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映画「新幹線大爆破」をU-NEXTで見ました。本編に入るのが早い。

映画「新幹線大爆破」を見ました。新幹線に爆弾(80キロまで速度を落とすと爆破する爆弾)を仕掛けた犯人たちの動向と、新幹線の乗客や、乗務員、新幹線を裏から支える人たちを描いた物語です。設定からして、面白そうですよね。「新幹線大爆破」ですよ。最初犯人が「1日」と言います。「タイムリミット1日か」と思いきや、東京、博多間9時間(最終的に博多にはつかないけど)がタイムリミット。時間が区切られると、面白くなりますね。犯人たちの準備は冒頭数分で済んで、割とすぐ新幹線が走り出します。ドラマの準備時間があまりなく、すぐに物語の主と思われるドラマが始まるのはいいですね。

思っていたより新幹線の描写少なく、犯人側を主としたドラマが展開します。実際にこんなことあったら、同じようなことがたくさん起こりそうですが、映画で同じことを繰り返すわけにはいかないですしね。運転手たちと司令部(というのかな? 裏から支える人たち)のやりとりや対立、人命より犯人逮捕を一とする警察と鉄道司令部(というより、運転司令長倉持との対立)、犯人の過去、乗客と乗務員の対立、乗客たちのパニック、新幹線運転に支障をきたす障害とそれを乗り越える展開などなど、緊張感ある場面が盛り沢山で飽きさせません。

新幹線のことを良く知っている人から見たら、ツッコミどころあるようですが、私にはわからないので、知識が物語展開を阻害することもなく楽しめました。「爆弾の図面が火事で燃える」という展開は置いといて(ここだけは、そりゃないだろと思いました)、犯人の主犯格の沖田がこんな大それたことを思いつくような人にはどうしても思えません。古賀という学生運動にいた人に「アイディアをもらったのかな」と思ったのですが、そうではなく沖田の発案の犯行のようです。沖田は工場を経営していたのですが、最終的にお金を借りれなくなり、工場を潰しています。それ自体は悲惨な過去ではありますが、そのことのために「新幹線爆破までやるのか?」と思ってしまいます。国策か何かで、工場が潰れる原因があるとか、国に恨みがあるならともかく、特にそういうことは描かれていません。当時の世相として、工場が潰れる=国に恨みを持つという構図だったのでしょうか? 描かれていないからわかりません。沖田の放漫経営で潰れた可能性もありますよね(物語内で、真面目にコツコツと言っているからそれはないと思いますが)。「飛ぶタイヤ」という小説を昔読みました。もしかしたら、そういう背景を持っているかもしれません。真面目に生きていた人が、バレたら離婚した奥さんや、子供に迷惑がかかるとは思わなかったのでしょうか。仲間のことを思っての犯行と思われますが、その仲間たちももう大人です。当時の就職状況はわかりませんが、再就職はできなかったのでしょうか(犯人のひとり大城は沖縄から集団就職できたようです。ここら辺のことは、当時でないとわからないですね。血を売っていただろう描写もありました。犯行前は、工事現場で働いていたようです。事故で怪我して、辞めざるを得なくなったようですが)。犯人が、国鉄や国に対して、そこまでやる理由がわからなかったです(まあ、お金はいっぱい入ってくるけど)。犯人側の描写を見ていくと、理想や大義がありそうですが、特にないみたいです。沖田がもっと悪人なら(人は殺したくないくらいの子悪人でも)、気にならなかったですが、むしろ沖田は仲間思いで、真面目な感じに見えました(いい夫には見えませんでしたが)。現在の視点で見てしまうと、ズレてしまっているのかもしれません。犯人側の視点は、むしろなくても良かったんじゃないかな、とも思えます。

司令部視点のドラマにはこの映画のテーマ性を感じました(犯人側にも、テーマ性はあったのかもしれません。資本家、労働者とか。現在からだと当時の事情がわからないとわかりません)。国という大きな組織にとっては、百人救うためには、ひとりを犠牲にしても構わない、というようなことです。これは普遍的なテーマで、未来になっても変わらないような気もします。今だと、決断を遅らせて、新幹線が市街地に入り、1500人を救うことに失敗し、同時にその倍以上犠牲になるよりも、誰もいないところで止めて1500人犠牲になる方が正しい(正しいというのは表現として間違っているかもしれない)、と思う人の方が多いかもしれません。対局的見れば、わたしもそうだと思います。しかし、それに反発した運転司令長倉持の気持ちもわかります(倉持も内心、政府の方針の方が正しいとは考えていたとは思います)。そういう問いを見せて、映画を見た人に、そのようなことを考えさせるということは良いことだと思います。

犯人側の大義が見えないので、倉持が国鉄を止めると言ったあとの沖田が捕まえる場面はかっこよかったけど、なくても良かったのではなかろうか、と後から考えると思わなくもないです。最後に大義とかを表明するのかと思いきや、そういう場面もないので。どうしても、仲間より子供のほうが大切だろと思ってしまうんですよね。彼は一生、大犯罪者の息子として生きてい事になるんですよ。あんな大それたのとやるには、それ相当の理由があると思うですが。私が読み取れてないだけかもしれませんが。沖田が息子を見て、息子のことを思って自首とかできなかったのかな、とも思いました。仲間と一緒に行動するということが楽しかったのかもしれませんが、そういう歳でもないでしょうし。

まあ、犯人側のことは「まあ、そういう人もいるんだろう」と無理矢理納得できます。物語が面白かったので。犯人が歩いているところを、偶然警官が見つけるところも、突っ込めなくはないですが、その場所にいくまでは調査しているので、それほど気になりません。図面を預けた喫茶店が火事に会うのは、現実ではあらゆることがあると思うけど、フィクションでそれはないだろ、と思いました。爆弾を取り外すとき結構雑に扱っているようにも感じました(爆弾の知識がないので、これはイメージです)。お金の受け渡しの時、大学の柔道部の人たちかその場しにきます。それくらいは事前調査できなかったのかな、と思いました。観光の人程度だったら、調査はできないでしょうが。日本の警察って、逃げている犯人とはいえ、銃は撃てるのでしょうか? ここらへんは調べないとわからないです。

物語さえ面白ければ、わりとご都合主義でも許してしまう私ですが「図面がある喫茶店が燃える」ところだけは、どうにかならなかったのだろうかと思ってしまいました。自分が許容できるご都合主義が分かりますね。図面がなくならないと、この後の緊張感ある展開は描けないですが。

運転手の人はほとんどその場所から動かないのに、緊張感が出せていて良かったです。映画のジャンルが違うと思いますが、直前に見た「ライアンの娘」のように、演技からその後の展開を予測させるというかたちの演技はこの映画にはあまり感じませんでした。演技も見られるようになると、もっと映画が楽しめそうです。

新幹線の中で、ただ1人(生まれる前の子供ですが)死にます。沖田は、誰も殺さないで犯行を行うと言ってましたが、その理想は叶ってません。ということを示すための、死だったと思います。でも、沖田はそのことに対してあまり反応を示さないんですよね(倉持から沖田にテレビで訴える時、妊娠で苦しんでいる人がいることを伝えている)。沖田はやはり、ただの悪党だったのかな、とも思えますね。

乗客がしばらく自分たちの状況がわからないですが、今だとすぐネットで拡散されちゃうから、まんまのシナリオでは作品が作れないですね。時代背景のよって、シナリオも変わりますね。

緊張感が発生するドラマの連続は楽しめますね。楽しく見ました。


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