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映画「DEAD OR ALIVE 犯罪者」をU-NEXTで見ました。U-NEXTの紹介通り、衝撃のラストシーンだね。

映画「DEAD OR ALIVE 犯罪者」を見ました。「押井守の映画50年50本」を読むと、哀川翔(城島猛)さんと竹内力(本上龍一)さんが共演(初共演らしい)していることが目玉のようです。哀川翔がヤクザなどを取り締まる警察官。本上は若きギャング団の頭。そのギャング団が、歌舞伎町を取り仕切っているやくざと、中国マフィアと抗争繰り広げる。城島はこの抗争を追っていく(最初は本上が関わっていと知らない)。最初は、刑事と犯罪者の関係でしかなかったが、事件を追ううちに二人に個人的復讐心が芽生え、衝撃のラストシーンに向かう。

本上は中国残留孤児(今現在は日本に戻ってきている)の子のようだ。このような設定にテーマ性を感じるが、2021年現在の視点で見るとピンとこない。この映画が作られたのは約20年前、1999年。記憶は定かではないが、当時「中国残留孤児」の問題は多く取り上げられていたと思う。作中で語られてもいるが「日本人でも中国人でもない(日本人なのだけれど、周りから見たら)」という感覚。個人であれば、実際にもそのような感覚を持っている人はいるだろう。忘れるべきではないと思うが、1999年当時から多少は進んだだろう人権意識や、もう世代は進んでおり、今現在このことは大きく取り上げられてはいない。なので、テーマとしてはピンとこなかったのだろう(制作者がこれをテーマにしたかどうかはわからない)。もちろん、そのものズバリをテーマにした作品なら、また違った感想を持ったかもしれないが、この作品ではそれほど「中国残留孤児」のことを深くは取り上げていない(あくまでこの作品は娯楽作品だしね。見ている人の知識、想像力にもよるけど。本間の仲間の裏切りから読み取れる部分はあります。あの場面がなかったら、そもそも「中国残留孤児」のことがテーマとすら感じなかったと思う)。上映時間がもう少し長ければ、そういう部分も入れたかもしれない。本上が感じる破壊への衝動や、行動指針は「中国残留孤児」の子であることが大きく関わっている。今日的問題として感じられたかもしれない1999年当時なら、本上の行動にもっと哀切を感じたかもしれない。今現在だとただの暴れ者に見えなくない(人物の深みがないということはなかったけど)。時代によって見方も変わるのだな、と感じた。人の行動に関わるだろう、時代の空気のようなものを説明せずに描くと(同時代の人間にとって、その説明はノイズになると思うが)、後年見ると「これは、何を描きたかった」のだろうと、テーマのようなものが薄れるのだろう。テーマというか、本間に対する感情が変わるということかな。作中人物の行動指針はテーマに依っていることもある、とも考えられる。制作者はただ当時がこうだったからこうしただけかもしれない。ならば、当時は当たり前のことが、今だとテーマと感じということか?

ラストの場面は衝撃的でした。何でそんなところにいるんだってところの空き地を走る本間が乗る車。それを待つ城島の車。互いに向かって走る車。まあ、ここまではそれほど変には感じなかったのだけれど。城島の車に爆弾を持って突っ込む本間の仲間、爆破した車から出てきた城島は片腕が怪我でぶらぶらしていて、それをまるてドラゴンボールのピッコロのように引きちぎる。ここで「あれ?」と思った。銃撃戦の後、城島の背中からバズーカが出て、本間はエネルギー弾を放出する。バズーカの弾とエネルギー弾がぶつかり合い、日本を中心に地球全体に閃光が広まっていく。で、終わり。ここに至るまでは、「やりすぎじゃない」と思う場面はあったが、真面目にドラマしていたのに。これも、当時のマンガ的表現を批評しているのだろうか? 壮大なギャグなのだろうか? よく、わからない。

色々、えぐいですね。容赦なく血が吹き飛ぶ。女の人を糞尿まみれのところに沈めたり。これも、あまりなことなのでギャグのように感じてしまった。

昨日見た「ぼくのエリ」にあった、画面からくる冷たい暗さ。この作品にも昏さ(怨恨を感じる、湿った昏さ)があって、これは他の人の作品にも感じた。国によって、映像にも特徴があるのだろう。

人が歩いている場面でカメラが揺れる表現は私は苦手だな、と思った。クラクラしてしまう。

物語が始まってから、短いカットを重ねた映像が続く。その撮影は見ていて飽きない。物語の先の展開を予測させて興味を惹いたり、人物を見せて期待感を抱かせたりではなく、こういう興味の惹き方もあるんだな、と思った。ただ、ある程度の長さを超えたときは少し長いなと思った。

楽しめたけれど(退屈は感じない)、本間の哀しみのようなものを感じられたらもっと楽しめたのだろう。それとはそれとして、真面目に物語の筋を追ってきたのに、最後の最後で衝撃的な展開になる時の驚きという体験は、面白い体験だった。


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