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悪いことはまとまってやってくる 凡人の戦い方

序章

くそったれ!!

今日は河川敷を軽くランニングした後に水シャワーを浴びて、サイコーの一日になったはずだった。

そう、夕飯までは・・・

食後にシンクのふちにジュースを飲んだ後のコップを置いておいた。

そこはシンクの中が食器でいっぱいな時に、入りきらないものを置いておく定位置だったから。

ジュースを飲んだ後のコップは洗いやすいように水道水を入れて、数十分間放置するのがウチの作法だ。

イヤホンで音楽を聴きながら、満腹で幸福なまま食器を洗ってしまおうとしたとき、左手がコップに当たってしまった。

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

やってしまったと脳内では思うものの、ご近所さんへの配慮は忘れない私。

脳内で悲劇の叫びは食い止めたのだ。えらいぞ、私!

悲しみの事故処理 第一弾

コップが落下して1秒後、もうどうせ中の水(若干ジュース成分含有)はほとんどコップから放流されてしまっていいるので「はぁ;;」とため息をつきながらコップをゆっくりと拾う。

なんだろうね、この「もうだめだから焦んなくていいや」って感情は。

コップを拾うと、9割がた放水済みの空になったそれをシンクへ叩き込む。

アンガーマネジメントというのが最近はやっているらしいが、家の中だと野生が第一に出てきてしまうのである。

外面はよく、理知的にふるまうアノ人も、家の中では私と同じように怒れる原始人なのだろうかと思案する。

まあいい、やるべきことを考えよう。

床一面にブチまけられた水。しかも希釈しているとはいえジュース入りだ。

ベタつかないように掃除しないと。あ、でもそのまえに水分を回収するために、から雑巾で脱水作戦を行おう。

っく、化学繊維の新品の雑巾を押し入れから引っ張り出してきたものの、ぜんぜん水分を吸収しない・・・

1回表でノックアウトされたピッチャーの代わりに緊急登板した中継ぎのエースみたいだ。

カタログスペックはいいのだが、実践となるとまるで役に立たない。

ええい、吸水専門職のキッチンペーパーさんを投入や!!

・・・ふぅ。あらかたの水分は片付いたな。よし、雑巾を濡らして床一面に散布された糖分を1μgたりとて残さずに拭き上げるぞ!

ハッピーラッキー食後のお片付けタイムが、なんでこんなクソみたいな労働にきりかわったんや・・・

時間も手間もムダ。これならやることなく部屋でボ-っとしてるほうが生産的やぞ。

今後の再発防止策を考えながら、床を拭いて、雑巾洗って、床を拭いてを繰り返す。

はぁ、学校の床掃除なら適当にやってそれで掃除時間が過ぎるのを待てば終わりなのにな。自宅だとそうはいかん。

作業員はワシ一人。休んだって時間だけが空費するだけ。だれも手伝ってはくれないのだ。

フリーランスって一人で責任を負って仕事をしているのか。すごいなぁとか考えながらせっせとふき取りをしていく。

せっかくの水シャワーで流した汗が、じわっと再び噴き出てくる。倒錯的というかなんというか。まったく無駄な時間を過ごしていると実感する。

よし、キレイに拭き上げたぞ。空気が乾燥しているからか床はすぐに乾いた。

これでようやく食器洗いに戻ることができる。台所に入ってすでに20分以上が経過していた。この事故がなければもうすでにリビングでネットサーフィンに興じていることだろう。

このクソ労働さえなければワイはもっと良い休日を楽しめてたんや。そう思いながら給湯器をオンにして食器を洗い始めた。

シンクの中には多くの食器とまな板、包丁、はし、スプーンにコップが待ち構えていた。それに調理で使った野菜くずもある。

なかなかのハードワークになりそうだ。

野菜くずを撤去し、まな板から片づけていく。シンク内には包丁があるので気を付けながらの作業だ。

包丁があるから、ゆっくりでかまわない。気をつけながらだ・・・そう頭では意識していた。

包丁をスポンジで包みながらゆっくり洗う。

そうそう、刃の部分には素手で触れずに、ゆっくりとだ・・・

包丁についた泡を流水ですすぐ。変なぬめりが残っていないか包丁を指でこすりながら洗い流していく。

悲しみの事故処理 第二弾

そのとき!左小指の腹を包丁の刃に当ててしまった!

