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映画「ハウス・オブ・グッチ」を見てきた。パトリツィアの感情の変化を見る。

映画「ハウス・オブ・グッチ」を見てきました。
グッチ一族の御曹司マウリツィオとその妻であるパトリツィアの夫妻を中心にグッチ一族を描いています(グッチはイタリアのファッションブランドの企業です)。
グッチ家や、マウリツィオとパトリツィアの間の変化の象徴的な部分を映す、歴史作品のような構成の映画でした。

どこまで真実かわかりませんし、起こったことが事実であっても視点によって印象が違うこともあるでしょう。とはいえ、グッチ創業の一家(今のグッチにはグッチ家の人はいないそうです)に、実際にあった話として描いています。パトリツィアがこの映画の中では目立っていましたが、私が好んでみるSFやファンタジー作品に見られるような強烈に人物性が立っているわけではありません。物語の中で事件はありますが、そこに派手さはありません。小さな小さな変化があって、その変化が少しずつ人を、人と人の関係を変えていきます。前半はグッチという名門の一家に生まれながらマウリツィオが結婚相手として市井の人であるパトリツィアを選んでしまったがゆえに(と言っても、パトリツィアも運送会社の娘っぽかったけれど)、マウリツィオとグッチ家との相克で話を見せ、後半はマウリツィオとパトリツィアの関係の対立で見せていきます。特に、マウリツィオとパトリツィアの対立をの予感させる展開から、私は強く興味を惹かれてこの作品を見ていたような気がします。

この映画の見せ方からだとパトリツィアがマウリツィオに遺産目当てで近づいたようには見えません(いいとこの坊ちゃんくらいには思ったかもしれませんが)。僕はそう感じましたが、パトリツィアの方から積極的にマウリツィオに近づいていますしね、詳しくはわからないです。しかし、結婚してからはグッチ家に近づくことに消極的なマウリツィオを、グッチ家と和解するように何度も進めています。ここら辺は、単純に親子を元に戻そうとしているわけではなく、グッチ家の遺産を欲っしているようにも見えました。マウリツィオはグッチ家当主の妻として、ただいるだけを望まず、グッチの経営にも口を出していきます。そのせいで、マウリツィオの心はパトリツィアから離れていきます。口を出しているのは、頼りない(とパトリツィアは思っている)夫を助けているというのもあったのだと思います。そういう態度がより一層夫をイラつかせたとは思いますが。

映画だけ見ると、経営権もない人間が会社に口を出しているのだから、パトリツィアは悪女のように見えるかもしれません。今から30年前ほどのイタリアがどういう社会だったかわかりませんが、女性が社会進出し力を発揮できたのでしょうか? 映画の感想ですが会社の経営者(時には冷徹になれるという面からも)パトリツィアの方が、少なくともマウリツィオよりは経営者として的確のようにも見えました(事実、マウリツィオは最終的にはグッチの経営から手を引くように共同経営者から言われる)。特に、グッチの偽物が出回っていることを危惧して進言したのは、ブランドを守るという点で良い考えです。にもかかわらす、グッチの経営者(おじ)はそれを放置することを選択します(マウリツィオもその危惧を認めながら、おじを強く説得はしない)。パトリツィアはその能力を誰にも認められないのです、マウリツィオが妻に苛立っていたように、パトリツィアもまた自分を認めない夫に苛立っていました。それが、夫への棘のある言葉や態度となり、二人の間が壊れていくのでしょう。

パトリツィアが愚かではないとは思いません。なぜならグッチ家の力を自分のものだと思っていだからです。なので、マウリツィオが離れていくことによって(離婚は拒否したようです)、力を認める認めないという以前に、力を発揮する舞台にも立てなくなります。夫に離れられたパトリツィアは、人間の怪物性の象徴するものとして描かれます。電話でマウリツィオに悪態をつき、ついには暗殺者を雇い、マウリツィオを殺してしまいます。

この作品はパトリツィアの感情の変化を主体とした物語でした。「ひとりの男を愛した女性の感情(マウリツィオと結婚するまで)」「栄光を得られると感じた時の感情(マウリツィオをグッチ家と和解させようとするまで)」「栄光を維持するために、必死になった感情(グッチ家のために、マウリツィオを筆頭株主にしようとする)」「舞台から降ろされたときの感情(マウリツィオが離れていく)」。才ある人間が、他人の舞台で必死に生きようとした物語かもしれません。女性であるがために主役になれなかったという側面もあります。
パトリツィアという女性の感情を描くための舞台装置として伝統ある一家が選ばれたとい形です。

派手はないですが、パトリツィアのという女性の生き方をを追体験できる、良い作品でした。

事実として書いたら、「名誉毀損」や「税金」で大変なのかな? 作中では明確に描かれてないけど、パトリツィアは遺言状の署名偽造していたのかな? 物語の冒頭で「私のサインをうまく書くな」的なことを、パトリツィアの父親に言われているし。

そういえば、お金があるころの日本人も出てきてましたよ。グッチの経営者も日本語を覚えようとすくらい上客だったんですね。今はどうなんだろうか……。グッチの商品を買うような人は、今も昔もそれほど人数は変わってないのかもしれないけれど。

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