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映画「ブラックホーク・ダウン」をNetflixで見ました。ほぼ戦闘場面の映画。

ブラックホーク・ダウンを見ました。しばらくは兵たちの兵舎での日常などを描きますが、映画のほとんどは市街戦の場面です。戦闘の始まりから、終わりまで描かれているわけですが、物語の核は撤退でしょうか。しかも、兵達全てを撤退させる(死体でさえも)。この兵達全てという目標が、撤退という目的を難しくしています。軍隊は「一を助けて二を死なすようなことはしない」と思っていたのですが、そうでもないのですね。まあ、作戦としては正しいのかもしれませんが、それでは軍隊に来る人もいなくなっちゃうのかもしれません。

1993年に米軍は、民族紛争が続くソマリアへ派兵します。その中でのひとつの作戦を焦点にあてて、米軍からの視点でその作戦が描かれます。その史実を映画化したものです。

起伏がある物語はありません。誰か一人、英雄的存在に光を当てて描かれる形にもなってません。米軍の兵士たちの群像劇という形です。詳しい人にとっては「レンジャー」「デルタ」など部隊がどのような形で動くのか、などを楽しめるのでしょうし、史実に詳しければその中での一作戦の細部を確認できて楽しめるのでしょう。私はそのどちらでもないです。しかも、あまりに登場人物が多くて、誰が誰だかわからない始末……。それでも楽しめました。

複数の人物が出てくると、動きが複雑になりますね。仲間同士のいざこざなんて描写はないですが、作戦を考える人と現場で働く人とではやはり感情の動きが違います。表立って反抗はしませんが、現場の人たちの声が作戦を考えている人たちに届かないやるせなさは、見ている人に、他者への対立の動きを見せてくれます。

冒頭では、物語の核は撤退と書きましたが、作戦は始まりから描かれています。作戦の遂行(特定の人物を捕虜として捕える)、ブラックホーク(ヘリコプター)の墜落による作戦の予定のずれ、兵士たちはブラックホークに向かう、それぞれの先が見えない戦い、撤退と、作中で目指しているものが変化していきます。初めから、物語の目的が語れられる形の物語ではありません。状況によって変化する目的は、作中人物たちの心を動きを変化させます。簡単な作戦と思われていて、余裕を見せる兵隊たち。戦闘が始まれば緊張感は増しますし、ヘリコプターが落ちてからはより一層高まります。そして、街にいる人間全員がほぼ敵という状況は、米軍の兵達を容易に現場から逃れさせません。絶望的へと、心が変わっていきます。

戦闘や、弾丸の流れからも快は得られます。画面の転換も多く、表面上の動きと、映画を見ることによって察せられる内面の動きが、より多く表現されており見ている人を楽しませます。登場人物が多くなれば、その動きも多彩になります。わたしにはちょっと追いきれないほどではありましたが。冒頭の平和的な描写と、絶望的な状況の描写。その両者の落差の動きも、見ている人に面白さを感じさせます。

撤退の際、車に乗れなかった人は走って戦場から撤退するのですが、この場面は緊張感を生みますね。

撤退までの流れを見せて最後に「英雄なんていない」という人物の台詞は、映画の回想を促し、より深く言葉が届いているような気がします。

物語は動きが、複雑になれば面白くなると思うのですが、複雑にしすぎると理解が追いつかず、楽しめなくなるという側面もあります。登場人物は多い、史実なので最低限の説明しかない(必要十分だとは思いましたが)、など見るにはハードルが高いですが、画面の動きを見ているだけで楽しめる映画だと思います(登場人物の名前をほぼ覚えず、史実を知らないわたしが言っているのです)。


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