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映画「トランスフォーマー/ビースト覚醒」を見てきた。中だるみがないね。

映画「トランスフォーマー/ビースト覚醒」を見てきました(見に行った時間のタイミングで吹き替えで見ました)。前作からの薄い繋がりはあるらしいけれど、この物語から新章ということで鑑賞してきました。前シリーズ(というのかな?)は、多分一番最初のくらいしか見てないです。
最初から最後まで、飽きずに見られて面白かったです。
あらすじは「トランスワープキー」という、どこでも移動できる装置を巡って、オートボット(メカに変身するエイリアン)、ユニクロン(星を食べ尽くすためにある惑星サイズの生命体。規模が大きすぎてよくわからないけれど敵の親玉)とユニクロンの部下(ユニクロンに操られているらしいエイリアン)、マクシマル(動物に変身するエイリアン)が、戦う物語です。人間も絡みます。「人間、オートボット、マクシマル」対「ユニクロンたち」の構図になります。
物語としては「トランスワープキー」を巡って、戦いのアクションと冒険による緊張感で見せていきます。
「トランスワープキー」はマクガフィンってやつですね。

テーマは「友情、異なる背景を持った者たちの心の通い合い」でしょうか。主要人物であるノアは、オートボットたちと目的は一致していますが、オートボットたちが「トランスワープキー」を使って故郷に帰りたいと思っているのとは違い、ノアの目的は地球を守ること。守るためには「トランスワープキー」破壊という選択肢もありうるわけです。ノアは最初は「トランスワープキー」の破壊を考えていましたが、最終的には破壊しません。ノアのエイリアンへの理解、共感の心の移り変わりを描いていて、アクション以外でのドラマになっています。

物語構成は、「トランスワープキー」を持つマクシマルとそれをら奪いにきた、ユニクロンの戦いがオープニング。マクシマルは「トランスワープキー」とともに自らの星から逃げます。
人間の主要人物である、ノアとトランスフォーマーたちの出会い。博物館に勤めるインターン(考古学とかの大学生かな? 卒業はしているのかな?)エレーナが「トランスワープキー」の封印を解くくだり。オートボットと、ユニクロン軍との一度目の戦い。もう一つの「トランスワープキー」を求めて、ペルーへ。第二の「トランスワープキー」を求めて、ノアとエレーナの冒険。同時進行でオートボットと、ユニクロン軍な第二の戦い。マクシマルとの出会い。オートボット、マクシマルとユニクロンの戦い。「トランスワープキー」を奪われる。「トランスワープキー」を使って、ワープホールが開かれユニクロンが地球を喰らおうとする。「トランスワープキー」の動きを止めるため解除キー入力のための戦い。エンディング。といった流れです。

不満とまでは言わないですが、気になった点もあります。
オートボットがなぜ地球に来たのかなど、ほとんど説明がない。「故郷に戻りたいエイリアン」くらいの説明しかないです。何で車などから人型のロボットのような形に変身するのか説明がないです。これは、前シリーズで説明はしているからいいだろうということでしょう(スパイダーマン ホーム・カミングでスパイダーマンになる過程を省いたようなもんですね)。前提条件は受け入れてしまいましょう。私はなんとなく前シリーズは見ていたので受け入れましたが、初見だとどうなんでしょうね?
ノアの弟は治療にお金がかかる病気らしいのですが(病名は明言されてません。症状は説明されているので、わかる人にはわかるかも)、それがノアがオートボットたちとで会う(弟のためにお金が必要。面接がうまくいかず、ノアは犯罪を犯そうとする。その過程でオートボットたちと出会う)ための、昨劇上の都合にしかなってない。まあ、ありっちゃありですが、そこにも何か「ドラマを作れなかったかな」と思ってしまいました。そのドラマはノアでなく、弟のものになってしまいますが。家族を大切にしていて、そのために地球を守るという、ノアがオートボットたちと危険な行動に出る理由づけにもなっていますが、もう少し物語に絡ませて欲しかった。弟との関係の経験が「トランスワープキー」を破壊する動機づけになるとか。
設定の後付け感。実は「トランスワープキー」は二つあったとか、「トランスワープキー」が動いた後でも、解除できる方法があるとか。先に言ってしまうと、「トランスワープキー」が奪われるまでの緊張感が減ってしまうけれど。なので、私は許容範囲ではあるけれど。説明する場面もなかったしね。
何人「オートボットはいるんだ?」と思いました。最初の四人はいいとして、その後何の説明もなく二人増えます。一応、他にもいることを示唆しとかないと「何でもありになっちゃいますよね」。いきなりピンチを救われるとか。
マクシマルのチーターとサイがの見せ場がほぼない。せっかく出ているのだから、見せ場が欲しかった。
この作品には限らないけれど、飛行機でアメリカからペルーにわたるとき、誰にもみつからないんだろうか?
ユニクロン軍のメカたちは元の性格も悪だったのかもしれないが、操られているだけという設定のようなので、最後身体から首を抜かれるなど残酷に破壊されるので、少しかわいそう。

