記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

映画「NOPE/ノープ」を見てきた。「最悪の奇跡」ってのがテーマなのかな。

映画「NOPE/ノープ」を見てきました。NOPEの意味は「いや」「いいえ」とか、否定の言葉なんですね。「嘘だろ」なんて意味もあるのかな? この映画だだと、そんな意味が一番合っている気がする。映画の中でも使われていたけれど、どんなふうに使われていたか忘れました。
公式サイトにある、「最悪の奇跡」というキャッチコピーは全世界共通のキャッチコピーなのだろうか? これをテーマとして考えると、点としてしか見ていなかった、映像の中にあった場面が線として繋がる。
面白いのですが、表層だけ見ていると雰囲気だけで面白くしているような気もしました(それでもすごいけど)。だけれど、わたしの中で理解できない部分もあって、それを考えるという楽しみも提供していますね。なので、雰囲気だけの映画ととらえるのは浅いだろうなとも思います。

南カリフォルニア、ロサンゼルス近郊(ほんと何もない広い場所にぽつんとある)で馬の牧場を経営している父を突然の空からの落下物で亡くしたOJ。OJが住む馬車には時折、突然電気が消えるなど怪奇現象が起こっていた。妹エメラルドはその怪奇現象を撮影して「バズり動画」を作ろうとする。
OJは主人公にあたるけれど、極端な性格づけはされていないです。ただ、突然の父親の死という状況にどう対処するのかという点からOJに興味を持ちました。その人間自体にそれほど強い魅力はなくても(映画を見ていると、不器用だけれど誠実さがあること段々とわかってきますが)、極端な状況にすることで「その人がどう行動するか」としてその人に興味を持たせることは可能なんですね。
どちらかと言うとエメラルドの方が魅力がありますね。話好きで、何か話す時も自分の宣伝を忘れない、という描写がされていて。

最初は全く何が起こっているのかわかりません。空から何かが降ってきてOJの父は死に、OJはその時何かを見ています。
父親が亡くなって、牧場経営や副業(映画撮影の馬の扱い方の技術指導)はうまくいかず、馬を売るしかない状況になっているOJ。
近くのテーマパークにも馬を売っています。テーマパークのオーナー・クリエイター、リッキーと馬の売買の話をしている時、リッキーが現場(昔のTVショー)にいた、チンパンジーのゴーディが人を殺した話になります。
この話は、映画の冒頭にあり、上述の場面や、他にもリッキーの回想で何度か出てきます。「何か物語とつながりあるのかな」と思いきや、直接それを説明する場面はないです。「これはこの映画に必要だったのだろうか?」と思います。もちろん意図的に出しているのだから、意味はあると思うけれど。
リッキーはOJたちが体験した何か(宇宙船?宇宙生物?)を、物語後半に呼ぼうとするのですが、リッキーがそういう性格になったことの遠因としてあったかもしれないけれど、ゴーディの事件とリッキーの人格形成への影響の過程の描写はないので、そういうことを伝えたいわけではないのでしよう。
ネットで調べたのですが、実際にあった事件ではなさそうです(もしかしたらモデルとなった事件はあるかも)
キャッチコピーにある「最悪の奇跡」という点では、共通してますね。空から謎の物体が人を襲うのも、チンパンジーが暴れるのも、あまり想定できないことです(超自然現象と実際の動物が暴れる可能性は、想定範囲が違うけれど。伝えたい人にとっては同じなのかも)。謎の物体が人を襲うだけではただのパニック映画になって、見終わったら「ドキドキした体験ができたな」で終わってる映画になってしまうかもしれません。ゴーディの描写があるから「あれは何だろう」と考えさせます。考えれば、考えるほど映画が心に強く残ります。
謎の飛行隊とチンパンジーのゴーディの話は対比になっていると思います。ここまでは、合っていると思うけれど、その対比の考え方は映画の意図とは違うかも。
「奇跡というのは良いことだけに起こることではない。「悪い偶然」も奇跡と言ってよい」ということを伝えたかったのでしょうか?
謎の飛行物体も、チンパンジーの暴走も最悪の奇跡ですね。最悪の奇跡はどこにでも潜んでいることを考えさせますね。

物語はOJとエメラルドがその謎を追う過程を描いていきます。監視カメラを買ったスーパーの店員エンジェルも加わります。その過程で、音や映像の描き方で「何かありさそう感」で見せていきますね。すごくうまい演出です。
監査カメラから雲が動いていないことが判明。リッキーがいたパークは襲われ。謎の飛行物体が人間を食べる飛行生物らしいわかります。らしいというのは、その生物について一切説明がないからです。
それがニュースになり、誘われたけど一度断ったカメラマンも加わり、最後の撮影の挑戦(しばらくしたらみんな見にきちゃうから)。
色々、準備する過程を見ていくのは面白いですね。
いいまでの経験から、紐で繋がっているような喉に絡まりそうなものが苦手らしいということで、そういうものをいろいろなとこに配置し。飛行物体が食べにくるところを待ちます。そして、撮影の瞬間。

飛行物体は飛行生物とはっきりわかり怪物のような姿も見せますが、一切それについては説明ないです。とにかく襲われていく過程を見せていきます。なので、怪物について調査するとかのドラマはないです。

最悪の奇跡である出来事ですが、動画としては撮れたか分かりません(途中でカメラマンが怪物に食べられてしまったので)。写真は撮れたことが映像からわかります。
果たしてエメラルドたちは、最悪の奇跡を利用して、お金を得られたのでしょうか? そこまでは語られていません。

飛行物体に対して「見てはいけない」と言ってましたが、何で「見てはいけない」んでしたっけ? 馬との関連で映像で説明していたような気がしますが、わからない。

黒人が主人公だけれど、黒人の問題などは扱わないんだなお考えてしまった(黒人の方が見たらもしかしたら、含まれているのかもだけれど)。映画の歴史については語られるが、そのくらい。一番初め(かな?)の映画作品には黒人が映っているという語りのところ。黒人な監督が作っているし、誰が主人公でもいいんだけれどね。「何かそこに意味あるのかもしれない?」というふうに見てしまう、わたしの問題。

OJ、エメラルド以外の人物についてですが、カメラマンの映像を撮ろうとする姿勢は、良いですね。それだけで魅力がある。リッキーは過去のエピソード(ゴーディの件)から興味を持たせようとしている。エンジェルはその軽い感じから、仲間の中で、どんな面白い発言をしているか期待させる(メインにはなれないけれど)。各々、人物が際立っていて良いですね。

物語の型としては「プレデター・ザ・プレイ」と同じかな(見たあとの感想はまるで違うけれど)。謎の生命と知的やり取りをするのでなく(映画「メッセージ」のように)、その生命体の詳細は作品の中で提示せず、ただ対峙する。「NOPE」は演出の仕方がホラーっぽいので「プレデター・ザ・プレイ」とは見せ方が違うこら、全然別の作品に見えるけどね。

終始緊張感があって面白かったです(退屈な場面もあった気もするが、忘れた)。しかし、この映画のキモはゴーディについての過程と、飛行物体に襲われる過程をどう繋げて見るかかと思います。


更新情報はtwitterにUPしてます! フォローお願いします!
https://twitter.com/yuto_mori_blog
テーマを探求を中心とした映画ブログ書いてます。リンクは下記です。

映画の感想や、小説風の日常の記録でみなさんを楽しませたいと思っています! よろしくお願いします! 楽しめたら「スキ」「サポート」など頂けたら嬉しいです!