指先で感じる、ずりっとした感触。切れ味が落ちているから微細なのこぎり場のような刃が私の皮膚を切り裂く。

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

本日2度目の大絶叫。

今度ばかしはご近所さん思いの私も怒りが限界突破した。

「フ〇ッキュー!こんクソがああああああああああああああ!!!!!!」

しかし、思いのほか脳というものは冷静らしい。

野生のゴリラに回帰した私の叫びと裏腹に、包丁を投げ捨てたり、逆手にもってシンクに突き刺したりはしなかった。

そんなことをしたら大怪我になるかもしれないからだ。

手首の動脈を切って失血死するにはまだ若い。

死因:自分のミスで怒り狂った挙句、包丁を投げて手首を切った際に失血多量でのショック死

なんとも間抜けな葬式になりそうである。令和に生きる現代人とはとても思えない。

戒名は「包丁扱狂人化自爆之助」とでもしてほしい。参列者はどうかわたしを見て短期は損気という格言を胸にお焼香をしてくれ。

そして親族は香典返しとして「アンガーマネジメント」の本を参列者に渡してくれたまえ。きっと彼らの役に立つだろう。

自分の短期に殺されるアホは私一人でいい。

笑顔で楽しくみんなは生きてほしい。

小指を確認する。どうやら傷は浅いらしい。よかった。まだカタギでいられそうだ。

絆創膏を貼り、食器洗いを再開する。

なんでこんなクソみたいな事故が連続して起きるんだ。そう考えると、社会人として過ごしてきた日々が脳裏に浮かぶ。

くそったれな真理


イケイケの時は楽しいが、悪い出来事というのは連続してやってくる。

このことを私は実感として経験していた。忙しいときにやってくる団体客。面倒な案件。割り込みで入ってくる急ぎの仕事。

そういう時間的・精神的に余裕がないときにいろんなことがおしかけてきて、ミスを連発するのである。

単発で来てくれたら。水でも飲みながら落ち着いて処理できるのに。

だから私は仕事でクソな出来事が始まりそうだと感じ取ったときには「あぁ、くそったれタイムがやってきそうだ。ま、どうでもいいか」と思うようにして焦らないように自分に暗示をかけている。

どうせ逃げられないのだ。その場その場でくそったれタイムをいかに乗り切るかを考えなければならない。

食器洗いが完了して今回の事故の原因を分析し、再発防止を検討する。

ヒュー!!再発防止策を自然と考えられるようになるとは、社会人として成長したね!と自分をホメたくなる。

しかし、こうも思考を切り替えられるということは、社会人としてミスが多く、再発防止策を考える回数が人よりも多かったからではないかと思ってしまう。

すまんな、上司。アホな部下を持つと心労もんやな。

さてさて、今回のミスは2つ
・シンクの淵に水を入れたコップを置き、倒してしまったこと
・包丁を洗っているときに指を切ってしまったこと

まず1つ目のコップを倒してしまった原因は、不安定な場所に、水を入れたコップを放置していたことだ。

今後はシンクの淵に置いていいものは固形物とすること。また、シンクが溢れないように食器を洗う回数を夜に一度だけではなく、昼にも洗って増やすこととする。

そして2つ目の包丁で指を切ってしまったことだが、1つ目のミスで気がたっており、その上、洗い物をしている際に空調を使っておらず、お湯で洗っていたためにイライラが増幅されていたことが関係していると思われる。

気を付けていながらも、自分の心はザワついてイライラしていたのである。このことには指を切った直後に気が付いたので速攻でエアコンを起動した。

快適な環境を維持し、最高のパフォーマンスを保つために今後は①エアコンを稼働させ、②食器洗いの回数を増やしてシンクの混雑緩和に努め、③指定された特定区域には固形物しか置いてはいけないこととする。

以上!!

ジュースをぶちまけ、指を切ったアホアホ総理大臣の発案による閣議決定といたします!異論は認めません!

再度同じようなことが起こった際には、もう一度事故検討委員会を設置し、再発防止策の検討を行うものとします。

これが土曜の夜、しかも夕方でよかった。

もしこれが日曜夜間だと考えると、そらおそろしいで・・・

クソ作業に日夜(ニチヨル)を奪われなかったことが幸いである。

社会人になってよかったことは、くそったれなことがあっても、ポジティブシンキングできるようになったことである。

この思考法がなければ数年と持たずにメンタルダウンしていただろうな。凡人には凡人なりの戦い方というものがあるのだ。

負けるな私。ここにあり!

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