飽きない作りになっていて素晴らしいなと思いました。上述したように不満点はなくもないですが、エンターテイメントの脚本としては満点ではないでしょうか。なんと言っても、全く飽きなかった。
オープニングの戦いは、つかみのアクションとして良かったし。ノアがオートボットたちと出会うまでは簡潔にまとまっている。ノアの弟が病気で、面接にうまくいかないとお金が入らない。小さいながらも緊張感がありますね。物語も始まったばかりなので、小さな緊張感でも物語に注目させるには十分です。ノアの犯罪のくだりも、何でノアたちはオートボットである車(名前はミラージュ)を狙ったのかはわかりませんが(ずっと駐車場に置いてあって盗んでも気にされないから? 高価な車だったから)、その後のカーチェイスも素晴らしい。裏では「トランスワープキー」の封印が解かれいるので、そちらに対する緊張何も生まれ、多重構造になっていて飽きさせない。この作品、同時に事件が起こっていることが多く、多重構造になっている点が飽きさせない点だと思います。キャラクターの力もあると思いますが、この作品はキャラクターよりも脚本の力の方が物語を見せる力があったも思います。
エレーナは博物館員ではないので、自分の方が専門知識がありながら「トランスワープキー」を調べられません。ノアもそうですが、社会的に弱い側の人間です。「トランスワープキー」を調べたいがために、規則違反のことをするくだりも緊張感があります。
オートボットの真実の姿を見たノアは最初はお金のために「トランスワープキー」を盗みに行きます。ここでも、ノアが「トランスワープキー」を盗むくだりと、オートボット対ユニクロンの戦いが同時進行で描かれます。
戦いの合間には、次の展開に行くつなぎの場面がありますが簡潔にマトモっていていいですね。ノアはエレーナに「『トランスワープキー』を壊すと語り」先への不安も与えています。
そしてペルーでの戦いもノアたちが「トランスワープキー」を探すくだりと、オートボット対ユニクロンの戦いが同時に進行します(ユニクロン軍たちはノアたちを追っているので、ノアたちの描写に関しては冒険の緊張感だけでなく、迫る危険の緊張感も発生します)。同時だけれど、画面の切り替えなどが上手いのでしょうね。全く飽きない。
マクシマルたちと出会い、マクシマルが人間を信用していることがわかります。エレーナはノアに「オプティマス(オートボットのリーダー)」似ていると語ります。この出来事が、人間を信用できなかったオプティマスを変え、「トランスワープキー」を破壊しようとしていたノアを変えたのでしょう。ノアは「トランスワープキー」を壊しません。丁寧に心情の変化を描いているのも素晴らしい。
そしてラストの戦い。「トランスワープキー」の解除を目指す人間と、そのためにユニクロンと戦うオートボット、マクシマルに別れます。ここも同時進行。戦いはナノとミラージュの友情。前半で壊されバンブル・ビーの復活(復活するためのエネルギーは唐突に出てきたような気がしたけれど)。などドラマがあって素晴らしい。
このような展開でまったく飽きさせませんでした。登場人物が多くなると物語に複雑性が増して、そしてそれをうまく絡ませると、物語の構造が多重化し、物語から目が離せないように作れますね。人間はどこまで物語を多重にすることに耐えられるのかはわかりませんが、この作品くらいなら楽しめます。多重にすれば面白くなるというわけでなく、もちろん素晴らしい脚本だからこそですが。登場人物が少なくても、時間や場所などを増やせば物狩りの構造を厚くするは可能だとも思っています。その絵から、脚本から、音楽から、セリフから、キャラクター性から、鑑賞者の頭の中が作品を楽しめる程度の多重構造を作れればいいのだから。多重構造によって、多様な動きの予感。それを考えさせることで、楽しませられる。

ミラージュのキャラクター性が良かったです。あまりしゃべらなかったけど、動きからキャラクター性がたっていてバンブルビーもよかった。

2023年上映なのに何で舞台が1990年代なんだろうか。
最後に「G.I.ジョー」と出てきた。
人間の主要人物に白人の方がいないのが気になったという感想も見たが、わたしは全く気にならなかった。
オートボットたちはすごい傷でも復活できるので、アクションが派手にできていいですね。

とにかく面白かった。飽きなかった。エンターテイメントとしては満点ですね。良かった。
タイトルが「ビースト覚醒」何だから、マクシマルたちにはもっと活躍して欲しかった。上映時間がニ時間程度とはいえ、オートボットたちの見せ場を、ほんの少しだけマクシマルに分けることもできたとは思うけれどね。次回に期待。


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