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映画「七人の侍」をU-NEXTで見ました。予想以上に面白かった。

映画「七人の侍」を見ました。19歳か20歳頃以来の二回目の視聴です。さすが、オールタイムベスト一位にも選ばれることがある映画ですね、面白い。こんなに面白かったのか、と思うくらい面白い。百姓による侍集め、侍たちと百姓の村での日々、野伏との合戦、という3パートに、大雑把ですが分けられます。どのパートも面白い。侍集めのパートは百姓の頼みなんて聞かない侍をどう集めるのかという緊張感、侍集めはどんな侍が来るのか楽しみ、で見られます。勘兵衛は一国一城の夢を持つ、侍に待っている姿を語ります。侍たちと百姓の日々は、侍と百姓たちのちょっとした対立、侍である勝四郎と百姓の娘である志乃との恋、百姓である理吉の何か隠している感じ(女房が野伏に連れていかれていたとのちにわかる)、子供に慕われる菊千代、菊千代と与平の掛け合い、百姓の出で百姓の気持ちのわかる菊千代(菊千代は侍と百姓を繋ぐ役だね)。派手な動きはないのですが、何が面白いのでしょうか? よく動く菊千代という存在が大きいと思います。彼を見ているのは楽しい。合戦は本当迫力があります。特に、最後の戦い雨が降っている中での戦いはすごい。勘兵衛の矢を撃つ場面は格好いい。

テーマはなんなのでしょう、と考えて見ます。正直わかりませんでした。物語が終わったあと、登場人物たちは成長しているでしょうか? 若い勝四郎は成長したかも知れませんが、そこに注目がいくように物語は作られてません。登場人物たちは、物語が始まった時と、終わった時で大きな変化はないと思います。「今度もまた、負け戦だったな」「勝ったのはあの百姓たちだ、わしたちではない」と最後の勘兵衛の語りには考えさせるものがあります。物語の方向性を決めるために、この言葉を念頭に物語を作ったのかも知れませんが、これが映画の制作した方たちの最大のテーマとも感じませんでした。まず一番に念頭にあったのは、娯楽であり、激しく動きがあるドラマだったのだと思います。何がテーマとして考える時、一番に思うのは侍と百姓という身分違いによる対立と和解だと思います。それすらも娯楽を高めるための装置としてテーマだと私は考えてしまいますが。身分違いは、愛し合っていたはずの勝四郎と志乃が結局結ばれないことが示されるラストからも、超えること難しいことが示唆されています。野伏が村を襲うという一時的事象は解決しましたが、と言ってもまた別の野伏が襲ってくる可能性もあり、より大きな問題は(身分というものも)劇中では解決していないです。ここからも物語が、最初と最後で変化したことがないことがわかります。勘兵衛の言葉から、百姓たちはもう侍はいらなくなったとも取れますが、明確にそれを示しているわけではないです。劇中ではヒロイックに侍たちの活躍を描きながらも、勘兵衛の最後語りから、そのヒロイック性を虚しいものとして、反転させています。そう考えると、ヒロイック性の否定もテーマなのかもしれません。本格的な時代劇を作るというのは、監督の中にあったようです。今現在から見ると、当時の他の時代劇と比較が難しいので、そこら辺は見えてきませんが。テーマについてまとめると、まず娯楽性ある物語を考え、その中でより面白くするために身分違いの対立を描く、その上でその娯楽として見せていたものを、ただ楽しかったと思わせるだけでなく、見せてた娯楽性のある展開を、勘兵衛の台詞から全く違った視点で見られるようにしているというところでしょうか。「ただ、戦いが楽しい」という映画もいいものですが、考えさせられる視点も与えてもらえるのはいいですね。物語の始まりと終わりに変化はないと言いましたが、考えれば菊千代は確実に変化していましたね。最後、亡くなってしまうので見落としていました。彼の変化は動きが伴っていて楽しい。しかし、彼はその成長したことで将来何か成す機会もなく、亡くなってしまいます。亡くなってしまうので、私は物語上の変化を見過ごしてしまった。菊千代の成長は、彼のその後には活きません、しかし菊千代の変化を見るのはとても楽しかった。成長や変化もまた、物語を面白く、映画の動きを楽しくするための一要素であるとも言えますね。

映像も素晴らしいです。なんと言っても、常に動きがある。風や雨などで動きが表現されている。菊千代が無駄に動くのがいい。馬から落ちるとか、物語に直接関係ないけれど、映すことによって菊千代の性格などもよくわかっていいですね。五郎兵衛、七郎次、平八の三人はもう少しエピソードとか、強い性格づけがあったほうがよかったかな。途中で誰が誰だか、わからなくなったりした。なんとなく顔の系統が似ているような気がしたからなおのこと(よく見ればもちろん違うけど)。久蔵はあまり語らないけど、最初の決闘と場面があったからだろうか、わかる。姿も一人シユッとしているしね。村に帰るときは、村の遠景の映像があるけど、街に入るときは遠景はなくいきなり百姓が侍を探しいている場面であり、歩く侍たちが映されますね。久蔵の登場場面での決闘に勝った時、相手がスローで倒れていたと思う。これは効果的なのかな? 不思議な感じ。他にもあったな。炎の前の勝四郎と志乃の場面は情熱を表しているのだろう。地図を出して戦術を伝えてくれるので、わかりやすくて、予測が示されているので緊張感が出てくる。何人倒したかをカウントしていくのも良かったです。侍が何にか死ぬけれど、ドラマチックには描いてないですね。

206分と長い作品でしたが、全然長さを感じませんでした。本当に面白かった。なんで、こんな面白いのか説明が難しいというか、よくわからない。菊千代がやっぱり良いのかな。素晴らしい作品でした。

2024.06.05 追記
仲間探しパート(冒頭一時間くらい)まで鑑賞。七人と数を限定しているところから、その七人がどんな人物が集まるかという、楽しみで見ている。やはり、感情移入なんでしないな。島田勘兵衛は主人公ではあるが、この時点では内面は描かれない。主人公だからって、感情移入はしない。ただ、良い人だし仲間集めは応援したくなる。仲間集めが終わって村に向かう場面。まだ、菊千代がきちんとした仲間ではない時、菊千代その他の侍のぶつかり合いを期待して楽しみにもなる。
村に入るところまで見たけれど村人と侍たちの対峙も、村人たちの喧騒で予感させている。

2024.06.06 追記
01:18:34ころ。勝四郎が村人を指導する久蔵をじっと見る(胸から上を映し、一人だけのカット。セリフはない)。こういう場面は映されている人物の思考を読もうとして、心中を察する場面になる。何かの行動、に対する態度でその人となりがわかり、その人物を身近に感じられる(応援したい気持ちが強くなる)

2024.06.08 追記
02:14:08頃の縦にカメラを動かして、馬を写す場面がよい。

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