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映画「グランド・ホテル」をU-NEXTで見ました。「グランド・ホテル形式」と言う言葉の由来を求めて。

映画「グランド・ホテル」を見ました。「グランドホテル形式」という、表現技法があります。一つの大きな場所に様々な人々が集まります。その場所で、各々が緩やかにつながり、物語をつむぐ物語形式のことを言います。この映画は「グランドホテル形式」の名前の由来となった作品ですね。「グランドホテル形式」とは何か? その基本形を知るために視聴しました。

ベルリンの超一流ホテル「グランド・ホテル」、そこの宿泊人であるバレリーナの「グルシンスカヤ」、グルシンスカヤが持つ真珠を盗もうとしている「ガイゲルン男爵」、繊維会社の社長「プライジング」、プライジングに雇われた速記者の女性「フレムヒェン」、プライジング経営する繊維工場で経理の仕事をしていた、余命少ない男性「クリンゲライン」。この5人が中心で、物語は展開します。

紳士として振る舞うガイゲルン男爵はホテルの人からも人気があり、クリンゲラインを友として歓迎し、フレムヒェンをバーに誘ったりなど社交的。お金に困っており、そのお金を得るためにグルシンスカヤの持つ真珠を狙っていました。と言いつつ、根が善人なのかなかなか行動に出ません。借金取りと思われる男に行動をうながされ動き、グルシンスカヤの部屋に侵入し、真珠を盗みます。が、本来は舞台に立っているはずのグルシンスカヤが戻ってきてしまいます。グルシンスカヤの悩みを聞いているうちに、ガイゲルンは隠れているところから出てきて悩みを聞きます。ガイゲルンは真珠を戻し、二人は恋に落ちます。しかし、それではお金を返せません。クリンゲラインにつきあって賭け事などしますが、自分は儲かりません。クリンゲラインの財布を盗もうとしますが、盗まず。プライジングの部屋に侵入し、財布を盗もとしようとするところを見つかり、二人は揉み合い、ガイゲルンはプライジングに殺されてしまいます。

この映画物語の一番の中心はガイゲルン男爵でしょうか。グルシンスカヤに簡単に恋してしまうんだなとは思いましたが。お金については、クリンゲラインに借りられなかったのでしょうか。誇りのようなものが邪魔したのかもしれません。昔の映画のせいか、死体はできませんでした。死体が出てこないと「本当に死んだのかな」と思ってしまいますね。

グルシンスカヤは旬が過ぎたバレリーナ。舞台に出ることを渋ります。お客がいるマネージャーから聞かされ舞台に向かいます。しかし、その舞台に出ず(お客がいなかったのでしょう)にホテルの部屋に戻ってくると、そこにはガイゲルンが。グルシンスカヤは恋に落ちます。その日から、彼女の日々は明るくなり、今まで嘆きの感じは消え、舞台にも積極的出ようとするようになります。

グルシンスカヤは情熱の人という印象がありました。なので、一瞬の恋にも違和感を感じません。「ここまで誰かを愛せるのはとても幸せだな」と思いました。グルシンスカヤは印象がとても強い人ですが、ガイゲルンとしか絡んでないですね。

プライジングは繊維会社の社長、速記者としてフレムヒェンを呼んでいます。その席で、重要な取引に失敗したことを知ります。そのことを嘘ついて、会社の合併に成功。フレムヒェンを愛人としようとしますが、フレムヒェンは仕事以外にはつれないです。バーではもと従業員のクリンゲラインに罵倒されます。フレムヒェンを秘書として雇います。ガイゲルンを殺し、捕まってしまいます。

物語の憎まれ役ですね。フレムヒェンに対する態度は、最初はぶっきらぼうだったのですが、その美貌を確認してから変わります。その変化の演技は良いですね。

フレムヒェンは役者を目指しながら、速記者をしています。はっきり物事をいう女性です。グルシンスカヤが思い込みがはげしいがゆえに、自分の思い通りいかないときは気が強くなる女性なら、フレムヒェンは自分のことをきちんと主張する女性です。お金のためなら、多少のことは我慢するようです。ガイゲルン男爵の誘いにも簡単には乗りません。ガイゲルンの死を見て、クリンゲラインとともに外国に行ってしまいます。ここらへんの心持ちは、ちょっとわかりませんでした。余命いくばくもない、おじさんと外国に行くなんて(悪い人ではなさそうだったから、資産を狙っているという訳でもなさそうですし)。唯一、グランドホテルのお客さんではないです(終盤にプライジングに部屋を取ってもらいますが)。

クリンゲラインは余命いくばくもなく、今まで貯めたお金を使ってでしょうグランドホテルに泊まります。そこで体験することは全て初めてで、初めて生きる実感を得ているようです。フレムヒェンとダンスし、その後プライジングに口撃する場面は、この映画の白眉です。ギャンブルに勝ち続けお金を得ます。最後はフレムヒェンと外国に行きます。

ガイゲルンの次の主役という感じです。命が短いという事実が、常にまとまりつきいてます。

主要人物ではないですが、ホテル従業員でずっと妻の出産を待っている男性がいます。物語の終盤に出産知ります。ガイゲルンの死で暗くなった物語に、明るさを与えています。

それぞれに物語があるため、短くまとめられませんね。ガイゲルンの死をきっかけに、それぞれの運命が変わっていきます。中心となる物語はありません。5人のそれぞれ人たちの物語は関わっているとこもありますが、それぞれの目的は違います。それを一つにまとめるには、映画制作者には「テーマ」が必要だと思います。基本的にホテルの中での物語になります(ホテルから出て行く人や来た人の車の撮影は外からです)。テーマは当然ホテルですかね。全く今まで出会ったことがない人たちの運命が、たまたま同じ時期にホテルに泊まっていたとういうことだけで、変わっていくのが面白いですね。人と人の出会いを不思議さを描きたかったのかもしれません。ホテルという舞台と、出会いによって運命が変わるというテーマだけ決めて、あとは各人物の性格づけだけして、そのホテルに置いてみることで物語を作ったのかもしれません。

冒頭で電話をかけている場面を出して、全員ではないですが人物の紹介と、たくさん人が出てくる映画だということを画面で説明するのは上手いと思いました。

「”グランドホテル”は変わらない。人々が来ては去っていく、すべては元のままだ」とオッテルンシュラーク医師(映画ではクリンゲラインとよく話している)は歌う。これもこの映画のテーマなのかもしれない。


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