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映画「ボーン・アルティメイタム」をNetflixで見ました。「人間とは」と考えさせられる。

「ボーン」シリーズの完結編。未だ断片的な記憶しか取り戻していないボーンが、記憶を取り戻すまでの物語。

原作はロバート・ラドラムの「最後の暗殺者」。読んだという記憶はあるけど、内容は全く覚えていない……。

今作もアクション、アクションしながら、なんか上手いこと次へ行く道を手に入れていく。そこに違和感がないのが、すごいと思う。

CIAに電話盗聴され追われる(一時期話題なったエシュロン。いまでもあるのかな?)、新聞記者との接触、逃走の手助け。「盗聴ってこうやるんだな」というディティール部分は興味を持って見てた。続いてCIAの情報を記者に売ったCIAの人間に会いにいくも出会えない。そこで出会ったCIAの女性ニッキー(一、二作にも出てきた。ボーンたち暗殺者をサポートしていた人)とともに裏切り者のCIAを追う(女性がボーンになぜ協力するかは語られない。ボーンを殺そうとするCIAの計画には反対なのだろう)。裏切り者は殺され、ボーンとニッキーはCIAが送り込んだ暗殺者に追われることになる。街中で行われる逃走劇は緊張感持って見られて、目が離せない。ニッキーを追う暗殺者、それを追うボーン、ボーンを追う地元警察という多重的構造での逃走劇、全二作と趣向を変えているアイディアがすごい。バイクアクションも見せている。ボーンと暗殺者の肉弾戦も見せられる。今回もカメラが揺れていて見にくかったけど……。撮り方のせいなのかな? あまり痛みが見ている私には伝わらなかったような気がする。ボーンは暗殺者を殺してしまう。殺したことに苦悩しているようだ。台詞での説明などはない。映像から見えることから想像した。台詞での説明はないのは野暮でなくて良い。暗殺者との戦いまでは描くけど、どう地元警察から逃げたかの描写はない。それなりに逃走劇はあったと思うが、描いても仕方ないので(盛り上がらないから)描かなかったのだろう。

アメリカに行って、自分が暗殺者となった場所に行き、トレッドストーン作戦の首謀者と出会い、記憶を取り戻す。そこまでいくのにCIAの本部? に侵入するけど「簡単に侵入しすぎては?」と思った。そこまでセキュリティ甘くないだろと。そのあと毎回あるカーチェイスの逃走劇。ボーンともう一人CIAの暗殺者との追いかけっこ。相変わらず面白い。敵の暗殺者が、カーチェイスに負けてしまうのは前回と同じだが、前回と違うのは死ななかったところ。殺す機会はあっだけど、ボーンは殺さなかった。ボーンはCIAの暗殺者育成を快く思ってないパメラ(彼女とトレッドストーン作戦に関わる人が、ボーン捕縛の作戦指揮を取っていたのだが、二人のやりとりも緊張感があって映画を観させる要素として一役買っていた)にCIA本部? で手に入れた資料を渡し、ボーンはトレッドストーン作戦の首謀者と会うことになる(ここへの侵入も簡単にするなあ、と思った)。自分の記憶を取り戻したボーンは「あなたに殉職の栄誉は与えない」と言いトレッドストーン作戦の首謀者は殺さず、逃走。ボーンを追ってきた、カーチェイスで殺さなかった暗殺者の「なぜ俺を殺さなかった」という問いに対して「君はなぜ俺を殺す?」と問いかけ「自分を見ろ。人間と言えるか」という言葉を言い、他の追っ手を確認し高層ビルから海へと飛び込む。暗殺者は逃げるボーンに対して、弾丸は放たず銃を下に下げる。

パメラによって告発されたことによって、トレッドストーン作戦関係者は法廷の場へ。ボーンが生きていることが示唆されて、物語は終わる。

ラストは派手なアクションはなかった。でも終わり方が良かったので、気にならなかった。終わり方というのは暗殺者の「なぜ俺を殺さなかった」から始まるやりとりのこと。二人の立場の違い、対立によって浮かび上がる「人間とは」というテーマ。私がラストを盛り上げる戦いが無くても気にならなかったということは、このやりとりは自分が期待していたラストの戦いにも匹敵する場面だった、ということだろうか。多分、心に湧き上がる盛り上がりの心情というのは「戦う場面」とは別だと思う。「戦う場面」で湧き上がる感情が、興奮やボーンが勝つことへの期待、どう戦っているいくかの興味なら、「なぜ俺を殺さなかった」という問いかけから始まるやりとりは、答えによっては戦いが始まるであろう期待感、「君はなぜ俺を殺す?」というボーンの相手から質問からの質問返しから浮かび上がる「人間」とは何かという考えさせられる思考、相手の答えへの期待。さらにテーマを絞る「自分を見ろ。人間と言えるか」という台詞が、全二作も含めて(続けて見たからでもあるけど)ボーンの行動を見てきた私は、それらを振り返りながら思考を促進された(劇中では、暗殺者は何も答えず。答えは出ないけど。銃を下ろしたことから察するしかない)。そういうふうに心に湧き起こったことが、「戦う場面」と同等の興奮をもたらしたのかもしれない。映画が三作もある事からこそ、そういうふうに考えたのかもしれないが。「こういう終わりの見せ方もあるんだね」と思った。

物語冒頭に、ボーンがマリーと兄に会いに行き、マリーの死の報告とともに、自分の目的を語る場面は良い。物語の進行目的がわかると物語が追いやすい(私は前作の事件だけを限定して、マリーを巻き込んだ首謀者を追うのかと思ってしまったので、その後の展開の方向性とは別の方向性で最初見てしまった。ボーンが狙われる全体の大元を追う展開だった)。

ボーンがトレッドストーン作戦の首謀者との会話に挿入される、過去の回想の映像描写は短くまとまってうまいと思う。

前作、前前作と見てきて「今回はどんなラストバトル」になるのかと思ったが、全く別のアプローチで物語のラストを見せてきて、「すごい考えられているなあ」と思った。三作とも話の展開は、アクション、次の場所に行くアクションとぼぼ同じでありながら、違う形での見せ方をし楽しませ、最後の作品(のちに続いちゃうけど)の締めを「考えさせられる」内容で見せることによって、見ていて楽しいエンターテイメントから、素晴らしく楽しく考えさせられるエンターテイメントになっている。素晴らしい。


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