリーグのプレスを掻い潜るボールの運搬能力、前線での積極的な攻撃参加が魅力だが、早い思考からのパス判断や崩しは苦手としている。

この3人を見て「上手くない」という表現を使う人は少ないだろう。しかし、この3人にも「苦手」な事は当然あり、チームとしてお互いが良さを出せるように補完し合っているからこそ「上手い」という評価を受ける。

それを踏まえて、リーグ再開に向けて。

名古屋のファミリーが稲垣が上手いというのは当たり前で、それは米本、木本、長澤らの他のセンターとしっかりと補完し合える良い環境にあるからなのだ。ただ、リーグ再開に向けて稲垣がより警戒されるので、そこでキーポイントになるのが相方の存在。

リーグ戦でも稲垣の活躍が注目されてきたが今こそ相方に注目すべき時ではないかと感じる。

最後に

代表に選出されたからといって、持ち上げられすぎるのはあまり好きではないので「苦手な部分」「気になってた部分」はハッキリ書きました。あくまでリーグ再開後の一つのサッカーの見方としてのお話。

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