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映画「ドクトル・ジバゴ」をU-NEXTで見ました。時代に翻弄された男の話。

映画「ドクトル・ジバゴ」を見ました。題名の意味は「医者のジバゴ」っことですね。主人公のユーリ・ジバゴは医者です。ユーリ、そしてラーラとい女性を中心に据えて、二人の恋愛を主軸にロシア革命当時の時代を描いている作品です。途中、ナレーションが数回入りますが、ユーリの兄の語りです。語り手はほとんど前面に出ませんが、ユーリの兄なのでしょう。ユーリとラーラという女性の子供を探すところから物語は始まります。探しているのは、ユーリの兄。一人の女性に生い立ちを聞きます。私にはわかりにくかったのですが、物語は過去に飛び、子供のユーリが母の葬式に立ち会って場面になります。ここから、ユーリとラーラを中心とした物語が始まります。医者を目指すユーリ、学生であるラーラ。私としては、この二人がいつ出会うのかという視点で見ていますが、ニアミスこそするものの全然会いません。前半はユーリのことより、母の愛人? と恋愛関係になってしまうラーラに注目して見ていました。しかもラーラの恋人は革命を志している人でもあります。若きラーラの姿を描いているのが物語の前半になります。この時点では、ユーリはラーラの顔は知っているが、ラーラは知りません。ユーリ、ラーラともにそれぞれの伴侶と結婚しました。ユーリは戦場の医師として、ラーラは看護士として戦場で会います(第一次世界大戦当時)。ユーリはラーラに恋愛感情を持っていますが、ここでは恋愛には発展せず戦争の終わりとともに、故郷に帰ります。ここから、ユーリはロシア革命に巻き込まれていきます。革命に巻き込まれていく姿は緊張感を持って見ました。主人公がもともとお金を持っていた資産家階級の人なのでユーリたちの財産が奪われていく姿は気の毒に見えます(逆の視点で見たら、また違うかも知れませんが)。この後、ユーリはラーラと運命の再会をし、恋愛関係に発展していくのですが、それよりも時代の運命(ロシア革命による内乱)に巻き込まれていく姿に注目して見ちゃいました。客観的に考えると、面白い要素はないような気がしますが、この運眼による激動の動きが楽しませるのでしょうね。ユーリはいきなりパルチザンに拉致されて、戦場医師になってしまうんです。家族との別れも言えずに、2年間も。物語の展開としては、災害ものと変わらないですね。抗えない運命との対峙。そのあとパルチザンから脱走したユーリは(ここで妻の幻影見ます。ラーラより妻の方を愛していたのかな、と思いました)、ラーラに匿われ(ユーリの妻たちはパリに亡命してしまったらしい)、束の間の平和なひとときを過ごします。しかし、運命は二人に別れを強要します。ラーラの夫は政府の要人であり、失脚したのでラーラも危なくなる、とういうことで自分の子を身籠もっているラーラと子供(ラーラとラーラの夫のパーシャの子)を逃がします(助けてくれる人はラーラが若い頃に恋愛関係にあった、ラーラの母の愛人。その人にユーリは助けられたくなかったらしい)。最後はモスクワでユーリはラーラを見つけ追いかけるも、会えることはなく途中で心臓発作で亡くなってしまいます。ラーラのその後を描いて、物語は映画内の現代へ。ラーラの子と思われる女性(トーニャ。ユーリの妻と同じ名前だ)はバラライカ(楽器)を持っていました。ユーリもまた、バラライカを母から送られています。ユーリの兄は「トーニャ、バラライカが弾けるのか?」と訊ねます。トーニャ恋人が「えぇ、プロ顔負けです」と答えます。「誰かに教わったのか?」「いいえ、誰にも」「遺伝だな」と言って終わります。血のつながりのようなものを感じて、感動してしまいました。

人間では抗え得ない大きな変化に巻き込まれながらも、その中で小さいながらも意志を持って(この作品だと愛)生きる人を描くのがテーマでしょうか。運命に抵抗するという形でも、ドラマを作ることはできますが、この作品では抵抗などはしません。仕方なくでしょうが、受け入れていきます(抵抗するとなると英雄譚になりますね。普通の人は受け入れて生きていくのでしょう)。ユーリは運命を受け入れながらも、弱き人を助けるという点では一貫しています(そこは好感が持てますね)。パルチザンからの逃亡も、意志を感じますね。なぜそこで逃げたかは説明がないので、想像するしかありませんが。テーマとしては、ロシア革命を描くというのもあると思いますが。愛と言いつつ不倫ではありますが、不倫ものにあるようなドキドキさせる展開はありません(ユーリの妻とラーラを予感させてドキドキさせるとか)。なんとなくユーリの妻は気づいているような気もしますが。私が恋愛ものの展開に興味がないのか、ユーリとラーラの愛の物語と言われたら、あめりピンとこないですね。

画面は動いてますね。よく風が吹いているのが印象的です。物語の前半、ラーラとラーラの夫になる男性が話ている場面の背景で人々が歩いている姿も、動きがあっていいなと思いました。物語の前半、ロシアの兵隊がデモ隊を殲滅する場面があるのですが、直接描写は避けていました。物語中盤、戦場からユーリとラーラが分かれる場面。ユーリだけ陰がかかるように撮影しているんですよね。何も語らないですが、心の中で邪な心(不倫の恋心)を持っていること映像で示唆しています。そのあと、皆と別れ病院に使っていた部屋に一人残るユーリを映して、前方に花が置いてあるのですが、風で花びらが落ちていく。悲しい心を示しています。ユーリたちがロシアの田舎に移り住んだ時、その家の中で氷の結晶が美しく描かれています。辛い運命の中でも、美しいものを見つけるユーリを示していて、小さな希望を持つ大切さが伝わります。映像は美しですね。一枚絵として考えても良い場面が多いです。

楽しんだのですが、正直、なんでこんなに面白く感じるのか説明が難しい作品です。画面内のものがよく動いているというのもあるし、私が歴史好きというのもあるでしょう。最初にユーリとラーラの子がいるということが示されているので、いつ二人が恋愛関係になるかを考えて楽しんだのかもしれません。といっても、二人が恋愛関係になるのは3時間20分の作品で、後半残り1時間あたりのところです。流石に、それだけでは2時間20分見せられるわけではないです。どうあっても良い方向に向かわないだろうと予感させて、その中でユーリが、またラーラがどう生きていくのか見たいと思わせる力が強かったのだと思います。良い映画でした。


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