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映画「ジャンゴ 繋がれざる者」をNetflixで見ました。大暴れするところを映したかったのだろう。

黒人差別がまだ根強く残る南北戦争直前のアメリカ南部。元黒人奴隷のジャンゴと、ジャンゴを奴隷商人から救った(賞金首の顔を知っていたので)ドイツ人賞金稼シュルツが、農園領主カルビン・キャンディの元で奴隷となっている、ジャンゴの妻のブルームヒルダを救う物語。

気持ち良いほど物語がサクサク進む。シュルツはジャンゴを三人の賞金首の顔を知っているという理由で奴隷として売られる途中だったジャンゴを救う。三人の賞金首を、捕まえるところに時間かけるかと思いきや、冒頭四五分ぐらいで終わってしまう(映画はまだ二時間ある)。メインストーリー以外の要素は、物語の中からバッサリ切ってしまっているような気がする。賞金を受ける場面(黒人の賞金稼ぎでは簡単に受け取れないと思う)はなく、各々賞金首は簡単に見つかる、シャンゴの妻ブルームヒルダの居場所も簡単に見つかる。

前半で、黒人であるジャンゴを人として扱い、紳士飄々としながら簡単に人を殺すシュルツの造形は興味を持って見られる。ジャンゴは黒人ということで、バックボーンがあり、特別な人物造形をしなくてもキャラクター性は強い。物語上、妻を救うという物語なので、妻が絡むと何をするかわからない部分があり、そこも物語を盛り上げる。

元黒人奴隷であるジャンゴが主人公であり、奴隷であるジャンゴの妻を救う物語である。差別を真正面から扱っているというわけではないが、物語の過程の中で当時のアメリカで黒人がどのように扱われていたか、描写や台詞の中でこれでもかと語られる。エンターテイメントの作品の中で見ている人たちに問題意識植え付ける。

ブルームヒルダ救出の舞台は、個人差別が酷いミシシッピ。闘士として白人の前で戦わせられる黒人、奴隷として連れていかれる黒人が描かれる。ジャンゴが何を思っているか、見ている側としては想像して緊張感が上がる。黒人の中でもキャンディ家の老僕スティーブンは黒人奴隷を拷問する命令をしたりする。当時の複雑な関係性もわかる。ブルームヒルダとは簡単に接触できるが、ブルームヒルダを所有しているカルビンの老僕スティーブン(キャンディ家にずっと使えている黒人。カルビンの親がわりのように育てたのか、カルビンに厳しい言葉をブルームヒルダがジャンゴと関係あると分かった時使う)がカルビンをシュルツたちが騙していることを伝える。シュルツたちはどうこの危機を逃れるのかと思ったが、金で解決できてしまう。カルビンの挑発に乗らなければここで終わっていたが、シュルツは挑発に乗り怒ってカルビンを殺す(今までの感じでは我慢できそうだが、この場面では相当怒っていたので、展開として違和感はない)。そのあとはジャンゴとキャンディ家の銃撃戦。この作品の中で一番盛り上がるところだ。ジャンゴは捕まるが、奴隷として他の馬車に連れていかれる途中、連れていく人間を口で騙し、ブルームヒルダを救い、キャンディ家のものを殺し、家を爆破し(絵としてクライマックスに相応しい)、物語は終わる。

物語はサクサク進み、銃撃戦でも緊張感を強いるような溜めの場面はない。映像は殺し合いの死に意味を与えようとしない。緊張感を上げて、次の場面まで繋ぐようなことはせず、展開の早さで物語を見せていく。ゆえにあまり重厚さは感じなかったが、見やすいし面白かった。元黒人奴隷であるジャンゴを主人公に据えたうえで、当時の黒人奴隷の姿を見せるのて、ジャンゴの視点で出来事を見ることができるので、色々と考えさせられる。確かに考えさせるだけでそれ以上踏み込まないが(ジャンゴの内面には踏み込まない。ブルームヒルダのこと以外で苦悩しているような映像もない)、同時の黒人の姿を物語の道具として消費しているようには感じなかった(きちんと知識がある人にとっては、深さが足りないのかもしれないが)。

色々書いたが、最後の爆破場面や、その前の銃撃戦を一番描きたかったのかな、思います。黒人奴隷の問題を背景にそれを伝えるというテーマを設定しつつ、いまの西部劇を作るのが作った人の一番のテーマかな、と思う。


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